2011-09-24

読書の技術


 書物が書物には見えず、それを書いた人間に見えてくるのには、相当な時間と努力を必要とする。人間から出て来て文章となったものを、再び元の人間に返す事、読書の技術というものも、そこ以外にはない。

【『モオツァルト・無常という事』小林秀雄(日産書房、1949年/新潮文庫改版、1961年)】

モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)

ニュートリノの速度は光の速度より速い、相対性理論と矛盾 CERN


 素粒子ニュートリノが質量を持つことの最終確認を目指す国際共同実験OPERA(オペラ)の研究グループは22日、ニュートリノの速度が光速より速いことを実験で見出したと発表した。確認されれば、アインシュタイン(Albert Einstein)の相対性理論に重大な欠陥があることになる。

 実験では、スイスの欧州合同原子核研究機構(European Centre for Nuclear Research、CERN)から730キロ先にあるイタリアのグランサッソ国立研究所(Gran Sasso Laboratory)へ、数十億のニュートリノ粒子を発射。光の到達時間は2.3ミリ秒だったが、ニュートリノの到達はそれよりも60ナノ秒ほど早かった(誤差は10ナノ秒以下)。ニュートリノの速度は毎秒30万6キロで、光速より毎秒6キロ速いことになる。

 OPERAのスポークスマンを務める物理学者のアントニオ・エレディタート(Antonio Ereditato)氏は、「ニュートリノの速さを知るための実験だったが、このような結果が得られるとは」と、本人も驚きを隠せない様子。発表に至るまでには、約6か月をかけて再検証や再テストなどを行ったという。

 研究者らはなお今回の結果には慎重で、世界中の物理学者らに精査してもらおうと、同日ウェブサイト上に全データを公開することにした。結果が確認されれば、物理学における理解が根本から覆されることになるという。

物体を貫通するのに加速?

 ニュートリノは、太陽などの恒星が核融合を起こす時の副産物だ。電気的に中性な粒子で、極めて小さく、質量を持つことが発見されたのはごく最近のこと。大量に存在しているが検出は難しいことから「幽霊素粒子」とも呼ばれる。

 ただし、アインシュタインの特殊相対性理論に沿えば、物質は真空では光より速く移動することができない。

 ニュートリノは地球の地殻を含めて物体を貫通して移動しているが、「移動速度が(貫通により)遅くなることはあっても光速以上に加速することはあり得ない」と、データの再検証に参加したフランスの物理学者、ピエール・ビネトリュイ(Pierre Binetruy)氏は、疑問点を指摘した。

 2007年に米フェルミ国立加速器研究所(Fermilab)で同様の実験に参加した英オックスフォード大(Oxford University)のアルフォンス・ウィーバー(Alfons Weber)教授(素粒子物理学)は、光速より速いニュートリノが現行の理論と相容れないことを認めた上で、測定誤差の可能性を指摘し、同様の実験を行って結果を検証する必要性を説いた。

 フェルミで行われた実験では、やはりニュートリノの速度が光速をやや上回っていたが、結果は測定誤差の範囲内だったという。

4次元とは別の次元?

 理論物理学者は、ニュートリノの予想外の速さを説明するための新たな理論を構築する必要に迫られるだろう。

 先のビネトリュイ氏は、ニュートリノが4次元(空間の3次元+時間)とは別の次元への近道を見つけたのかもしれないと話した。「あるいは、光速は最速とわれわれが思い込んでいただけなのかもしれない」

AFP 2011-09-23

「光より速いニュートリノ」をめぐる誤解
第一種過誤を恐れる物理学者、第二種過誤を恐れる経済学者
大型ハドロン衝突型加速器(LHC)とスモール・ビッグバン

2011-09-23

悟りの閃光


 瞑想とは現在と出会い、瞬間に生きる術(じゅつ)である。過去を完全に葬ると真の英知が光を放つ。悟りとは理解の異名である。

pa

瞑想は格闘技だ

子供の絵に見られる世界観の発達


 子どもたちは幼いとき平面的な絵を描きます。年長になると、それが立体的になってくる。このような表現様式の発達は、子どもに見える世界、つまり子どもの世界観の発達に対応しているのでしょう。子どもに影の存在を教え、より現実に近い知覚を与えるもの、それが父の存在の認識です。父存在(それは神と呼ばれることもあります)の掟に従って生きるほかない自己を認識すること、それによって子どもは人間になるのです。

【『インナーマザーは支配する』斎藤学〈さいとう・さとる〉(新講社、1998年)】

インナーマザーは支配する―侵入する「お母さん」は危ない

2011-09-22

パキスタン情報当局、米国を狙った攻撃に関与=米当局者


 パキスタンの情報機関である統合情報部(ISI)が、同国を拠点とする武装勢力「ハッカニ・ネットワーク」に対して米国を標的にした攻撃を働きかけた証拠が数多くあると、複数の米当局者が警告している。
 2人の米当局者と米パ関係に詳しいある情報筋によると、9月13日にアフガニスタンの首都カブールで起きた米大使館と北大西洋条約機構(NATO)本部への攻撃について、米情報当局が報告書の中で、ISIがハッカニに指示もしくは要請したものだと指摘。ただ、この情報の裏付けはまだ取れていないという。
 また、米政府の内部調査に詳しい別の当局者は、少なくともISIがハッカニに対し、米国を標的にした攻撃をけしかけていたことが諜報を通じて強く示唆されていると述べた。
 マレン米統合参謀本部議長も今週に入り、ハッカニに対して行動を取るようパキスタン側に求めていた。
 ISIによるハッカニへの関与が事実だとすれば、今年5月の米軍によるウサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦で悪化していた米国とパキスタンの関係はさらに冷え込むとみられる。

ロイター 2011-09-22