2008-08-30

第三次中東戦争がナチ・ホロコーストをザ・ホロコーストに変えた/『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン


 ・目次
 ・エリ・ヴィーゼルはホロコースト産業の通訳者
 ・誇張された歴史を生還者が嘲笑
 ・1960年以前はホロコーストに関する文献すらなかった
 ・戦後、米ユダヤ人はドイツの再軍備を支持
 ・米ユダヤ人組織はなりふり構わず反共姿勢を鮮明にした
 ・第三次中東戦争がナチ・ホロコーストをザ・ホロコーストに変えた
 ・1960年代、ユダヤ人エリートはアイヒマンの拉致を批判
 ・六月戦争以降、米国内でイスラエル関連のコラムが激増する
 ・「ホロコースト=ユダヤ人大虐殺」という構図の嘘
 ・ホロコーストは「公式プロパガンダによる洗脳であり、スローガンの大量生産であり、誤った世界観」
 ・ザ・ホロコーストの神聖化
 ・ホロコーストを神聖化するエリ・ヴィーゼル
 ・ホロコースト文学のインチキ
 ・ビンヤミン・ヴィルコミルスキーはユダヤ人ですらなかった

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

 第三次中東戦争は「六日戦争」とも呼ばれ、わずか6日間の戦闘でイスラエルは占領地域を4倍にまで拡大した。

 すべてが変わったのは、1967年6月の第三次中東戦争(六月戦争)からだ。誰に聞いても、ザ・ホロコーストがアメリカ・ユダヤ人の生活と切っても切れないものになったのはこの紛争後のことだという意見がほとんどだ。標準的な説明では、この変化は、六月戦争におけるイスラエルの極度の孤立と脆弱さがナチによる絶滅計画の記憶を蘇らせたため、とされている。しかし実際は、この分野は当時の中東における力関係を表わしてはいないし、アメリカ・ユダヤのエリートたちとイスラエルの間の深まりゆく関係の本質も伝えてはいない。
 主だったアメリカ・ユダヤ人組織は第二次世界大戦後、冷戦でのアメリカ政府の優先事項に従ってナチ・ホロコーストを軽視した。そしてそれとまったく同じ理由から、イスラエルに対する姿勢についても、彼らはアメリカの政策と歩調を合わせたのである。アメリカ・ユダヤのエリートたちは最初、ユダヤ人国家というものに根深い不安を抱いていた。その最たるものは、ユダヤ人国家が「二重の忠誠心」という嫌疑を裏付けることになるのではないかという恐れだった。(※イスラエルは国家成立後、西側陣営に加わったものの、イスラエル指導層のほとんどが東ヨーロッパ系の左翼であったため、ソヴィエト陣営につく懸念を払拭できなかった。当時はアメリカもイスラエルとは距離を置いていた)

【『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン:立木勝〈たちき・まさる〉訳(三交社、2004年)】

 中東におけるイスラエルと、極東における日本は地政学上無視できない位置にあるという点で似ている。しかしながら決定的に異なるのは、日本人が黄色人種であることだ。日本にとっての外交はアメリカが大半を占めているが、アメリカにとっての日本は数多い同盟国の一つに過ぎない。

 第三次中東戦争でイスラエルが圧倒的な勝利を収め、米国のユダヤ・エリートは同盟関係を深めることに全力を注いだ。アメリカという国は、「世界の警察」というよりは、「暴力にものを言わせるボス」という存在だが、民主主義の宗主国である以上、世論を無視することは絶対にできない。そこで、自分達が描いた物語に誘導するべく、情報操作が始まる。

2008-08-28

残酷なまでのユーモアで階層社会の成れの果てを描く/『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル


『反社会学講座』パオロ・マッツァリーノ

 ・残酷なまでのユーモアで階層社会の成れの果てを描く

『パーキンソンの法則 部下には読ませられぬ本』C・N・パーキンソン
『新版 人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ

必読書リスト その三

 階層社会におけるエントロピー増大の法則といった内容。教育学博士であるローレンス・J・ピーターが編み出した法則とは以下のもの――

 階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能のレベルに到達する。

【『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル:渡辺伸也訳(ダイヤモンド社、2003年、新装版、2018年)以下同】

 やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。

 仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行なわれている。

 管理職が無能な理由が明快に解き明かされている。人間には無限の可能性が秘められているが、不特定多数の人々は人間には限界があることを雄弁に物語っている(笑)。文章にするとピーターの法則は、悪い冗談のように思えるが、極めて数学的な概念である。社長や代表取締役までの段階は数える程度しかないものの、サラリーマンにとっては無限に続く階段のようなものだろう。

