2015-02-23

認知科学の扉を開く稀有な対談 養老孟司×押井守


 気難しい養老が微笑んでいる。波長のほぼ完全な一致。まず話しぶりがそっくりだ。どちらかというと独り言タイプ。ま、オタクと言い換えてもよろしい。つまり説明能力は高いが対話には向いていない性格だ。2000年に行われたようだが認知科学の扉を開く稀有な対談となっている。この短い時間(45分)で映画論・時間論・哲学論・宗教論にまで言及している。終盤に至って養老は言葉少なである。まるで「話す必要もない」ほどのコミュニケーションが成立しているかのようだ。押井の深き問いは、その中に答えをはらんでいる。かつて何度も見た動画であるが、昨夜再び見て衝撃を新たにした。



脳はいかにして“神”を見るか―宗教体験のブレイン・サイエンス人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)

神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡ユーザーイリュージョン―意識という幻想意識は傍観者である: 脳の知られざる営み (ハヤカワ・ポピュラーサイエンス)

2015-02-21

ハクキンカイロが若者に人気


 この冬に使用する「貼るカイロ」は既に購入済みのため、来年手に入れようと思う。

昔懐かしい金属製オイル式カイロ 「燃費性能」で若者に人気│NEWSポストセブン

ハクキンカイロ ハクキンウォーマー スタンダード 1個入 【保温約24時間】ハクキンカイロ ハクキンウォーマー ミニ 1個入 【保温約18時間】
(左がスタンダードで右がミニ)

ハクキンベンジン カイロ用オクダ化学工業 カイロ用ベンジン 500mlx6個 (4971159011567)

ハクキンカイロ 換火口 1個入ハクキンカイロ ピーコック用 取換綿

「カイロベルト チャック付 アソート(ブルー・イエローいずれかとなります)カイロベルトマジック
(左が金具、右がマジックテープ)

ケンコーコム:カイロ用ベルト

 私は腰に着用するので、amazonのレビューを読む限りでは「ミニ」でいいような気がする。そしてかなり熱くなることを考慮すれば、燃焼能力の劣る他社製ベンジンを使えばちょうどよさそうだ。交換部品も紹介したが最初に必要なのは本体とベンジン(1シーズン2本が目安)のみである。

米英情報機関が不正侵入か SIMカード最大手が調査


 米英の情報機関がSIMカード世界最大手の欧州企業「ジェムアルト」(本社オランダ)のコンピューターシステムに不正侵入し、携帯電話による通話やデータ通信の傍受を可能にする暗号化情報を入手していた疑惑が浮上、同社が20日までに調査を始めた。

 同社は年間約20億枚のSIMカードを製造、米国や日本を含め世界中の通信会社の携帯端末に採用されている。疑惑が事実であれば、米英の盗聴活動が広範囲に及んでいた可能性があり、批判が再燃しそうだ。

 米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の調査報道を続けるネットメディア「インターセプト」が19日、米中央情報局(CIA)元職員のスノーデン容疑者が入手した機密文書に基づき疑惑を報じた。

 NSAと英国の通信傍受機関、政府通信本部(GCHQ)の合同チームが2010年ごろ、ジェムアルトのシステムに不正プログラムを埋め込み、いつでも情報を引き出せる仕組みを作っていたという。(共同)

産経ニュース 2015-02-21

SIMカードを標的に - 米NSAと英GCHQ、ゲマルト製品の暗号キーを不正入手(The Intercept報道) - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
小龍茶館|スノーデンの暴露:米英連合諜報機関が世界中の携帯SIMを根こそぎモニタリングする方法とは

ロバート・ラドラム、馬渕睦夫、池田清彦、養老孟司


 4冊読了。

 11、12冊目『狂気のモザイク(上)』『狂気のモザイク(下)』ロバート・ラドラム:山本光伸訳(新潮文庫、1985年)/琴似駅(札幌市)の隣りにあった三省堂で買ったはずだ。あれから30年も経つのか。これは多分4度目である。前作『暗殺者』は「追われる者」が「追う者」へと変貌する物語であった。本書は逆のパターンになっているが決して焼き直しで終わっていない。追う者がマイケル・ハブロックで、追われる者はかつての恋人でソ連に寝返ったジェンナ・カラス。物語は彼女の殺害シーンから始まる。失意の果てにハブロックはCIAを去る。ところがローマの駅で死んだはずのジェンナ・カラスを目撃する。『暗殺者』よりも構成が複雑な分だけ面白い。ただし主役の二人はやはり個性を欠いて平板。これはラドラムが舞台の仕事をしていたことに起因するものだと思う。つまりプロット(筋書き)優先。一方、脇役は粒揃いだ。かつてレジスタンスの女闘士であったレジーヌ・ブルーサックが特に素晴らしい。これは多分あと何度か読むことになるだろう。

