2021-11-23

紀元節と天長節/『日本人と戦争 歴史としての戦争体験 刀水歴史全書47』大濱徹也


・『乃木希典』大濱徹也
・『近代日本の虚像と実像』山本七平、大濱徹也
『陸軍80年 明治建軍から解体まで(皇軍の崩壊 改題)』大谷敬二郎

 ・戦争をめぐる「国民の物語」
 ・紀元節と天長節
 ・日清戦争によって初めて国民意識が芽生えた

・『庶民のみた日清・日露戦争 帝国への歩み』大濱徹也
・『天皇と日本の近代』大濱徹也
『近代の呪い』渡辺京二

日本の近代史を学ぶ

 太陽暦の採用は、太陰暦の明治5(1872)年12月3日をもって明治6年1月1日となし、日本が西暦の世界、欧米文明の秩序下に入ったことを意味しました。ここに政府は、1月4日に改暦の布告をし、いままでの式日であった五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽)を廃止し、神武天皇即位日・天長節の両日を祝日としました。この祝日宣言は、1868年の革命、明治維新が「神武創業ノ始」に相応する事業と説き、神武天皇の国造りを明治天皇の治政に重ねて表現したものにほかなりません。ついで10月14日の布告による「年中祭日祝日等ノ休暇日」は、神武即位日たる紀元節と天皇誕生日たる天長節を中心に、宮中儀礼を配置してつくられたものです。
 新たなる祝祭日は、古代以来の宮廷儀礼の復活に似せておりますが、国家創立日ともいうべき紀元節や天皇誕生日を中核としていますように、西欧君主国の祝日観をとりこんだものです。それは、天皇を国民結集の器とする国家形成をめざし、祝祭日行事を、天皇への民心帰一の場たらしめようとの意図によって創出されたことによります。

【『日本人と戦争 歴史としての戦争体験 刀水歴史全書47』大濱徹也〈おおはま・てつや〉(刀水書房、2002年)】

 今日は新嘗祭(にいなめさい)である。祝祭日を旧称に戻すこともできないのが嘆かわしい。敗戦だけが理由ではあるまい。旧社会党勢力の根強さは民主党を経て立憲民主党にまで受け継がれている。先の衆院選で敗れたとはいえ、まだ野党第一党である。衆議院は12%、参議院は13%の議席数を占める。戦後、インテリとは左翼を意味する用語であった。現在に至っても医師・ジャーナリスト・マスメディア・大学教授・教員・芸術家・映画監督には左巻きが多い。かつての反権力は、反原発・環境保護・女系天皇容認・夫婦別姓・同性婚・フェミニズムと赤から薄いピンクに様変わりしたが、日本の文化や伝統を破壊する魂胆はこれっぽっちも変わっていない。むしろ表現が柔らかくなった分だけ、破壊の衝動は強まっているように思われる。

 祝祭日を旧称に戻すべきだと主張する者の中に伝統を主張するものがあるが、やや不勉強である。

 天長節や紀元節は、日本の伝統的な生活慣行に根ざさず、文明国として西洋の行事観を採用したものだけに、国家的行事となるのに時間がかかったのです。

 これを憂うるベルツの日記(明治23年〈1890年〉11月3日)があると紹介されている。

 紀元節と天長節が民衆のなかで意識されるのは、明治30年代の後半、とくに日露戦争後のことです。紀元節は、2月11日に日露戦争の開戦が報道されただけに、戦勝にともなう「帝国」の栄光と重ねて記憶され、国民たることを誇る日となりました。かつ天長節は、11月3日であるがため、「天長節運動会」と称され、収穫の祭りと重ねて営まれることで、生活のなかに根づいていくこととなります。
 ここには、天皇をめぐる祝祭日ですらも、民衆の生活暦による裏づけがないと定着しえないことがうかがえます。

 日露戦争が明治37年(1904年)である。日清戦争から10年後のことだった。文部省が明治41年(1908年)9月、東京帝国大学暦に「明治42年暦」より陰暦の月日を記載せずとの告示をした。日本の近代化は明治維新で一気に成ったものではなかった。かつて「クニ」とは藩を意味した。それを藩から日本国へと格上げするために二度の戦争を必要とした。暦(こよみ)の統一に40年以上を要し、国語の普及にも同程度の時間が必要だった。