 この世に生を享けた以上、人は必ず老いる。太陽も必ず沈む。その意味でローレンス・J・ピーターが奨励する“創造的無能”は、太陽を正午の時間で止めてしまうような無謀さを露呈している。しかしながらその本意は、欲望に任せて昇進を遂げるよりは、自分の才能を発揮しながら楽しい人生を歩むよう促しているのだろう。

 パオロ・マッツァリーノ著『反社会学講座』と併せて読めば、社会学の天才になれるかもよ。

2008-08-24

米ユダヤ人組織はなりふり構わず反共姿勢を鮮明にした/『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン


 ・目次
 ・エリ・ヴィーゼルはホロコースト産業の通訳者
 ・誇張された歴史を生還者が嘲笑
 ・1960年以前はホロコーストに関する文献すらなかった
 ・戦後、米ユダヤ人はドイツの再軍備を支持
 ・米ユダヤ人組織はなりふり構わず反共姿勢を鮮明にした
 ・第三次中東戦争がナチ・ホロコーストをザ・ホロコーストに変えた
 ・1960年代、ユダヤ人エリートはアイヒマンの拉致を批判
 ・六月戦争以降、米国内でイスラエル関連のコラムが激増する
 ・「ホロコースト=ユダヤ人大虐殺」という構図の嘘
 ・ホロコーストは「公式プロパガンダによる洗脳であり、スローガンの大量生産であり、誤った世界観」
 ・ザ・ホロコーストの神聖化
 ・ホロコーストを神聖化するエリ・ヴィーゼル
 ・ホロコースト文学のインチキ
 ・ビンヤミン・ヴィルコミルスキーはユダヤ人ですらなかった

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

 第二次世界大戦後、米ソの冷戦構造が世界を支配した。アメリカでは反共ヒステリーともいうべきマッカーシズム旋風が吹き荒れ、赤狩りに血道をあげた。米ユダヤ人組織は、反共の旗幟(きし)を鮮明にして同胞であるユダヤ人をも生贄(いけにえ)として差し出した。

 アメリカ・ユダヤのエリートたちのあいだで最終的解決の話題がタブーだったのには、もう一つ理由がある。左翼のユダヤ人が、冷戦でドイツと同盟してソヴィエト連邦と対峙することに反対で、こちらはナチの問題を持ち出すことをやめなかったからである。ナチ・ホロコーストの記憶は共産主義の理想と結びついた。ユダヤ人と左翼を同一視するステレオタイプの見方に縛られて――実際に1948年の大統領選挙では、進歩派候補ヘンリー・ウォーラスの得票数の3分の1はユダヤ人によるものだった――アメリカ・ユダヤのエリートたちは躊躇なく、同胞のユダヤ人を生贄として反共産主義の祭壇に捧げたのである。危険分子と疑われたユダヤ人の名簿を政府機関に提供することで、AJCとADLは積極的にマッカーシーの魔女狩りに協力した。AJCはローゼンバーグ夫妻の死刑を容認する一方で、月間機関誌『コメンタリー』に、夫妻は「本当の」ユダヤ人ではないという社説を掲載した。
 国内外の左翼とつながっていると見られることを恐れた主流ユダヤ人組織は、反ナチだったドイツ社会民主党との協力にも反対し、ドイツ製品の不買運動や元ナチ党員の合衆国入国に反対する大衆デモへの協力までも拒んだ。その一方で、プロテスタント牧師で反ナチ運動の指導者だったマルティン・ニーメラーは、ナチ強制収容所で8年を過ごし、当時は反共産主義運動に参加していたにもかかわらず、訪米中にアメリカ・ユダヤの指導者たちから誹謗中傷された。ユダヤのエリートたちは、自分たちの反共姿勢の信用度を上げようと躍起になり、ついには「共産主義と闘う全米会議」のような右翼過激派組織に参加して財政的に支えるようになり、ナチ親衛隊の元隊員の入国も見てみぬふりをしたのである。

【『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン: 立木勝訳(三交社、2004年)】

 訳文が拙く、途中でわかりにくくなっているが、米国内で極右の立場になることで保身を図ったのだろう。「だが、なぜ?」という疑問が湧いてくる。そこまで、ユダヤ・エリート達が臆病にならざるを得なかった理由は何なのか?

