たとえ本人が「自分は無神論者」であると言っていても、無神論者であるということ自体、宗教の影響を受けているのです。無神論ということの前提には、まず神があるかないかという問いがあるからです。
そこから発展しているのですから、宗教を無視して人間を語れないのです。
【『世界の[宗教と戦争]講座 生き方の原理が異なると、なぜ争いを生むのか』井沢元彦(徳間書店、2001年/徳間文庫、2003年/決定版、2011年)】
世界は宗教に覆われている。この事実が日本人の頭から抜け落ちている。しかもその宗教とはアブラハムの宗教であり、一神教を意味する。
科学の歴史を見ても宗教を避けて通ることはできない。もともと学問自体が教会のもとで発達してきた。文字を読めることができたのも教会関係者であり、書籍を蔵していたのも教会であった。女性が学べなかったのも当然である。
科学史をひもとけば嫌でもキリスト教の影響に気づかざるを得ない。私が腰を据えてキリスト教と取り組んだのは40代になってからのこと。40~50冊ほど読んだあたりで何となくつかめてきた(キリスト教を知るための書籍)。
いくばくかの知識が身につくと小説や映画の風景がガラリと変わる。
・エスピオナージュに見せかけた「神の物語」/『木曜の男』G・K・チェスタトン
・妊娠中絶に反対するアメリカのキリスト教原理主義者/『守護者(キーパー)』グレッグ・ルッカ
ハリウッド映画によく見られる洪水シーンは「大洪水」の暗喩であり、ノアの方舟を連想させる仕掛けだ。キリスト者にとっては「世界の終焉」を象徴している。
宗教という「物語性」と神の「論理」を弁えておかなければ外交や友好に支障を来すのも当然である。その上で天皇という物語や、アニミズムという論理を日本から発信してゆくべきだろう。
<決定版>世界の[宗教と戦争]講座 (徳間文庫)
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井沢元彦
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・真の無神論者/『ブッダは歩むブッダは語る ほんとうの釈尊の姿そして宗教のあり方を問う』友岡雅弥