2018-10-26

まだヒートテックを着てるの?


 おたふく手袋が最強である。




フレームの大きさ/『自転車の教科書 身体の使い方編』堂城賢


『ロードバイク初・中級テクニック』森幸春
『自転車の教科書』堂城賢

 ・フレームの大きさ

 サイズやメーカーによって、フレームのシート角やヘッド角は違います。私が小さなフレームを薦めない理由は、【フレームが小さくなるほどシート角が立ち、ヘッド角は寝ていて、ヘッドチューブが短い】からです。おじぎが深くなると、どうしてもサドルを後ろに引きたくなりますが、シート角が立っているフレームでは十分にサドルを後ろに引くことができないので、付けたい部分にサドルが付けられない、ということになってしまいます。

【『自転車の教科書 身体の使い方編』堂城賢〈たかぎ・まさる〉(小学館、2015年)】

【Eがヘッド角、Dがシート角、Cがヘッドチューブ。GIANT社から拝借】

 初心者にとってフレームのジオメトリーは小難しい。これからロードバイクを購入するのであれば、身重に対して少し大きめのフレームを選べばいいだろう。

「サドルを後ろに引きたく」なる、というのが凄い。素人は前傾姿勢が馴染まないため上体を起こしたくなる。つまり「サドルを前に出したくなる」のである。ジオメトリーに関するリンクをいくつか紹介しよう。

ロードバイクで腕が遠く感じる原因とスタックと前傾姿勢とポジションの関係について - Fertile-soil
フレームのジオメトリと材質で違う、クロス・フラットバーロード・ロードバイクのお話。 : 自己満足の自転車いじりと戯言。
ジオメトリの見方!ロードバイクの特性を読み解く:続き : 低身長でも貧脚でもロードバイクを楽しみたい!
なぜ700Cにこだわるのか、わかりません : 空まかせ~二輪歩行でいこう
ジオメトリの話 - K Frameworks

 おじぎ乗りのわかりやすいイラストがあった。


 私はひと目で嘘を見抜いた。猫背であっても頭を前に倒せば拇指球に荷重をかけることができる。つまり背の曲直にかかわらず前傾姿勢の深さが問題なのだ。更に足首の柔軟性が高まれば前傾が浅くても拇指球に体重を乗せることは十分可能だろう。

 登坂土踏まずペダリングをすると拇指球の意識も変わる。平地走行ではペダルに拇指球がかかるのは当然なのだが、拇指球に不要な力を入れる必要はない。むしろ意識としては足首を曲げないことが重要で、拇指球からは力を抜くべきなのだ。そう考えると平地でも土踏まずペダリングをしてハムストリングが使えるようになることを優先した方がいいかもしれない。

 歩く時のことを想像してみよう。踵(かかと)から地面に着地した時、拇指球に力は入らない。力を入れてしまえばブレーキと化す。足首を前方向に傾けるためには拇指球から力を抜かねばならない。力を入れるのは地面を蹴る瞬間だけである。

 古武術の移動法だともっとわかりやすい。通常の運動で体を左方向に移動する場合は一旦右足に体重を掛けて左方向に移動するが、古武術の場合は左膝を折ることで体を左方向に傾けてしまう。右足に体重を乗せれば1、2という2拍の運動だが、左膝を折ってしまえば1拍の動作で済む。しかも力を抜いているので筋肉の疲労がほぼない。

 スポーツにおける姿勢の問題は体の中心や軸・体幹に関わるテーマである。ヒトは脳を使い過ぎて体を使えなくなってしまったのだろう。体の刺激から脳を鍛え直す作業が求められる。

自転車の教科書 ー身体の使い方編ー (やまめの学校)
堂城 賢
小学館
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2018-10-25

「基本」は背中まっすぐの「おじぎ」の姿勢/『自転車の教科書』堂城賢


『ロードバイク初・中級テクニック』森幸春

 ・「基本」は背中まっすぐの「おじぎ」の姿勢

『自転車の教科書 身体の使い方編』堂城賢

 僕が教えている自転車の乗り方は【「おじぎ乗り」】と言います。【「背中をまっすぐにした『おじぎ』の姿勢」】で乗ることです。皆さんが一番知りたがっているハンドルやサドルの位置、つまり「自転車のポジション」は、おじぎの姿勢をしたまま、手を前に振った軌道にハンドル、お尻の位置の下にサドルとなります。
 たったそれだけです。

【『自転車の教科書』堂城賢〈たかぎ・まさる〉(小学館、2013年/小学館文庫、2016年)以下同】


 背中を丸めた姿勢でハンドルを低く遠くにしている人をよく見かけますが、背中を丸めてぐーっと手を伸ばしていると、後ろの足にものすごく荷重が掛かるのです。プロの選手の真似をしてこの乗り方を一般の人がやると、まったく前に進みません。
 後ろ足に自分でたくさん荷重を掛けて、自分で作り出した負荷に苦しめられていたわけです。ですから、姿勢の悪い人はステムを短くすると足が回るように感じるのです。

