2012-08-02

狼の咆哮/「清河への道」新井英一


「これが歌だ。これこそが本物の歌だ」――一瞬にしてそう感じた。明くる日、私はCDショップへと猛ダッシュした。狼のような咆哮、出自を辿る歌詞、ギターのリフレインがまるで六道輪廻を思わせた。CDに収録されているのは1曲のみ。まさしく超重量級だった。大地を踏みしめる脚力がなければ、聴くこと自体に耐えられない。何度も聴いていると耳の底で地鳴りが起こった。新井英一〈あらい・えいいち〉は決して器用な歌い手ではない。他のCDも買ったが、曲調があまりに泥臭くて数回しか聴かなかった。「新井英一は日本のウラジミール・ヴィソツキーである」と私は密かに確信した。タイトルは「清河(チョンハー)への道」と読む。レコード大賞で何か賞を獲得したはずだ。



清河(チョンハー)への道

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