2016-05-18
増谷文雄、梅原猛、アーナルデュル・インドリダソン、中野剛志、中野信子、適菜収、他
5冊挫折、3冊読了。
『津波てんでんこ 近代日本の津波史』山下文男(新日本出版社、2008年)/震災史としての津波はよく描けているのだが、随所に東京裁判史観を盛り込む政治的意図があざとい。山下は「津波てんでんこ」という言葉を広めた人物として有名だが、元日本共産党中央委員会文化部長でもある。イデオロギーに毒された人物は全体が見えない。自分たちに都合のよい部分情報を引用しがちである。つくづく残念な一書である。
『ORのはなし 意思決定のテクニック』大村平〈おおむら・ひとし〉(日科技連出版社、1989年/改訂版、2015年)/難解である。入門書に当ってから再挑戦。
『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』ニコラス・A・クリスタキス、ジェイムズ・H・ファウラー:鬼澤忍〈おにざわ・しのぶ〉訳(講談社、2010年)/文章というよりは説明能力の問題か。読んでいて閃くものがない。
『密教とマンダラ』頼富本宏〈よりとみ・もとひろ〉(NHKライブラリー、2003年/講談社学術文庫、2014年)/上に同じ。
『和訳 理趣経』金岡秀友〈かなおか・しゅうゆう〉(東京美術、1991年)/七五調の韻文とした努力は買うが、安っぽい印象を拭えず。俗っぽさが際立つ。文語調にした方がよかったと思う。取り敢えず理趣経の内容はわかったのでもう必要ない。
67冊目『脳・戦争・ナショナリズム 近代的人間観の超克』中野剛志〈なかの・たけし〉、中野信子、適菜収〈てきな・おさむ〉 (文春新書、2016年)/この3人が呑み友達だったとはね。いやあびっくりした。中野剛志が1971年生まれで、他の二人は75年生まれ。頭のよい連中の話は面白い。一日で読み終えた。適菜収の肩書きは評論家となっているが安倍晋三や橋下徹を呼び捨てにする品性のなさが説得力を弱めている。はっきり言えば頭のいいオタクにしか見えない。amazonで低い評価をつけているのは左寄りの連中だろう。
68冊目『声』アーナルデュル・インドリダソン:柳沢由実子訳(東京創元社、2015年)/既に何度か書いているが柳沢由実子は引退するべきだ。時折、文章が危うくなっている。アーナルデュル・インドリダソンの和訳3冊目だが出来はよくない。などとケチをつけても二日間で読める。
69冊目『知恵と慈悲「ブッダ」 仏教の思想 1』増谷文雄〈ますたに・ふみお〉、梅原猛(角川書店、1968年/角川文庫ソフィア、1996年)/勉強になった。初期仏教の探求が昭和40年代から行われていた事実に驚かされた。尚、梅原の「第三部 仏教の現代的意義」は飛ばした。全12巻のシリーズである。
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