 レース実績のある専門家が相反する主張をしている場合は、結局自分で探るしかない。堂城賢〈たかぎ・まさる〉は言葉が拙い。本書は意図的に話し言葉を使い読みやすくしたのだろうが言葉の重複が目立ち表現の浅さが先立つ。方や森幸春は雑誌におけるコメントというおしゃべり程度の代物だ。

 YouTubeで「やまめの学校」と検索すると堂城の実際の講義を見ることができる。そのネーミングセンスの悪さや自分を「校長」と紹介する節操のなさもさることながら、「イチロー選手は一流のアスリートだと思う」などといった陳腐な言葉にはやはり問題があろう。おじぎ乗りの傍証としてイチローが守備につく際、両手を膝に乗せて背中を伸ばすポーズを挙げているが、あれは一種のストレッチであって打者が打つ瞬間は猫背になるに決まっている。

 実際にやってみたが、骨盤を立てるべきなのか、おじぎ乗りにすべきなのかよくわからない。何となく中間の位置で乗っているが疲れてくると全てがどうでもよくなる(笑)。素人感覚からすると最初は前立腺の痛みに苦しめられるので、骨盤はやや起こした方がいいような気がする(※関係ないけどこんな記事を発見→長時間のサイクリングは危険?前立腺がんの発症リスクに|男の健康|ダイヤモンド・オンライン)。

 運動に関する理論を参照するのは正しいが鵜呑みにしてはいけない。なぜなら人の体は個体差があるからだ。他人の言葉を額面通りに受け止めてそれを墨守すれば、硬直した精神性が硬直した体を形成して必ず故障や怪我につながるだろう。自分の体に耳を傾けて答えを導くことが大切だ。むしろ、自分なりの創造性を発揮するところにトレーニングの目的があるといっても過言ではない。

 散々腐してしまったが、本書の評価が高い(文庫本の解説は高千穂遙)ところを見るとそれ相応の理由があるのだろう。私が初心者ゆえ気づいていないだけかもしれない。数年後に再読して検証するつもりだ。

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2018-10-23

骨盤を起こして肩甲骨を開く/『ロードバイク初・中級テクニック』森幸春


『大人のための自転車入門』丹羽隆志、中村博司

 ・骨盤を起こして肩甲骨を開く

『自転車の教科書』堂城賢
『自転車の教科書 身体の使い方編』堂城賢

「初級者が上級者のようにいきなり100回転/分でペダルを回そうとすると、よけいなところに力が入って、むしろ心拍数が上がってしまいます。まあ、いずれはできるようになればいいことなんで、まずは90回転/分くらいからはじめてみましょう。これくらいの回転数なら、さほど筋力が必要なわけでもないし、十分に低い負荷で効率よく走ることができるはずです。とにかく小手先……っていってもこの場合は足ですが……を使うんじゃなくて、ふとももの付け根からさらに上、お腹の奥のほうを意識します。もちろんクランクの長さは同じなんですけど、ペダルを大きな円で回すイメージがほしいですね」と森師匠は言う。

【『ロードバイク初・中級テクニック改訂版 BiCYCLE CLUB別冊』森幸春(エイ出版社、2011年)】

「森師匠」と呼ぶのは編集部のおべんちゃらではないようだ(「日本ロード界の師匠  森幸春さん逝く」)。既に物故していることを今知った。謹んでご冥福を祈る。

 大きな雑誌の体裁でパラパラとめくって一通り読んだのだが、何度となく読み返して「ああ、そうか」と腑に落ちるところが多かった。7月27日から自転車に乗り始め、10月12日でやっと1000kmを走破した。まだまだ体作りの段階だ。焦ってオーバーワークしてしまえば必ず怪我の原因となる。今は走りたくて脚が疼(うず)き出すのを待っている。それでもケイデンス90は難しい。週に二度リカンベントタイプのエアロバイクに跨(またが)っているが、私が心地よく回せるのはせいぜい80回転/分である。

 ペダリング革命で多少は股関節を動かせるようになっていると思う。まあ、この辺はまだまだ気にするレベルではない。今はとにかくひたすらペダルを踏むことに力を注ぐ。



 骨盤を起こして肩甲骨を開くとあるが、肩甲骨を開くのが案外難しい。1000km走ってもまだまだ上半身に余計な力が入ってしまう。上半身をリラックスさせないと肩甲骨は開けない。また、堂城賢〈たかぎ・まさる〉は骨盤を寝かせた方がよいと説く。ポジショニングに関しては自分の体に耳を傾けるしかない。一番楽な姿勢が正しいのだ。

 初心者にとってはわかりやすい内容であるが、なぜかエンゾ早川が登場して読み手のやる気を思い切り削(そ)いでくれる。

ロードバイク初・中級テクニック 改訂版 (エイムック 2120 BiCYCLE CLUB別冊)
エンゾ早川 森 幸春
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