2020-06-07

警察組織にはびこる薩長閥/『初陣 隠蔽捜査3.5』今野敏


『隠蔽捜査』今野敏
『果断 隠蔽捜査2』今野敏
『疑心 隠蔽捜査3』今野敏

 ・警察組織にはびこる薩長閥

・『転迷 隠蔽捜査4』今野敏
・『宰領 隠蔽捜査5』今野敏
・『自覚 隠蔽捜査5.5』今野敏
・『去就 隠蔽捜査6』今野敏
・『棲月 隠蔽捜査7』今野敏

 理由は明らかだ。
 初代の警視庁大警視は、薩摩(さつま)藩出身の川路利良(かわじとしよし)だった。大警視は後の警視総監だ。
 今とは、警察機構自体が違うのだが、事実上、川路利良は全国の警察のトップだったと言える。
 警視庁は当時から東京府の警察だったが、内務省が統括していた。他の地方警察が知事によって統括されていたことを考えれば、警視庁は国家警察の性質も持ち合わせていたのだ。
 事実、その後は、特別高等警察など、内務省の実務をこなしていくことになる。
 戦後、警察も大きく様変わりした。全国の警察組織である警視庁と、地方警察とに分かれた。
 だが、いまだに警察組織は、薩長閥(さっちょうばつ)がある。一般の人には信じられないかもしれないが事実なのだ。
 警視庁のことを符丁(ふちょう)でサッチョウと呼ぶ。これは警視庁と区別してケイだけを省いたのだと言われているが、それだけではない。実は、薩長とかけてあるのだ。
 会津と薩摩・長州は、その歴史をひもとくまでもなく犬猿の仲だ。
 会津藩最後の筆頭家老だった西郷頼母(さいごうたのも)や白虎隊(びゃっこたい)の悲劇は、いまだに住民の心に深く刻まれている。それが、薩摩・長州への恨みにつながっているのだ。

【『初陣 隠蔽捜査3.5』今野敏〈こんの・びん〉(新潮社、2010年/新潮文庫、2013年)】

 私が道産子のせいか血や土地のつながりを重んじるエトスが全く理解できない。苫米地英人〈とまべち・ひでと〉も「日本における『勝ち組』の正体は薩摩・長州出身者」と指摘している。

 ところで、徳川幕府に取って代わった明治維新の新勢力は、結局どのような人物たちでしょうか。
 もちろん、薩摩と長州の武士たちです。
 脈々と現代に生き続ける、日本の「勝ち組」の正体は、じつはこの薩摩と長州を中心とする勢力だということができます。
 明治維新以来、昭和21年に日本国憲法が施行されるまでの間に任ぜられたのべ45人の内閣総理大臣のうち、薩摩出身者はのべ5人、長州出身者はのべ11人に上っています。倒幕に参加した土佐藩からはのべ1人、肥前藩からはのべ2人、占有率はじつに42パーセントを超えてしまいます。大蔵大臣、外務大臣などの主要ポストも薩長閥がほとんどです。
 中央省庁のなかでも、とくに警察庁と防衛省は、薩長の牙城です。鹿児島県、山口県の出身者が多く、事情を知る関係者の間には「鹿児島県、山口県の出身者でなければ出世できない」という暗黙の了解があるほどです。最後まで新政府軍と戦った会津藩の福島県には、昭和になってからようやく国立大学が創られたというのも有名な話です。

【『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(ビジネス社、2008年)】

 安倍晋三首相も長州から出馬している。東京生まれだが本籍は父親(安倍晋太郎)の故郷である山口県になっている。

 内田樹〈うちだ・たつる〉が「原発があるのは戊辰戦争のときの賊軍側の藩ばかり」と言ったのは強(あなが)ち的外れではない(安易には言えないが、原発が立地しているところは戊辰戦争や西南戦争の敗者が多いのは確かだ | タクミくん二次創作SSブログ(Station後))。

 藩閥、軍閥、閨閥(けいばつ)、学閥などがまかり通っているならば、人事は情に流されていると言ってよい。閥とは利益を共有するつながりである。それが1869年(戊辰戦争が終わった年)から続いているとすれば腐敗の極みに達しているのは確実だ。

 世界にあってもロスチャイルド家は同族の婚姻しか認めないと言われる。また、「アメリカ大統領は1人を除き全て英国史上最低の暗君ジョン王の子孫だった」と12歳の少女が見破ったのは2012年のことだ(世界の真実や報道されないニュースを探る ■地球なんでも鑑定団■)。

 政治家の世襲は政治資金団体を通すことで相続税を回避するのが最大の目的とされる。株式会社もまた同様だ。国家を率いる立場の政治家や企業家が税負担を避けながら、その一方で消費税を増税するとは噴飯物である。

 共産主義が目指した革命にはそれ相応の大義があった。だが実現した社会主義国家には新たな門閥が生まれただけであった。崩壊したソ連から何一つ学ぶことなく共産主義の郷愁に浸っている団塊の世代が多い。

 薩長閥は戦後レジームよりも厚い壁なのだろう。

 尚、本シリーズの「.5」とは短篇集を意味する。

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