 ただ、共産主義者という新たなスケープゴートが狩りの対象となったことで、ナチスによる迫害の記憶がまざまざと甦ったことは容易に想像がつく。人類の歴史はいつだって犠牲者を必要としてきた。暴力という本能をいまだにコントロールできないところを踏まえると、人類の宿命と言っていいのかも知れない。

 ユダヤ人にとっては、率先して赤狩りに取り組むことが、自分達にとっての保険だったのだろう。ただし、このことがユダヤ人組織に限られたことかどうかは確認する必要がある。狂った風が吹けば、身を屈めてじっとしているか、風に吹かれてよろけるのが人の常。殊更、非難すべきこととは思えない。

 米国のユダヤ・エリートが大博打を打つのは、もう少し後のことである。

2008-08-23

戦後、米ユダヤ人はドイツの再軍備を支持/『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン


 ・目次
 ・エリ・ヴィーゼルはホロコースト産業の通訳者
 ・誇張された歴史を生還者が嘲笑
 ・1960年以前はホロコーストに関する文献すらなかった
 ・戦後、米ユダヤ人はドイツの再軍備を支持
 ・米ユダヤ人組織はなりふり構わず反共姿勢を鮮明にした
 ・第三次中東戦争がナチ・ホロコーストをザ・ホロコーストに変えた
 ・1960年代、ユダヤ人エリートはアイヒマンの拉致を批判
 ・六月戦争以降、米国内でイスラエル関連のコラムが激増する
 ・「ホロコースト=ユダヤ人大虐殺」という構図の嘘
 ・ホロコーストは「公式プロパガンダによる洗脳であり、スローガンの大量生産であり、誤った世界観」
 ・ザ・ホロコーストの神聖化
 ・ホロコーストを神聖化するエリ・ヴィーゼル
 ・ホロコースト文学のインチキ
 ・ビンヤミン・ヴィルコミルスキーはユダヤ人ですらなかった

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

 生きてゆくためなら利口になる必要がある――それを否定する人は少ないだろう。しかし、功利主義は時に善悪を見失い、いつしか我が身を狡猾さで染めてゆく。まして歴史を改竄(かいざん)するともなれば、後世の人々を嘘で惑わす結果となる。これほどの巨悪はあるまい。

 ナチのユダヤ人絶滅計画が公の場で語られなかった本当の理由は、アメリカ・ユダヤ指導者層の体制的順応政策と、戦後アメリカの政治風土だった。国内問題でも国際問題でも、アメリカ・ユダヤのエリートたちは、アメリカ当局の方針に忠実に従った。そうすることで、同化による権力への道という伝統的な目標が実際に促進された。冷戦が始まると、主流ユダヤ人組織もこの争いに飛び込んでいった。アメリカ・ユダヤのエリートたちがナチ・ホロコーストを「忘れた」のは、ドイツ(1949年からは「西ドイツ」)が戦後アメリカの重要な同盟国となり、アメリカとともにソヴィエト連邦と対峙するようになったからだ。今さら過去をほじくり出しても何の役にも立たないばかりか、問題を複雑化するだけだった。
 わずかな留保条件を残したのみで(それでもすぐに破棄された)、主だったアメリカ・ユダヤ人組織はすぐに政府方針に従い、ほとんど脱ナチ化していないドイツの再軍備を支持した。アメリカ・ユダヤ人委員会(AJC)は、「新方針および戦略的アプローチに対して組織的に反抗すれば、アメリカのユダヤ人は多数派を占める非ユダヤ人から孤立してしまい、戦後国内で達成してきた実績が危うくなる」として、まっ先にドイツとの再同盟の利点を説いた。シオニズム推進派の世界ユダヤ人会議(WJC)とそのアメリカ支部は、始めはこの方針に反対していたが、1950年代初めにドイツとの補償条約が調印されると反対をやめた。

【『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン: 立木勝〈たちき・まさる〉訳(三交社、2004年)】

 ユダヤ・エリートはアメリカの国策に従う道を選んだ。そのこと自体を私は批判するつもりはない。アメリカはユダヤ人国家ではないのだから、必要以上の軋轢(あつれき)を避けたと見ることもできよう。問題は、戦後のこうした事実を隠蔽(いんぺい)して、後出しじゃんけんのようにホロコーストを糾弾したことだ。

 もしも全てが、最初から練られた戦略であったとするならば、ユダヤ人恐るべしとしか言いようがない。

2008-08-19

1960年以前はホロコーストに関する文献すらなかった/『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン


 ・目次
 ・エリ・ヴィーゼルはホロコースト産業の通訳者
 ・誇張された歴史を生還者が嘲笑
 ・1960年以前はホロコーストに関する文献すらなかった
 ・戦後、米ユダヤ人はドイツの再軍備を支持
 ・米ユダヤ人組織はなりふり構わず反共姿勢を鮮明にした
 ・第三次中東戦争がナチ・ホロコーストをザ・ホロコーストに変えた
 ・1960年代、ユダヤ人エリートはアイヒマンの拉致を批判
 ・六月戦争以降、米国内でイスラエル関連のコラムが激増する
 ・「ホロコースト=ユダヤ人大虐殺」という構図の嘘
 ・ホロコーストは「公式プロパガンダによる洗脳であり、スローガンの大量生産であり、誤った世界観」
 ・ザ・ホロコーストの神聖化
 ・ホロコーストを神聖化するエリ・ヴィーゼル
 ・ホロコースト文学のインチキ
 ・ビンヤミン・ヴィルコミルスキーはユダヤ人ですらなかった

