・『56歳でフルマラソン、62歳で100キロマラソン』江上剛
・『ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング』田中宏暁
・踵着地が膝を壊す
・『ランニング・サイエンス』ジョン・ブルーワー
・『ランニング王国を生きる 文化人類学者がエチオピアで走りながら考えたこと』マイケル・クローリー
走り方の種類といえば、一般的に前足部を接地させる「フォアフット走法」、中足部を接地させる「ミッドフット走法」、踵(かかと)部分を接地させる「ヒールストライク走法」の3つに分けられます。
今、注目されているのが、TVドラマでも話題となったミッドフット走法です。【ミッドフット走法は、中足部から足裏全体で地面をとらえて走るため、体への負担が軽くエネルギーロスの少ない走りが可能になるといわれています】。ところが、間違ったミッドフット走法で、ケガをしてしまう人が多いのも事実です。
その原因は、【接地だけにフォーカスしすぎるあまり、足首に力が入り胴体の使い方が伴わず、重心移動がスムーズにできていないこと】にあります。
とくに足の外側で接地後、拇指球(ぼしきゅう)に乗るタイミングが早すぎるため、姿勢がブレて筋肉を無駄使いする走り方になっているのです。
【正しいミッドフット走法は、中足部全体で接地した後、重心を踵から拇指球へと移動させていきます。】
【『最速で身につく 最新ミッドフットランメソッド』高岡尚司〈たかおか・しょうじ〉、金城みどり〈かねしろ・みどり〉(主婦の友社、2018年)】
私は走る以前にウォーキングからしてミッドフットであったので、よもやランニングで踵着地をするつもりはなかった。アスリートの故障で一番多いのは腰痛と膝痛だろう。その原因は踵着地にある。
室内で歩く時に踵を着けることはない。フォアフットが普通だ。踵が着く人は運動神経に問題がある。元々人類は裸足だったわけだから、踵着地をするようになったのは靴を履くようになってからのことだろう。ソール(靴底)の薄い地下足袋などであればやはり踵は着かない。
少し前に足の不自由なお年寄りと立ち話をしたことがあった。聞けば学生時代は駅伝選手だったという。1年生からレギューラーを務めたとのこと。「駅伝なんか、やらなきゃよかった」と吐き捨てるように語った。「若い頃に走っていたから、この程度で済んでるじゃないんですか」と言ったが、私の励ましは宙に漂い風に飛ばされてしまった。
もっとわかりやすく説明しよう。縄跳びをする時に踵から着地することはない。断じてない。ランニングの着地時には体重の3~4倍もの力が掛かる(宮地力)。それを10km、20kmと続けていけば膝がダメージを受けるのは当然だろう。
クリストファー・マクドゥーガル著『BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”』がベストセラーとなりベアフット(裸足)ランニングが注目された。ララムリことタラフマラ族は走るために生まれてきたような人々だ。老若男女がワラーチという手作りのサンダルで山野を駆け巡る。
我が家の周りも坂道が多いのだが坂道を走っていると自然にミッドフットとなる。ちょっと考えればわかることだが階段を降りる時に踵から着くことはない。衝撃を吸収するべくフォアフット(前方着地)になる。
脳は妄想(概念)にまみれているが体は自然である。自然であるがゆえに思い通りにならないのだ。だからこそ、せめて賢い使い方を身に着けたい。