2015-08-09

エベレスト初登頂の記録映像と再現ドラマ/『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』リアン・プーリー監督


・『神々の山嶺』夢枕獏
『そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記』ヨッヘン・ヘムレブ、エリック・R・サイモンスン、ラリー・A・ジョンソン
【動画】ジョージ・マロリーの遺体発見

 ・エベレスト初登頂の記録映像と再現ドラマ

 2014年公開のニュージーランド映画。エドモンド・ヒラリーテンジン・ノルゲイによるエベレスト初登頂の記録映像と再現ドラマ。物語性には欠ける。ま、一種の記録映画として観ることが正しいのだろう。エベレスト山頂からの360度パノラマ映像を観るだけでも価値あり。

 いやあ知らなかった。ヒラリー卿がニュージーランド人だったとは。ずっとイギリス人だとばかり思い込んでいた。更にヒラリー・テンジン組は第二次アタック要員であった。ナレーションの殆どが関係者の証言で構成されているが、やはりイギリス・パブリックスクール組のエリート意識とそれに基づく差別観があったことだろう。意地の悪い発言が結構多い。

 ジョージ・マロリーの第3次遠征(1924年)からヒラリーが踏破するまで29年を要している。頂上付近の難所がよくわかった。『そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記』を読んだ者としては避けて通れない映画である。


ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂 [DVD]
KADOKAWA / 角川書店 (2015-01-09)
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2015-08-07

高校で近現代史必修に 文科省、次期指導要領で骨格案


 文部科学省は5日、中央教育審議会(中教審)の特別部会で、次期学習指導要領の骨格案を示した。高校では日本や世界の近現代史を学ぶ「歴史総合」、地球規模の課題を解決する力を養う「地理総合」、社会参画への意欲を高める「公共」を新設し、必修科目とする。大学入試制度改革を見据え、数学と理科の横断科目も設ける。

 高校の科目を大きく見直した背景には、グローバル化が進む中で、知識を活用し、現代的な課題を解決できる人材の育成につなげる狙いがある。

 次期指導要領は小学校で2020年度、中学校で21年度、高校で22年度以降に実施される予定。中教審は8月中に骨格案をまとめた後、学校や教科別に詳細を検討し、16年度中に答申する。

 現在の高校の地理歴史は世界史が必修で、日本史と地理が選択になっている。骨格案では世界史の必修をやめ、日本史Aと世界史Aを統合して近現代史を中心に学ぶ「歴史総合」を必修科目として新設する。

 文科省の調査では、生徒の近現代史の知識や理解の定着率は日本史、世界史ともに他の時代に比べて低い。「今の世界情勢を理解するには、近現代史の転換点を重点的に学ぶ必要がある」(担当者)という。

 地理は地球規模の課題解決や防災教育の必要性が高まっているとして、地理Aを再構成して「地理総合」を必修科目で新設する。コンピューター上で地理情報を作成する技能の向上などを通じ、グローバルな視点での地域理解を目指す。

「公共」は選挙権年齢の「18歳以上」への引き下げなどを踏まえ、模擬選挙や模擬裁判での討論のほか、インターンシップなどの実践的な活動を実施する。弁護士や消費者センター、起業家ら外部の専門家らも関わり、「現代社会の様々な課題に積極的に取り組み、自立できる力を育む」(同)とした。

 文科省は大学入試センター試験に代え、20年度から大学入学希望者学力評価テスト(仮称)を始める。教科横断型の問題も検討しており、骨格案では数学と理科を合わせた「数理探究」が新たな選択科目として取り入れられた。数学の枠を超えた科学的なテーマに向き合い、考え抜く力を育成するとした。

日本経済新聞 2015年8月6日

 朗報である。むしろ遅すぎたといってもよいだろう。出来事が歴史と化すまでには30年を要するといわれる。その意味から申せば現代史の位置づけがよくわからぬが、江戸~明治~大東亜戦争前後におよぶ近代史は義務教育でもしっかりと教えるべきだろう。と同時に父兄が日教組教員を拒む運動を起こすことが望ましい。

2015-08-06

ポール・スミスのアルベマール・ストリート店(ロンドン)




2015-08-05

恐るべきフィット感/アシックス ロードジョグ7

[アシックス] Asics ロードジョグ 7 TJG132 9390 (ライトニング/ブラック/26.5)[アシックス] asics レディ ロードジョグ 7
(左がメンズ、右がレディース)

 カラーは6色で色によって価格が異なるので要注意のこと。私は黒を購入したのだが、今見たら値段が下がっているではないか。2672円也。30日間は返品送料が無料なので、普段なら26.0だが思い切って25.5を注文した。恐るべきフィット感である。はっきり言おう。今まで私が履いてきたスニーカーが「靴」であったとすれば、これは「靴下」のレベルである。いや、マジっすよ。他のスニーカーがブカブカに感じてしまうため、使用を躊躇したほどである。もちろん3000円を切るわけだから見てくれはよくない。ただし履いた瞬間に見てくれは無視できるようになる。1万円前後の値段でもこれほどの履き心地には至る物は見当たらない。製造中止とならない限りは、このスニーカーを愛用してゆくつもりである。で、先ほど白を注文した。

アメリカの病巣と化すCIA/『HOMELAND シーズン3』


『HOMELAND』はシーズン1の設定が秀逸で、ダミアン・ルイスの飄々とした演技が魅力的であった。しかしながら妻の浮気という陳腐な要素が盛り込まれることでドラマ性が薄れた。これは『ザ・ユニット 米軍極秘部隊』と同じ構図でアメリカドラマの芸のなさを示す。

 キャストの演技力にストーリーが追いついていない。ま、俳優の力だけで引っ張るドラマといってよい。シーズン3で登場するナザニン・ボニアディがとても可愛らしい。


 キャリーは双極性障害、ブロディは洗脳、ソール(マンディ・パティンキン)は妻と別居など、設定自体が病んでいるのだが、最も病んでいるのはCIAの体質そのもので、インテリジェンスが極まるところには不毛な不信感しか生まれないことを見事に示す。

 まったくもって救いのないドラマである。ブロディが洗脳されたのもインテリジェンスのためであり、アルカイダからテロを命じられ、CIAからは暗殺を指示されたのもインテリジェンスのためであった。お互いが最初から手の内を明かしてしまえばスパイ活動のコストは不要となる。

 プロテスタント原理主義に基づく正義を標榜するアメリカが実は不安神経症なのだ。『24 -TWENTY FOUR-』ではまだ正義が辛うじて担保されていた。ジャック・バウアーは法や規則を無視することで正義を際立たせた。『HOMELAND』にはそれがない。ソールやダールといったCIAの官僚が自らの手を汚すことなくキャリーやブロディを酷使する。

 このドラマは9.11後のアメリカが転落する様相の象徴であろう。結果的には「テロリズムと闘う」ことでアメリカは滅びるのだ。

【追記】キャリーがブロディをファーストネームで呼ばないのはなぜなのだろう?

HOMELAND/ホームランド DVD-BOX1HOMELAND/ホームランド シーズン2 DVDコレクターズBOXHOMELAND/ホームランド シーズン3 DVDコレクターズBOX