2016-10-30
ベルナール・ミロー
・読書日記
・フランス人ジャーナリストが描く特攻の精神
・仏教は神道という血管を通じて日本人の体内に入った
1冊読了。
157冊目『神風』ベルナール・ミロー:内藤一郎訳(ハヤカワ・ノンフィクション、1972年)/上下二段で350ページ。日本人が書いた特攻ものでは必ずといってよいほど紹介されているのが本書である。ベルナール・ミローはフランス人ジャーナリストである。内藤一郎の達意の訳が心をつかんで離さない。内藤は海軍技術者で特攻機の試作・製造にも関わった。原書を渡され二度読むも、翻訳の依頼を固辞した。内藤は散華した特攻隊員と沈黙の中で生きることを自らの責任と課した。たまたま見たテレビ番組で若者が「特攻なんてものは、この世でもっとも無様な死に方です」と語った。内藤の心で何かが動いた。彼は翻訳に取り掛かった。ミローは日本の歴史や伝統、宗教的土壌をも手繰り、極めて冷静な視点で神風を描く。白人特有の人種差別意識も全く見受けられない。それどころか「凶暴でファナティックな日本人」という世界に広まったイメージを引っくり返そうと努める。ミローには特攻隊員の精神を「美しい」と受け止める感受性があった。唯一の瑕疵(かし)は白人帝国主義に対する反省がない点である。合理性とは無縁な日本特有の組織構造を払拭できたとは思えない。縄張り意識、いじめ、自暴自棄、そして犠牲に次ぐ犠牲の数々……。ここに着目したのが小室直樹であるが、小室亡き後、衣鉢を継ぐ者がいない。つまり日本は同じ過ちを何度でも繰り返す可能性がある。「必読書」「日本の近代史を学ぶ」に加えた。
2016-10-28
サルコペニア肥満を恐れよ/『寝たきり老人になりたくないなら大腰筋を鍛えなさい』久野譜也
・『調子いい!がずっとつづく カラダの使い方』仲野孝明
・『自分で治せる!腰痛改善マニュアル』ロビン・マッケンジー
・『高岡英夫の歩き革命』、『高岡英夫のゆるウォーク 自然の力を呼び戻す』高岡英夫:小松美冬構成
・サルコペニア肥満を恐れよ
・四股鍛錬
筋肉は「老化に抗(あらが)う器官」です。
歳をとれば、誰でも衰えを感じるようになります。白髪が増えてきたり、老眼になったり、耳が遠くなったり……歳とともに少しずつ機能が衰えてくるのは“老化だから仕方がない”と思っている方も多いでしょう。
でも、筋肉だけは別です。たとえ、70歳、80歳になろうとも、鍛えれば量を増したり機能を高めたりします。なかには90歳代で筋量が増えたというデータもあります。言ってみれば、体の中で筋肉だけが「加齢」「老化」という流れに果敢に逆らっているわけです。
【『寝たきり老人になりたくないなら大腰筋を鍛えなさい』久野譜也〈くの・しんや〉(飛鳥新社、2014年/飛鳥新社文庫、2017年)】
久野譜也は筑波大学院教授で、インナーマッスルの一つである大腰筋(※画像)に初めて注目した人物。きっかけは高野進(男子400mの日本記録保持者)のMRI撮影であった。太腿の筋肉を撮影したところ大学生の陸上選手と変わらぬ太さであった。ついでにあちこち撮影したところ高野の大腰筋が異様に太いことがわかったという。イスさえあれば直ぐにできるトレーニングメニューも紹介。40歳以上の善男善女は必読のこと。
20代の筋肉を100とすると、40代で20%減、50代で30%減、60代で40%減、70代で50%減と筋肉量低下は進行する。つまり年々1%ずつじわじわと減ってゆくわけだ。これが疲労の原因となるいう。
加齢や疾患による筋肉減少をサルコペニアといい、これに肥満が加わると疾病のリスクが一気に上がる。減った筋肉の分だけ脂肪がついてしまう状態は体重だけを基準にすると全く気づかない。
脂肪太りの内部はかくも恐ろしい様相を呈している。加齢に伴い筋肉量は確実に減ってゆくわけだから、あなたの「変わらぬ体重」を支えているのは間違いなく脂肪である。サルコペニア肥満は女性に多く、原因の一つにダイエットがある。
でも、みなさんはこうした無謀なダイエットがどんなに自殺行為であるか、これによって健康や美容の輝きがどんなに失われてしまうか、その「コトの重大性」が十分にわかっていらっしゃるでしょうか。
たとえば、みなさん、食事制限だけのダイエットを3か月間続けると、通常の人に比べてどれくらい筋肉が落ちるのかをご存じですか?
私たちの研究では、「わずか3か月間で5%の筋肉量が落ちてしまう」という結果が出ています。20代以降、筋肉は1年に1%ずつ減っているので、これは3か月で5年分の筋肉を減らしてしまったということ。通常なら5年かかって落ちるべき筋肉量を、たった3か月でごっそり減らしてしまったわけです。これはかなり危険なレベルであり、サルコペニアが進んだお年寄りでもこんなに一気に筋量低下が進むことはそうそうありません。
いかにも学者らしい臭味のある文章だが指摘されている事実は侮れない。我々は容姿という「見た目」を気にして「健康」を失っているのだ。スレンダーボディの正体は「老(ふ)けた体」なのである。
年をとると歩くスピードが落ちる。歩行スピードは「ピッチ(歩調)」と「歩幅」で決まり、ピッチは老化の影響を受けないという。つまり「老化で歩行スピードが低下するのは、徐々に歩幅が狭くなっているせい」ということになる。下肢全体の筋肉が衰えが原因と考えられてきたが、久野は大腰筋に注目する。
寝たきりになるきっかけは転倒による骨折である。特に女性の場合、尻餅をついて脊椎を圧迫骨折するケースが多い。養生(ようじょう)している間に筋力が低下し起き上がれなくなってしまうのだ。
私は最近ストレッチを初めてわかったのだが関節部分の硬さも歩幅が狭くなる要因である。動きの鈍さと言い換えてもよい。股関節のストレッチを行うと歩幅がグッと広くなる。
大腰筋は背骨と大腿骨をつなぐ筋肉である。
猫背、お腹が出ている、つまずきやすいといった症状は大腰筋の衰えを示すサインである。
人体の筋肉は上半身に対して下半身の方が1.5倍も大きい。鍛えるべきは下半身である。そしてここが肝心なのだが筋肉を強化するのは有酸素運動ではなく無酸素運動(筋トレ)である。簡単に言ってしまえばいくらウォーキングをしても歩幅が広くなることはない。
最後にもう一つだけ蒙(もう)を啓(ひら)かれた内容を記そう。かつて多田富雄が『わたしのリハビリ闘争 最弱者の生存権は守られたか』で、自民公明が推進した介護予防の「パワーリハ」(筋肉増強のためのパワーリハビリテーション)を「税金を使って業者を潤わせただけの事業」と批判したが、これは誤っている。筋肉は何歳になっても鍛えることが可能で、アンチエイジングを可能にする唯一の器官なのだ。
・筋肉量と寿命の関係
・サルコペニア(筋肉量減少)が疲労の原因
・サルコペニア肥満チェック!40代以上の女性に忍び寄る怖い肥満
・有酸素運動よりも週2回の筋トレを/『速トレ 「速い筋トレ」なら最速でやせる!』比嘉一雄
・ペダリングの悟り
2016-10-27
2016-10-26
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