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

 信じ難い話である。捏造された歴史が、蜘蛛の巣さながらに後世の大衆をからめ取る。身動きのできない我々は嘘を信じて生きる他ない。本物の知性とは、我が身を飾る最新情報などではなく、人々の蒙を啓(ひら)かしめる光を伴っている。ノーマン・G・フィンケルスタインの勇気が「知は力」であることを雄弁に物語っている。

 しかしごく最近まで、ナチ・ホロコーストがアメリカ人の生活に登場することはほとんどなかった。第二次世界大戦の終結から1960年代の終わりまで、このテーマを取り上げた書籍や映画はほんのわずかだったし、この問題を扱う講座のある大学は合衆国中で一つだけだった。1963年にハンナ・アーレントが『イェルサレムのアイヒマン』を出したとき、引用できる英語の研究書は、ジェラルド・ライトリンガーの『最終的解決』とラウル・ヒルバーグの『ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅』の二つしかなかった。そのヒルバーグの名著にしても、やっとのことで日の目を見たものだった。コロンビア大学でヒルバーグの論文指導をしたフランツ・ニューマンはドイツ系ユダヤ人だったが、「君は不幸になる」と言って、この問題で論文を書くことを何とか思いとどまらせようとした。原稿が完成しても、どこの大学や大手出版社も手をつけようとしなかった。ようやく出版にこぎつけたが、『ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅』はほとんど注目されず、たまに取り上げられても批判的なものがほとんどだった。

【『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン: 立木勝〈たちき・まさる〉訳(三交社、2004年)】

「歴史」とは、「言い伝えられるもの」であり「教わるもの」だ。ここに歴史の危うさがある。古(いにしえ)の権力者は自らの正当性のために“勝手な物語”を創作してきた。つまり、歴史の書き手はいつの時代も政治家であった。歴史の嘘を見破るためには、「検証できないものを拒絶する」強靭なまでの知性が求められる。

環境ファッショ、環境帝国主義、環境植民地主義/『動物保護運動の虚像 その源流と真の狙い』梅崎義人


『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス

 ・環境・野生動物保護団体の欺瞞
 ・環境ファッショ、環境帝国主義、環境植民地主義
 ・「環境帝国主義」とは?
 ・環境帝国主義の本家アメリカは国内法で外国を制裁する
 ・グリーンピースへの寄付金は動物保護のために使われていない
 ・反捕鯨キャンペーンは日本人へのレイシズムの現れ
 ・有色人捕鯨国だけを攻撃する実態

『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』ナオミ・クライン
『アメリカの国家犯罪全書』ウィリアム・ブルム
『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン

必読書リスト その二

「環境」というだけで善なる匂いが立ち込める。しかし、環境問題といっても気候変動といっても、高く掲げた大義名分とは裏腹の、政治的な罠が仕掛けられていた。帝国主義の立場から見れば、問題なのは環境ではなく有色人種だった。「反ホロコースト=善」という構図とそっくりだ。

ノーマン・G・フィンケルスタイン

「環境ファッショ」という言葉がある。「環境帝国主義」や「環境植民地主義」と同じく、過激で独善的な自然、環境、動物保護運動に対する表現である。この環境帝国主義の犠牲者は、アザラシと共に生きるイヌイットや、象の利用で潤うアフリカ民族以外にも、いくつも指摘できる。また捕鯨の禁止で伝統的食文化を奪われたのは日本人だけではない。韓国、トンガ、フィジー、アイスランド、カナダ、ブラジル、ペルーなどの人々も同じだ。
 日本はさらに、母船式サケ・マス漁業とアカイカ、カジキを対象にした公海流し網漁業も、環境保護団体のキャンペーンで禁止に追い込まれている。

【『動物保護運動の虚像 その源流と真の狙い』梅崎義人〈うめざき・よしと〉(成山堂書店、1999年)】

 国際的な環境保護団体によるキャンペーンは、常に有色人種国家のみを糾弾してきた。こうした詳細が日本のマスメディアで報じられない事実を鑑みると、欧米に対して人種差別を指摘すること自体が日本の国益を損なうことになるのだろう。「日本側の主張は受け入れられなかった」という程度のソフトで簡潔な表現になっていることと思われる。もはや、ジャーナリズムに取材という文字はなく、記者クラブによる報道管制体制がきっちりと出来上がってしまっている。

 米・英・仏といった第二次大戦戦勝国がいまだに敗戦国を虐げている。「国際連合」と翻訳された機関の本当の意味は「連合国」(United Nations)であり、敗戦国はいつまでたっても常任理事国にはなれない。ルワンダに至っては、国連とアメリカによって完全に放置された。その結果、わずか3ヶ月あまりで100万人ものツチ族が殺戮される羽目になった。