 つまり明治節(昭和23年〈1948年〉廃止)の国民的伝統は半世紀に満たないのだ。

 旗を出す日としての国家祝祭日を「ハタ日」と称し、伝統的な世界に根ざした行事日を「ハレ日」とよんだ(後略)

 国民の意識は旧社会から脱却することが難しかった。殆どが農民だったから致し方ない側面もある。そんな国が三十数年後に欧米と戦争をするのである。近代化から200年を経た欧州に追いついたのだ。奇蹟といってよい。

アイスティーの作り方


 教えてもらった、マダム式氷を使わないアイスティーの作り方

(1)できればやかんではなく、鍋に2リットルの水を入れ、沸かす。
(2)沸騰したら火を止め、ティーバッグを3包入れてふたをし、21分蒸らす。
(3)ふたをはずし、菜箸などでそっとティーバッグを取り出す。
(4)粗熱が取れるまで放っておき、粗熱が取れたらピッチャーやジャグなどに移し変え、冷蔵庫でひと晩冷やす。

 確かにティーポットにティーバッグと湯を入れて3~5分後、氷をたっぷりはったグラスに注ぐアイスティーの作り方とはえらい違いである。簡単に言えば、丁寧。手間がかかっている。

 マダムいわく1つ1つの作業にこだわりや意味があるとのこと。

●1度に少量作るよりもたっぷりと作った方が紅茶は絶対においしい。
●やかんではなく鍋なのは、ティーバッグを入れて蒸らす際、抽出された紅茶成分がまんべんなく全体に行き渡るから。
●ティーバッグを取り出す際、絶対に乱暴に取り出さないこと。乱暴に取り出すと渋みが出てしまうので、水面を動かさないくらいやさしく取り出して。
●急速に冷やすのではなく、時間をかけて冷やすことで紅茶の味を壊さない。

 ここまで聞いて、思わず私は質問してしまった。

「マダム、21分ですごく半端な時間ですよね? 20分蒸らすのではダメですか?」。

「ダメよ! 私はもう何十年も夏になるとアイスティーを作り続けてきて、やっとこの最適な蒸らし時間にたどりついたの。20分でも22分でもダメ。21分、ちゃんと守るのよ」。

フランス人マダムに教えてもらった、世界一おいしいアイスティーの作り方(2/3)〈dot.〉 | AERA dot.

   

高血圧の原因を塩分としたネズミ実験のデタラメ/『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕


『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌

 ・高血圧の原因を塩分としたネズミ実験のデタラメ

『「塩」をしっかり摂れば、病気は治る 病気の因を断つクスリ不要の治療法』石原結實
食塩摂取量と高血圧の因果関係
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー
『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二

 古今東西、塩は世界中で大切にされてきました。
 給料を意味する「サラリー(salary)」という言葉は「塩」に由来しています。
 日本でも、生活を立てるのに必要な費用のことをさす「米塩(べいえん)の資(し)」という言葉があります。

【『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕〈むらかみ・よしあき〉(東洋経済新報社、2009年/オンデマンド、2019年)以下同】

