2021-05-31

低資質本/『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事 高脂質・低糖質食で、みるみる腹が凹む』マーク・ハイマン


『1年で10億つくる! 不動産投資の破壊的成功法』金森重樹
・『借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記』金森重樹
・『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂"ダイエット』金森重樹
・『ガチ速“脂"ダイエット 極上レシピ大全』金森重樹

 ・低資質本

・『まさか!の高脂質食ダイエット 本当にやせる「糖質制限2.0」』グラント・ピーターセン
・『食べても太らず、免疫力がつく食事法』石黒成治
・『世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術』アイザック・H・ジョーンズ
『宇宙生物学で読み解く「人体」の不思議』吉田たかよし
『自分の小さな「箱」から脱出する方法 人間関係のパターンを変えれば、うまくいく!』アービンジャー・インスティチュート

 減量のための低炭水化物・高脂質食について多数の研究が行われ、多くの報告がなされているが、その結論は明らかなように思える――低炭水化物・高脂質食より低炭水化物・高脂質食のほうが効果的ということだ。ここで、なぜ、どのようにして、私がその結論にたどり着いたかを明確にするために、低脂質食と高脂質食を比べる重要な研究をいくつか検討してみよう。(67-68ページ)

【『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事 高脂質・低糖質食で、みるみる腹が凹む』マーク・ハイマン:金森重樹監修(SBクリエイティブ、2020年)】

 佐藤優のアドバイスに従って読むのをやめた。ソフトバンクなんぞがカネに任せて出版事業に手を出すとこうなる。「低炭水化物・高脂質食より低炭水化物・高脂質食のほうが効果的」という箇所を5回ほど読み直した。入力する際も何度となく確認した。たぶん前者が「高炭水化物・低脂質食」なのだろう。致命的な誤植である。

 校正はグループで行った方がいいと思う。書籍を見る限りでは日本人の仕事がどんどん杜撰(ずさん)になってきている。正確さを失うところから世の中は狂い始める。孔子が「名を正す」と語ったのはそういう意味だろう。

2021-05-20

鑑とは/『レディ・ジョーカー』高村薫


・『黄金を抱いて翔べ』高村薫
・『神の火』高村薫
・『わが手に拳銃を』高村薫
・『リヴィエラを撃て』高村薫
・『マークスの山』高村薫
・『地を這う虫』高村薫
・『照柿』高村薫

 ・鑑とは
 ・創作された存在

・『李歐』高村薫
・『半眼訥訥』高村薫
『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド

ミステリ&SF

 さらに、被害者の鑑の範囲はきわめて狭く、施設に友人もなく、施設の外との手紙のやり取りもない。

【『レディ・ジョーカー』高村薫〈たかむら・かおる〉(毎日新聞社、1997年/新潮文庫、2010年)以下同】

「鑑」の意味を検索したのだが判明せず。そもそも「かん」なのか「かがみ」なのかもわからない。150ページほど先に答えがあった。

「なに、悪くはない組み合わせだ。関係者同士の地理的社会的つながりを警察の用語で鑑(かん)と言うんだが、俺たちにはその鑑がほとんどない。鑑がないと、捜査する側は犯行グループを辿(たど)りにくい」

 つまり土地鑑(※土地勘は誤用)の鑑だ。尚、私が読んだ作品のリンクを示してあるが、『半眼訥訥』だけは面白くなかった記憶がある。

土地鑑 - Wikipedia
ことばの話2815「土地鑑か?土地勘か?」

2021-05-19

「私」という表層/『ユング自伝1 思い出・夢・思想』カール・グスタフ・ユング:アニエラ・ヤッフェ編


 人間は、人間が統制することのない、あるいはただ部分的に支配するに止まる心的過程である。したがって我々は、自分自身についてもあるいはまた我々の一生についても何ら最終的な見解をもたないのである。

【『ユング自伝1 思い出・夢・思想』カール・グスタフ・ユング:アニエラ・ヤッフェ編:河合隼雄〈かわい・はやお〉、藤繩昭〈ふじなわ・あきら〉、出井淑子〈いでい・よしこ〉訳(みすず書房、1972年)】

 何かの本でエピグラフとして紹介されていた一文である。結果的にこの文章を確認するだけで終わってしまった。フロイトやユングにはさほど興味がない。

 ゲーテは自伝を『詩と真実』と名づけた。ユングのテキストはゲーテの向こうを張るものだ。「私」という表層にとらわれてしまえば全体を見失う。我々は無意識や深層心理を自覚できない。「私」は飽くまでも大脳新皮質の範疇(はんちゅう)に収まっている。生存を支えているのは大脳辺縁系や脳幹だ。生まれたばかりの人間がタブラ・ラサ(白紙状態)であるのは飽くまでも大脳新皮質の次元であって、システムは下部の爬虫類脳に埋め込まれている。

 ユングのテキストは人間の可能性を示唆したものだ。それを自分自身にも敷衍(ふえん)したのは慧眼以外のなにものでもない。