誤った信念は合理性の欠如から生まれる/『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ


『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ

 ・誤った信念は合理性の欠如から生まれる
 ・迷信・誤信を許せば、“操作されやすい社会”となる
 ・人間は偶然を物語化する
 ・回帰効果と回帰の誤謬
 ・視覚的錯誤は見直すことでは解消されない
 ・物語に添った恣意的なデータ選択

『脳はいかにして〈神〉を見るか 宗教体験のブレイン・サイエンス』アンドリュー・ニューバーグ、ユージーン・ダギリ、ヴィンス・ロース
『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム
『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴットシャル

宗教とは何か?
必読書リスト その五

 迷信・誤信のメカニズムを微に入り細を穿(うが)って解き明かしている。思考回路に何らかの変化が訪れることは確実だ。情報化社会における迷信・誤信は、人生の舵取りを誤る可能性がある。人間心理を鋭く洞察した本格的な一冊である。

 以上から明らかなように、多くの誤った考えはもっぱら認知的な原因によって生じてくる。つまり、情報を処理したり結論を引き出したりする能力の不完全さによると考えられる。言い替えれば、「そう思いたい」というような心理的欲求を満足させるために誤った考えを持つのではなく、得られた事実に最もうまくあてはまる結論として導き出されたものが、結果的に誤った考えとなってしまうのである。ロバート・マートンの言葉を借りれば、人々がそうした信念を持つのは「自分自身の体験からこう結論せざるを得ない」と考えるからである。誤った信念は決して非合理性が生じるのではなく、合理性の欠陥から生じるのである。

【『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ:守一雄〈もり・かずお〉、守秀子〈もり・ひでお〉訳(新曜社、1993年)】

 全体的に訳文がよくないが、それを補ってあまりある内容。3分の1ほど進めば後は一気読みだ。このテキストのポイントは、「人間は合理性を求めるがゆえに、異形のジグソーピースであっても無理矢理はめ込む」ことである。つまり、“知識”という名の世界地図に余白があればあるほど、違う形のジグソーピースが紛れ込む可能性が高くなる。

 更に、情報の可塑性(かそせい)についても考えざるを得ない。同じ情報であっても受け手次第で変質することがよくある。人は、自分にとって都合のいい情報、都合のいい解釈、都合のいい関連づけをするからだ。

 悪質商法まがいの情報が氾濫する現在、我が身を守るためにも本書を精読すべきである。

2008-08-17

誇張された歴史を生還者が嘲笑/『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン


 ・目次
 ・エリ・ヴィーゼルはホロコースト産業の通訳者
 ・誇張された歴史を生還者が嘲笑
 ・1960年以前はホロコーストに関する文献すらなかった
 ・戦後、米ユダヤ人はドイツの再軍備を支持
 ・米ユダヤ人組織はなりふり構わず反共姿勢を鮮明にした
 ・第三次中東戦争がナチ・ホロコーストをザ・ホロコーストに変えた
 ・1960年代、ユダヤ人エリートはアイヒマンの拉致を批判
 ・六月戦争以降、米国内でイスラエル関連のコラムが激増する
 ・「ホロコースト=ユダヤ人大虐殺」という構図の嘘
 ・ホロコーストは「公式プロパガンダによる洗脳であり、スローガンの大量生産であり、誤った世界観」
 ・ザ・ホロコーストの神聖化
 ・ホロコーストを神聖化するエリ・ヴィーゼル
 ・ホロコースト文学のインチキ
 ・ビンヤミン・ヴィルコミルスキーはユダヤ人ですらなかった

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

 ナチス・ドイツの強制収容所を体験した人は、確実に真実の一部を知っている。歴史家の仕事は、部分的な真実をつなぎ合わせ、全体像を再構築することであろう。しかし、ホロコーストの全体像は歴史家の手によって“新しい物語”を創作された。

 私の両親は、死ぬまで毎日のようにそれぞれの過去を追体験していたが、晩年には、大衆向けの見せ物としてのザ・ホロコーストにまったく関心を示さなくなっていた。父の親友にアウシュヴィッツの収容所仲間がいた。買収など考えられない左翼の理想主義者で、戦後のドイツから補償金も信念に基づいて受け取りを拒否していたのだが、最後にはイスラエルのホロコースト博物館「ヤド・ヴァシェム」の館長になった。父は心から失望し、なかなか認めようとしなかったが、最後にはこう言った――あいつもホロコースト産業に買収された、権力と金のために信念を曲げたのだ、と。ザ・ホロコーストの演出が一層ばかげた形を取るようになるにつれ、母は皮肉を込めて、「歴史など戯言だ」というヘンリー・フォードの言葉を引いた。わが家では「ホロコースト生還者」の話はどれもこれも――収容所にいた者やレジスタンスの英雄の話もすべて――特殊な、捻れた笑いの種になった。ジョン・スチュアート・ミルがはるか昔に理解したように、継続的な批判に晒されない真実は、最後には「誇張されることによって真実の効力を停止し、誤りとなる」のである。

