2021-09-24

佐藤栄作と三島由紀夫/『絢爛たる醜聞 岸信介伝』工藤美代子


『三島由紀夫が死んだ日 あの日、何が終り 何が始まったのか』中条省平

 ・佐藤栄作と三島由紀夫
 ・「革新官僚」とは
 ・真相が今尚不明な柳条湖事件

 弟の栄作はどうだったのか。
 三島由紀夫が自決した昭和45(1970)年11月25日、首相を務めていた佐藤栄作はその死に際して、「気が狂ったとしか思えない」と短いコメントを残したとされる。
 だが、佐藤夫妻はかねてより三島の母・平岡倭文重(しずえ)を通じて三島本人とも昵懇(じっこん)だった。(中略)
 佐藤寛子の回想(※『佐藤寛子の宰相夫人秘録』)などを勘案すれば、佐藤栄作は、現役の総理として胸中とは違う無理に形式ばった発言をした可能性が考えられる。
 むしろ、岸の方が三島に対しては自分の理解を超えた不合理を感じていたのではないか。
 晩年、インタビューに答える次のような回答は彼の現実主義を見事に言い表している。

「三島由紀夫はね、いわゆる神がかりの考え方ですよ。ああなってくると、われわれの思想を超越している。政治家の世界では、真・善・美のうち美を追求する世界ではないと思う。政治家は善を追求し実現するけれども、美を追求し真理を探求するという世界ではない」
(『岸信介証言録』)

【『絢爛たる醜聞 岸信介伝』工藤美代子〈くどう・みよこ〉(幻冬舎文庫、2014年/幻冬舎、2012年『絢爛たる悪運 岸信介伝』改題)】

 これは佐藤の肩を持ちすぎだろう。咄嗟に「形式ばった」言葉が出てくることは考えにくい。私はむしろ本音を吐露したのだと思う。三島由紀夫の自決は、米軍に守られながら戦後をぬくぬくと経済一辺倒で行きてきた日本人の本音を引き出した。半世紀先をゆく行為であったと思われてならない。もしも2020年であれば「楯の会」は巨大民兵組織となっていたことだろう。三島の炯眼(けいがん)はあまりにも先を見通していた。自らの信念を時代に打ち込むためには、あのような形しか選択し得なかった。


 岸の発言は彼が理想に生きる人物ではなかったことを物語っている。その現実主義ゆえに日米安保の改正を成し得たのだろう。自らも一度は凶刃に倒れている人物にしては軽い発言だと思う。

評価額4兆円突破「Canva」の34歳CEO、資産のほぼ全てを寄付へ


 しかし、パーキンス夫妻は自身の経済的成功には関心がなく、彼らの持分のほぼ全てにあたる会社の30%をCanva財団(Canva Foundation)に寄付し、慈善目的に使う予定だ(2人は合計36%を保有しており、手元に残るのは6%ということになる)。

「私は、ビリオネアと呼ばれることに違和感を覚えている。なぜなら、会社が稼いだ金を自分たちの財産だと考えたことは一度もなく、その管理人に過ぎないと思っているからだ」とパーキンスはブログで述べている。

Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)2021/09/23 17:00

「この世の禍福(かふく)いずれにも執著することなく、憂(うれ)いなく、汚(けが)れなく、清らかな人、──かれをわたくしは〈バラモン〉と呼ぶ」(『ブッダのことば スッタニパータ』中村元訳)。久方振りにバラモンを見た。