2016-02-18

ミヒャエル・エンデはスピリチュアリズム




貨幣経済が環境を破壊する/『エンデの遺言 「根源からお金を問うこと」』河邑厚徳、グループ現代

2016-02-15

佐藤優、藤田紘一郎


 2冊挫折。

血液型の科学』藤田紘一郎〈ふじた・こういちろう〉(祥伝社新書、2010年)/文章が悪く牽強付会の印象が強い。3/4ほど読み進めたが、それ以上は耐えられず。血液型を決める血液型物質は体中の組織に含まれていて、免疫力の差が生じるとの主張。反証可能性を示すことなく、都合のよい事実を結びつけているようにしか感じられなかった。藤田は2ヶ月に1冊くらいのペースで本を出しているが粗製濫造の誹りを免れない。因みに免疫力の強さはO、B、A、ABの順番とされている。

日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く』佐藤優(小学館、2006年/小学館文庫、2011年)/佐藤優の本を途中で投げ出すのは初めてのこと。情に乏しい。「日本人としての怒り」が全く伝わってこない。小林よしのりの方が人間として信用できる。

2016-02-14

富田公彦、他


 2冊挫折、1冊読了。

悪政・銃声・乱世 児玉誉士夫自伝』児玉誉士夫〈こだま・よしお〉(広済堂出版、1974年/弘文堂、1961年『悪政・銃声・乱世 風雲四十年の記録』改題)/びっくりするほど文章が巧みだ。『大東亜戦争肯定論』で知った。林房雄が「まえがき」を書いている。20代、30代の人にはおすすめできる。昭和初期の世相を知るには絶好のテキストである。

脳科学は人格を変えられるか?』エレーヌ・フォックス:森内薫訳(文藝春秋、2014年)/「アフェクティブ・マインドセット(心の姿勢)」というキーワードがよくない。楽観主義と悲観主義の相違を検証した内容だが、著者は心理学者・神経科学者のため「脳科学」を謳うタイトルに疑問あり。原題にはない。タイトルの違和感が文章をまったりしたものにしてしまう。「楽観主義と悲観主義の新しい科学」と直訳するのが正解だろう。各トピックは興味深いのだが、文章に切れがない。

 20冊目『なぜ専門家の為替予想は外れるのか』富田公彦(ぱる出版、2015年)/富田は31年間プロディーラーを務めた人物。現在は中西健治参議院議員(みんな→自民公認予定)の政策秘書をしている。文体が剽軽(ひょうきん)すぎて2ちゃんねらーっぽいのがご愛嬌。腰を抜かしそうになったのだが、為替ディーラーの間ではテクニカル分析は使われていないという。今世紀初頭に絶滅したそうだ。ぶったまげた。また通貨にまつわる情報の殆どがデタラメかつインチキであることを2ちゃんねらー並みの口の悪さで罵倒している。ま、それでも私としてはチャーチストの道を歩むわけだが。

ユニーク極まりない努力/『大空のサムライ』坂井三郎


『国民の遺書 「泣かずにほめて下さい」靖國の言乃葉100選』小林よしのり責任編集

 ・ユニーク極まりない努力

『父、坂井三郎 「大空のサムライ」が娘に遺した生き方』坂井スマート道子
『新編 知覧特別攻撃隊 写真・遺書・遺詠・日記・記録・名簿』高岡修編
『今日われ生きてあり』神坂次郎
『月光の夏』毛利恒之
『神風』ベルナール・ミロー
『高貴なる敗北 日本史の悲劇の英雄たち』アイヴァン・モリス

日本の近代史を学ぶ

 そして最後には、私は昼間の星を探しはじめた。これはなかなかむずかしいことであった。発明や発見は、現状を否定するところから生まれるといわれるが、これをやりとげるには、いろいろな段階を経なければならなかった。
 子供のころ歌った童謡に、一番星見つけた、二番星見つけた、という歌詞があるが、私はまず日の暮れに、その一番星を1秒でも早く見つける練習、また、明け方には、最後まで消え残る星を追ってみた。そのうえ簡単な星座の勉強をして、昼間、頭の上にくる星の中でどの星が一番明るかを調べた。そして、毎日のように頭の真上の大空を見つめたものである。
 大空のすみきった11月のある日の午後、私は飛行場の芝草の上にあお向けに寝て、大体見当をつけておいた一点を、長い時間見つづけていたことがある。寝たのは頭がぐらぐらしないようにするためだが、30分ほど青空の一点を見つづけても何も見えないので、あきらめて立ち上がろうとして両眼を横に動かした瞬間、白いケシ粒のようなものが、ちらっと見えたような気がした。おやっ、と思ってよく見ると、星があった。私は思わず「見えた!」と叫び声をあげた。

【『大空のサムライ』坂井三郎(講談社+α文庫、2001年/光人社NF文庫、2003年/講談社、1992年『坂井三郎 空戦記録』改題)】

 弛まぬ努力によって坂井の視力は2.5となる。マサイ族並みの視力である。まだ戦闘機にレーダーがない時代である。目の良さが生と死を分けた。坂井はただの一度も敵から先に発見されたことがないという。日中の星探しはアメリカに嫁いだ娘を通して孫も行っている。

 坂井はユニークな発想で次々と新たな訓練を生み出す。トンボやハエを素手でつかむ練習、逆立ち15分、息を止める稽古2分30秒などなど。いずれも戦闘機技術に直結したものである。天才とは独創の異名か。

 坂井三郎は毀誉褒貶(きよほうへん)の多い人である。本書にも若干の脚色があるようだ。それでも「米軍が恐れた男」である事実は動かない。サカイの名は敵にまで知られていた。戦後になって戦った相手と邂逅(かいこう)する場面が忘れ難い。緊張の面持ちで臨むも、一旦打ち解けてしまえばスポーツ選手のように互いの健闘を称(たた)え合う。空の男には乾(かわ)いた爽やかさがある。

 幾多の戦闘をくぐり抜けてきた坂井もついに負傷する。大事に大事にしてきた眼までやられてしまう。坂井は飛行機を降りた。一度復活したがやはりダメだった。

 経験した者にしかわからない戦場の生々しさが伝わってくる。歴史の現場は何という迫力に満ちていることか。

 尚、講談社+α文庫は2分冊で光人社NF文庫は1冊となっている。続篇以降を読みたい人は光人社版がよかろう。

大空のサムライ(上) 死闘の果てに悔いなし (講談社+α文庫)大空のサムライ(下) 還らざる零戦隊 (講談社+α文庫)大空のサムライ―かえらざる零戦隊 (光人社NF文庫)

続・大空のサムライ―回想のエースたち (光人社NF文庫)戦話・大空のサムライ―可能性に挑戦し征服する極意 (光人社NF文庫)大空のサムライ・完結篇―撃墜王との対話 (光人社NF文庫)

2016-02-12

佐伯啓思


 1冊読了。

 19冊目『自由と民主主義をもうやめる』佐伯啓思〈さえき・けいし〉(幻冬舎新書、2008年)/再読。三島由紀夫の死によって浮かび上がる日本社会の問題と、9.11テロが突きつけた国際社会の問題が重なって見える。三島が死んで(1970年)右翼が滅び、連合赤軍事件(あさま山荘事件〈1972年〉と山岳ベース事件〈1971-72年〉)で左翼が亡んだと考えてよさそうだ。その後、進歩的文化人はサヨクに姿を変え、バブルが崩壊した1990年代になってようやく保守が台頭する。