【『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン: 立木勝〈たちき・まさる〉訳(三交社、2004年)】

 最大の問題は、ホロコーストが神聖化され、一切の批判を封じていることだ。その陰でホロコーストの犠牲が拡大再生産されてゆく。

 第二次世界大戦が終了したのは1945年。あと数十年経てば、戦争を体験した人はこの世からいなくなる。そこで再び、歴史の修正、捏造(ねつぞう)、創作が行われることだろう。政治の目的とは、歴史をでっち上げることなのかも知れない。

2008-08-16

エリ・ヴィーゼルはホロコースト産業の通訳者/『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン


 ・目次
 ・エリ・ヴィーゼルはホロコースト産業の通訳者
 ・誇張された歴史を生還者が嘲笑
 ・1960年以前はホロコーストに関する文献すらなかった
 ・戦後、米ユダヤ人はドイツの再軍備を支持
 ・米ユダヤ人組織はなりふり構わず反共姿勢を鮮明にした
 ・第三次中東戦争がナチ・ホロコーストをザ・ホロコーストに変えた
 ・1960年代、ユダヤ人エリートはアイヒマンの拉致を批判
 ・六月戦争以降、米国内でイスラエル関連のコラムが激増する
 ・「ホロコースト=ユダヤ人大虐殺」という構図の嘘
 ・ホロコーストは「公式プロパガンダによる洗脳であり、スローガンの大量生産であり、誤った世界観」
 ・ザ・ホロコーストの神聖化
 ・ホロコーストを神聖化するエリ・ヴィーゼル
 ・ホロコースト文学のインチキ
 ・ビンヤミン・ヴィルコミルスキーはユダヤ人ですらなかった

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

 これだけの告発を行えば、いつ殺されてもおかしくないだろう。ノーマン・G・フィンケルスタインの怒りは、収容所を生き延びた両親によって培われたものだった。嘘が人を殺す――ナチス・ドイツでもルワンダでもそうだった。大量虐殺を実行するには、嘘に踊らされる群衆が必要なのだ。著者は、その嘘を憎んだ。本書を執筆する動機がそこにあったことと察する。

 本書はホロコースト産業を分析し、告発するためのものである。以下の各章では、ザ・ホロコーストがナチ・ホロコーストのイデオロギー的表現であることを論証していこうと思う。大半のイデオロギーと同じようにこれも、わずかとはいえ、現実とのつながりを有している。ザ・ホロコーストは、各個人による恣意的なものではなく、内的に首尾一貫した構造物である。その中心教義は、重大な政治的、階級的利益を支えている。実際に、ザ・ホロコーストがイデオロギー兵器として必要不可欠であることは、すでに証明済みだ。これを利用することで、世界でもっとも強力な軍事国家の一つが、その恐るべき人権蹂躙の歴史にもかかわらず「犠牲者」国家の役どころを手に入れているし、合衆国でもっとも成功した民族グループが同様に「犠牲者」としての地位を獲得している。
 どちらも、どのように正当化してみたところで上辺だけの犠牲者面(づら)にすぎないのだが、この犠牲者面は途方もない配当を生みだしている。その最たるものが、批判に対する免疫性だ。しかも、この免疫性を享受している者はご多聞に漏れず、道徳的腐敗を免れていないと言ってよい。この点から見て、エリ・ヴィーゼルがザ・ホロコーストの公式通訳者として活動していることは偶然ではない。彼の地位がその人道的活動や文学的才能によって得られたものでないことは明白だ。ヴィーゼルが指導的役割を演じていられるのは、むしろ、彼がザ・ホロコーストの教義を誤りなく言語化しているからであり、そのことによってザ・ホロコーストの基礎となる利益を得ているからである。

【『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン: 立木勝〈たちき・まさる〉訳(三交社、2004年)】

 この本の主人公はエリ・ヴィーゼルだ。エリ・ヴィーゼルこそはホロコースト産業におけるトリックスターであり、司祭であり、裁判官だ。ミスター・ホロコーストはアメリカ・ユダヤエリートのシナリオ通りに演技をする人気タレントだ。人々から寄せられる同情がエリ・ヴィーゼルへの批判を封じ込めている。そして、ホロコースト産業が行っているのは世界規模での“恐喝”である。