 13冊目『国難の正体 世界最終戦争へのカウントダウン』馬渕睦夫〈まぶち・むつお〉(総和社、2012年/新装版、ビジネス社、2014年)/馬淵の著書は以前から目に止まっていたのだが、ずっと民主党の代議士だと思っていた(笑)。因みに政治家の方は「馬淵」である。菅沼光弘とほぼ同じ主張である。総和社版を読んだのだが、まあ編集が杜撰だ。編集していない可能性すらある。言葉の重複が目立ち、文章もちょっとあやふやなところがある。序盤でやめようかと思ったほど。が、中盤からギアが入る。やや結論への導き方が強引だが、日本人の目を覚醒させるだけの迫力がある。ロシアとの友好を説くところまで菅沼と一致している。菅沼・馬淵・孫崎享・佐藤優で動画鼎談を行えば、佐藤の正体が判明するのではあるまいか。

 14冊目『正義で地球は救えない』池田清彦、養老孟司〈ようろう・たけし〉(新潮社、2008年)/文庫化されていないところを見るとまだ売れているのだろう。この二人は本当に頭がよい。前半は「ニセモノの環境問題」というテーマのエッセイで、後半には養老との対談が収録されている。合理的思考の教科書といってよい。科学的視座の鋭さに脱帽。準必読書。

2015-02-20

目的は手段の中にある/『クリシュナムルティの教育・人生論 心理的アウトサイダーとしての新しい人間の可能性』大野純一


世界中の教育は失敗した
手段と目的
理想を否定せよ
創造的少数者=アウトサイダー
公教育は災いである
日本に宗教は必要ですか?
・目的は手段の中にある

 間違った手段はけっして正しい目的をもたらすことはできません。目的は手段の中にあるからです。

【『クリシュナムルティの教育・人生論 心理的アウトサイダーとしての新しい人間の可能性』大野純一著編訳(コスモス・ライブラリー、2000年)】

 LSD(幻覚剤)を服用すると悟りとほぼ同じ状態が現れる。側頭葉が活性化するのだ。


 1960年代前半までアメリカではLSDを取り締まる法律がなかった。ヒッピーによって1960年代半ばから始まるサイケデリック・ムーブメントは薬物から生まれたものだ。

 1960年代のロック・ミュージシャンの中には瞑想、ヨガ、ボディ・ビルを始めた人たちが多い。それにも理由がある。それは朝早く起きて、食生活に気を使いながら、坐禅、瞑想、呼吸法などをやると、ドラッグより求めていた同じ効果をよりコントロールした状態で得られると気が付いたからだ。

Ayuo.net 「何故1960年代のドラッグが無意味になったか。」

 クリシュナムルティは時折、嘲笑うかのように「LSDですか?」と言う。また、「“それ”をどうやって手に入れますか? お金を払いますか?」とも聴衆に訊ねる。たった今気づいたのだが、クリシュナムルティは「瞑想せよ」とは言ったことがない。どちらかというと「生そのものを瞑想の次元にまで深化させよ」とのメッセージ性が強い(『瞑想』J・クリシュナムルティ)。

 目的と手段が一致しないところに現代社会の不幸があるのだろう。クリシュナムルティの論理に従えば戦争を正当化することは不可能だ。「他人を殺す」という手段が正しくないのは明らかだ。

 バラ色の理想を示して人々に苦労を強いるのが指導者の役割である。そして苦役の果てに不毛な結果が待ち受けている。我々は皆が労働者であり兵士なのだ。一将功成りて万骨枯る。

 ブッダはテキストを否定した。彼が経典を書くことはなかった。クリシュナムルティは弟子をも否定し、「方法」をも否定した。「方法」を修行と戒律と言い換えてもよいだろう。元々は「行為を修める」のが修行の謂(いい)であるが、修行が規定化されると単なる義務の次元に堕してしまう。掃除や洗濯のレベルだ。

 瞑想をするから悟れるのか? 多分違うだろう。注意力が漲(みなぎ)るところに悟りの地平が現れるのだ。つまり瞑想は手段に過ぎない。

 人生とは不思議なもので「死ぬために生きている」ような節(ふし)がある。我々は「常に死につつある」のだ。その現実から目を背けて日常の中に没頭している。「今死ぬ」となれば脳は一変するだろう。「」の訓読みは「くら-い」である。「暗い」と同じ意味だ。そして「死」という意味もある。すなわち瞑想とは「今死ぬ」ことである。

 検索して初めて知ったのだが、「『冥福』という言葉はキリスト教や浄土真宗で使ってはいけない」(「ご冥福をお祈りします」の意味と正しい使い方)そうだ。

クリシュナムルティの教育・人生論―心理的アウトサイダーとしての新しい人間の可能性