弁護士ジャック・ヴェルジェスと元外相ロラン・デュマ。フランスのリビア軍事介入を準備した“哲学者”ベルナール=アンリ・レヴィについて。2011年4月。
◎ベルナール=アンリ・レヴィ
◎ジャック・ヴェルジェス
《すでに死は覚悟していた。31日、1回目の拷問を受けた。そのときだった。眉毛と睫毛を引き抜かれたのは。翌1日、2回目の拷問。「爪を引き剥がされた、両手と両足の爪を。そして日向(ひなた)にさらされた。その痛みは、おまえには想像できないだろう。だが、わたしは耐えた。わたしの口から嘆きの言葉は洩れ出なかった。」2日、3回目の拷問。「火をつけた蝋燭を何本も足に立てられた。気がつくと、わたしは椅子に縛りつけられていた。髪の毛は1本残らず灰色になってしまったが、ついに口を割らなかった。そしてそれも終った。」4日、運びこまれた部屋のなかにテーブルがあって、その上に寝かされ、首にコードを巻きつけられ、10分間電流を通された。そして6日まで、3日間、同じ拷問を繰り返され、夕方5時には、自分の感じたことを残らず書きとめたかと問われた。しかしわたしはまだ何も答えていない。ただ、自分がどういう最期を遂げねばならないのかだけを知りたい。そしてあの恐ろしい処刑を言い渡された。が、毅然とした態度を示そうとした。しかしあの恐ろしい監房にまたしても運びこまれたとき、わたしはひざまずいて、泣きだしてしまった。手のなかにはおまえの写真を握りしめていた。けれども溢れ出る涙と口づけでおまえの顔は見えなくなってしまった。いとしいアンナ、これだけは許してくれなければいけない。この非道な犯罪に強く耐えて、勇気を出してくれ。おまえの愛する者は背中から銃で撃たれるだろう。だが、神は土曜日だけでなく、毎日、償いをしてくださるだろう。しっかりするのだよ、アンナ、時は過ぎて二度と帰らない。そして死が近づいてくる》
【『イタリア抵抗運動の遺書 1943.9.8-1945.4.25』P・マルヴェッツィ、G・ピレッリ編:河島英昭、他訳(冨山房百科文庫、1983年)以下同】
さあ、ほんとうにもう、ペンをおかねばならない。両手は傷だらけで、血が流れているから。
別れの挨拶と口づけを。わたしのために祈っておくれ、わたしも天からおまえのために祈っている。