ノーマン・G・フィンケルスタイン「ヒズボラは尊敬に値する」
アドルフ・ヒトラーとジョン・F・ケネディの演説

2008-08-14

目次/『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン


 ・目次
 ・エリ・ヴィーゼルはホロコースト産業の通訳者
 ・誇張された歴史を生還者が嘲笑
 ・1960年以前はホロコーストに関する文献すらなかった
 ・戦後、米ユダヤ人はドイツの再軍備を支持
 ・米ユダヤ人組織はなりふり構わず反共姿勢を鮮明にした
 ・第三次中東戦争がナチ・ホロコーストをザ・ホロコーストに変えた
 ・1960年代、ユダヤ人エリートはアイヒマンの拉致を批判
 ・六月戦争以降、米国内でイスラエル関連のコラムが激増する
 ・「ホロコースト=ユダヤ人大虐殺」という構図の嘘
 ・ホロコーストは「公式プロパガンダによる洗脳であり、スローガンの大量生産であり、誤った世界観」
 ・ザ・ホロコーストの神聖化
 ・ホロコーストを神聖化するエリ・ヴィーゼル
 ・ホロコースト文学のインチキ
 ・ビンヤミン・ヴィルコミルスキーはユダヤ人ですらなかった

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
『ヒトラーの経済政策 世界恐慌からの奇跡的な復興』武田知弘

 今、せっせと入力しているのだが、あまりにも衝撃的な内容であるため、目次には掲載されていない見出しを紹介しておこう。原著はペーパーバックで刊行され、米国を除いた各国でベストセラー入りしている。ノーマン・G・フィンケルスタインの両親は強制収容所からの生還者である。歴史的な事実を「ナチ・ホロコースト」、戦後20年以上経って突然現れた論調を「ザ・ホロコースト」=「ホロコースト産業」と厳密に区別している。

 ホロコースト産業は、アメリカとイスラエルが接近してから後に生まれたものである。何と1967年以降というのだから驚きだ。それまでは第二次大戦後、米独が友好関係にあったため、アメリカ在住のユダヤエリート達は沈黙を保っていた。それどころか、反共姿勢を明確にするために元ナチスのアメリカ入国をも支援していた。

 ホロコースト産業は、スイスやドイツを始めとする世界各国に賠償金を吹っ掛けて脅し上げる。強制収容所からの生還者数を水増しし、アメリカ合衆国の政治力をバックに賠償金を吊り上げる。まさに「壮大なカツアゲ」と言っていいだろう。そして、まんまとせしめた莫大な資金は、犠牲者に支払われることなくユダヤ人組織が吸い上げている。

 ユダヤ人による内部告発といった内容であるが、改竄(かいざん)されたのは食品の賞味期限なんかではなく歴史そのものなのだ。桁違いの巨悪というべきだ。そのお先棒を担いでいるのがエリ・ヴィーゼルである。『夜』に始まる3部作もゴーストライターが書いたという噂があるが、確かにそう言われてみると現実感の伴わない文章である。

 梅崎義人著『動物保護運動の虚像 その源流と真の狙い』と併せて読めば、世界がどのような力学で動いているかが実によく理解できる。

序論 ユダヤ人以外の苦しみに心を開くべき時が来ている

・イデオロギー兵器としてのザ・ホロコースト
・アメリカ・ユダヤによるナチ・ホロコーストの「発見」
・ユダヤ人以外の苦しみに心を開くべき時が来ている

第1章 政治・経済的な「資産」としてのザ・ホロコースト

・戦後ある時期までナチ・ホロコーストは注意を払われなかった
・冷戦下、同盟国ドイツの過去に蓋をする
・第三次中東戦争(1967年)がすべてを変えた
・アメリカ最新の戦略的資産としてのイスラエルの「発見」
・アメリカの権力とぴったり歩調を合わせる
・アメリカで“突然流行”し、組織化されていったホロコーストの話題
・すべてはアメリカ・イスラエル同盟の枠組みの中で起こった
・アイヒマン裁判で証明されたナチ・ホロコースト利用の有用性
・イスラエルが資産になった途端にシオニストに生まれ変わったユダヤ人
・新たな反ユダヤ主義をめぐる作られたヒストリー
・歴史的な迫害を持ち出すことで現在の批判を逸らす

第2章 騙し屋、宣伝屋、そして歴史

・ホロコーストの枠組みを支える二つの中心教義
・唯一性はホロコーストの枠組みにおける所与の事実
・ホロコーストの唯一性をめぐる議論の不毛さ
・ホロコーストの唯一性からユダヤ人の唯一性の主張へ
・異教徒による永遠の憎悪というザ・ホロコーストの教義
・反ユダヤ主義の非合理性はザ・ホロコーストの非合理性から導かれる
・ユダヤ人の選民意識を強化したザ・ホロコースト
・コジンスキー『異端の鳥』におけるホロコーストのでっち上げ
・『断片』のヴィルコミルスキーはユダヤ人ですらなかった
・アラブにナチズムの汚名を着せようとするホロコースト擁護者たち
・ホロコースト文学の批判的研究に対する執拗な中傷と圧力
・でっち上げられたホロコースト否定論というお化け
・なぜアメリカの首都に政府運営のホロコースト博物館があるのか
・策略の核心はユダヤ人のためだけに記念すること

