・『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』シャロン・モアレム、ジョナサン・プリンス
・『なぜ美人ばかりが得をするのか』ナンシー・エトコフ
・『徳の起源 他人をおもいやる遺伝子』マット・リドレー
・“思いやり”も本能である
・他者の苦痛に対するラットの情動的反応
・「出る杭は打たれる」日本文化
・『共感の時代へ 動物行動学が教えてくれること』フランス・ドゥ・ヴァール
・フランス・ドゥ・ヴァール「良識ある行動をとる動物たち」
・『道徳性の起源 ボノボが教えてくれること』フランス・ドゥ・ヴァール
・『ママ、最後の抱擁 わたしたちに動物の情動がわかるのか』フランス・ドゥ・ヴァール
・『人類の起源、宗教の誕生 ホモ・サピエンスの「信じる心」がうまれたとき』山極寿一、小原克博
「他者の苦痛に対するラットの情動的反応」という興味ぶかい標題の論文が発表されていた。バーを押すと食べ物が出てくるが、同時に隣のラットに電気ショックを与える給餌器で実験すると、ラットはバーを押すのをやめるというのである。なぜラットは、電気ショックの苦痛に飛びあがる仲間を尻目に、食べ物を出しつづけなかったのか? サルを対象に同様の実験が行なわれたが(いま再現する気にはとてもなれない)、サルにはラット以上に強い抑制が働いた。自分の食べ物を得るためにハンドルを引いたら、ほかのサルが電気ショックを受けてしまった。その様子を目の当たりにして、ある者は5日間、別のサルは12日間食べ物を受けつけなかった。彼らは他者に苦しみを負わせるよりも、飢えることを選んだのである。
【『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール:藤井留美訳(早川書房、2005年)】
既に二度紹介しているのだが、三度目の正直だ。
・ネアンデルタール人も介護をしていた/『人類進化の700万年 書き換えられる「ヒトの起源」』三井誠
カラパイアで米シカゴ大学チームの実験動画が紹介されていた。
・ネズミは仲間を見捨てない(米研究)
興味深い映像ではあるが、実験手法の有効性には少々疑問が残る。っていうか、わかりにくい。
動画より下に書かれているカラパイアの記事は完全な誤読である。フランス・ドゥ・ヴァールが明らかにしたのは、共感や利他的行為も本能に基づいている事実である。つまり、群れ――あるいは同じ種――の内部で助け合った方が進化的に有利なのだ。
もちろん、これを美しい物語に仕立てて本能を強化することも考えられるが、実験結果を読み誤ってはなるまい。
・チンパンジーの利益分配/『共感の時代へ 動物行動学が教えてくれること』フランス・ドゥ・ヴァール
強欲は子孫を破滅させる。世紀末から現在に至る世界の混乱は、白人文化の終焉を告げるものだと思う。
・英雄的人物の共通点/『生き残る判断 生き残れない行動 大災害・テロの生存者たちの証言で判明』アマンダ・リプリー
・ラットにもメタ認知能力が/『人間らしさとはなにか? 人間のユニークさを明かす科学の最前線』マイケル・S・ガザニガ
・マネーと言葉に限られたコミュニケーション/『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」』大村大次郎
・大塩平八郎の檄文/『日本の名著27 大塩中斎』責任編集宮城公子