第3章 二重のゆすり

・年々水増しされる「生存するホロコースト生還者」の数
・ドイツはすでに1952年に諸ユダヤ機関との賠償金協定に調印していた
・請求ユダヤ人会議は補償金を犠牲者の社会復帰のために使わなかった
・ホロコースト期ユダヤ人資産の所有権を主張するホロコースト産業
・「数十億を盗み取った50年にわたるスイスとナチの陰謀」
・「スイスの銀行に資産が存在したことを証明できる者」はほとんどいなかった
・公聴会のポイントは「センセーショナルなストーリーを作り出す」こと
・調査結果が出る前に金銭による和解へ向けて圧力をかけるホロコースト産業
・スイスを脅す二つの戦略としての集団訴訟と経済的ボイコット
・ついに屈服したスイスは12億5000万ドルの支払いに同意
・最終和解で「困窮するホロコースト生還者」がどう扱われるかは不透明
・ベルジェ委員会「スイスと第二次世界大戦中の金取引」
・ヴォルカー委員会「スイスの銀行におけるナチ迫害犠牲者の休眠講座に関する報告」
・実際の休眠ホロコースト口座総額は世界ユダヤ人会議の主張より桁違いに少なかった
・アメリカの銀行ではホロコースト期の休眠口座はどうなっているか
・アメリカの銀行を調査せよという運動は起きなかった
・スイスの次はドイツに対するゆすりが始まった
・ドイツはまったく補償していないという言いがかり
・補償金の請求額をつり上げるために存命生還者の数が増やされる
・60万以上の生還者がいるとしたらナチの最終的解決は杜撰なものだったことになる
・ゆすりの最大の山場は東ヨーロッパに対するもの
・アメリカによる経済制裁という棍棒を振るうホロコースト産業
・巨大な金持ち官僚機構となったホロコースト産業はますます凶暴化していく



シオニズムと民族主義/『なるほどそうだったのか!! パレスチナとイスラエル』高橋和夫
予言者ヒトラー/『1999年以後 ヒトラーだけに見えた恐怖の未来図』五島勉
魔女狩りは1300年から激化/『魔女狩り』森島恒雄

2008-08-08

環境・野生動物保護団体の欺瞞/『動物保護運動の虚像 その源流と真の狙い』梅崎義人


『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス

 ・環境・野生動物保護団体の欺瞞
 ・環境ファッショ、環境帝国主義、環境植民地主義
 ・「環境帝国主義」とは?
 ・環境帝国主義の本家アメリカは国内法で外国を制裁する
 ・グリーンピースへの寄付金は動物保護のために使われていない
 ・反捕鯨キャンペーンは日本人へのレイシズムの現れ
 ・有色人捕鯨国だけを攻撃する実態

『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』ナオミ・クライン
『アメリカの国家犯罪全書』ウィリアム・ブルム
『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン

必読書リスト その二

 シーシェパードという環境団体が、日本の調査捕鯨船に対して妨害行為を行ったことは記憶に新しい。テロ同様の示威行為がなぜ可能なのか? 本書を一読すれば理解できる。

 1970年代に端を発した環境・野生動物保護運動は、ことごとく成功を収めた。成功者はグリーンピース、WWF(世界自然保護基金)などの巨大環境保護団体である。彼らはマスメディアを利用して、説得力ある訴えと目を引きつける映像を一般大衆に送り、国際世論を創り上げた。だが、その訴えの多くが事実に反していたし、映像も創作されたものがほとんどだった。

【『動物保護運動の虚像 その源流と真の狙い』梅崎義人〈うめざき・よしと〉(成山堂書店、1999年)】

 安易な陰謀モノではない。梅崎義人氏は元時事通信の記者である。環境問題や野生動物保護運動の矛先が、常に有色人種国家に向けられている現状を丁寧に描いている。

 既に「環境問題」なるキーワードがグローバルスタンダードとなってしまったが、気候変動(こちらが世界標準の言葉)が環境破壊によるものなのかどうかは確定しているわけではない。名古屋大学大学院教授の武田邦彦氏は、「科学的な視点の欠如」を指摘している。人類の歴史を振り返っても、脅威となるのは寒冷化であって温暖化ではない。

 テーマは環境問題となっているが、書かれているのは「国際社会がどのような力学で動いているか」という実にスリリングな内容である。欧米列強の行為はいじめにも等しいもので、あまりにも稚拙な世界の実態に驚愕せざるを得ない。静かな怒りから生まれた“告発の書”である。