 村上は海の精株式会社の代表で、マクロビオティックの信奉者である。若い頃に玄米と塩で健康状態が改善したとのこと。

サラリーマン/salaryman - 語源由来辞典

 なぜ、塩が高血圧の原因とされたのか、かんたんに説明しておきましょう。
 塩が高血圧症を引きおこすという説の発端になったのは、1953年、アメリカの高血圧学者のメーネリーが行ったネズミを使った実験によります。
 メーネリーはネズミに6ヶ月間、毎日、通常の20倍にあたる20~30グラムもの食塩を与え、さらに飲み水にも1%の食塩を加えて飲ませました。人間でいえば、1日200グラムもの食塩を40年間にわたって食べさせた計算になります。
 この結果、10匹のうち4匹が高血圧になったというのです。
 この実験結果が、「塩が高血圧の犯人説」のそもそものきっかけです。
 しかし、この実験結果をよく見てください。
 通常では考えられない極端な高塩分食を食べさせられた10匹のうち、4匹が高血圧になった。しかし、残りの6匹の血圧は変化しなかったのです。つまり、血圧が変化しなかったネズミのほうが多かったのです。(中略)
「塩はどうやら体に悪いようだ」と世界中が認識しはじめるなか、それに追いうちをかけるように、新たな発表がなされました。
 1960年、アメリカの高名な高血圧学者のグループが発表した論文です。
 アメリカ軍の将校であったダールは、日本に高血圧症が多いことに注目し、東北地方と南日本を対象に、食塩の摂取量と高血圧症の発生率を調べたのです。
 その結果、1日平均27~28グラムをとっていた東北地方は、1日平均14グラムの南日本より高血圧が多いと結論づけました。
 しかし、この調査にはいくつかの問題点があります。
 まず東北地方はいうまでもなく寒い場所です。寒いということはそれだけで高血圧の原因となります。人間は寒い環境に置かれると、血圧を上げて血液循環をよくすることによって、寒さに打ち勝とうとするのです。
 また、ダールのこの調査では、同じように塩をとっていても、高血圧の人が多い地域と少ない地域があったことが見逃されています。これでは平均値は意味をなしません。
 そもそも当時は、塩の摂取量を正確に測ることができませんでした。
 にもかかわらず、「塩をとると高血圧になる」という理論はひとり歩きをはじめ、世界中の研究者が注目するようになっていったのです。
 本当は「塩の摂取量と高血圧は無関係」との報告も多数あるにもかかわらず、日本の「減塩神話」は現在なお健在です。

 青木久蔵が追試験を行った。その結果から得られた知見は、

1.遺伝性の高血圧のネズミには、食塩の摂取と血圧には関係がないこと
2.かなりの高塩分食でも水を十分に飲み、尿を排泄できる能力があれば、血圧は上昇しないこと

 の二点であった。ただし反論もある。

食塩説反論(親ページ→Salt and Health

 ま、誰かの言葉を鵜呑みにするよりも、自分自身で確かめるのが一番だ。いい塩は結構高いので安い塩から試せばよい。「赤穂の天塩5kg」、「カンホアの塩【石臼挽き】500g」は求めやすい。私が実際に食べたところでは、「沖縄の海水塩 青い海500g」「ぬちまーす 250g×2パック」がお勧めできる。

 

2021-11-22

高血圧と食塩摂取とのあいだにはほとんど因果関係がない/『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌


『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』浜崎智仁

 ・医原病
 ・高血圧と食塩摂取とのあいだにはほとんど因果関係がない

『日本人には塩が足りない! ミネラルバランスと心身の健康』村上譲顕
『「塩」をしっかり摂れば、病気は治る 病気の因を断つクスリ不要の治療法』石原結實
『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』小林弘幸、玉谷卓也監修
『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル

身体革命
必読書リスト その一

 基本的に、高血圧と食塩摂取とのあいだにはほとんど因果関係がない。(中略)
 たしかに、食塩の過剰摂取が原因で高血圧になる人はいる。ただし、それが原因になっているケースは、高血圧患者100人のうちたった一人か二人という割合なのである。明らかに少数派なのである。食塩に含まれるナトリウムは、体内に水分を保持させる働きをしている。その濃度が高くなると体液が増え、その結果、血管を通る血液の量も増えて血圧が高くなるのは事実である。しかし、高血圧の原因はけっしてそれだけではない。
 にもかかわらず、画一的なマニュアルに沿った治療しかしようとしない医者は、すべての高血圧患者に減塩を指示する。しかし、そのマニュアルが有効な患者は全体の1~2パーセントにすぎない。残りの98~99パーセントには効果がないどころか、逆に必要な塩分が不足して健康を損(そこ)ねてしまう恐れまである。こんな愚かなマニュアルが「常識」として“日本の医師全般”に通用しているから、私は医者を信用できないでいる。

【『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌〈みついし・いわお〉(祥伝社黄金文庫、2009年)以下同】

 で、確かマウスで行った実験だったと記憶している。だからといって、ジャンジャン塩を摂って構わないと考えるのも早合点だ。医療のデタラメさを弁えることが大切なのだ。日本人の塩分摂取量が多いのは確かだが、それよりも問題なのは「汗をかかなくなった生活」にあると私は考えている。

 さて、「食塩原因説」である。この説の有力な根拠として引用されたのが、日本の東北地方で高血圧が多いという調査結果だった。(中略)
 食塩の平均摂取量が多い地域で高血圧が多いという統計があれば、とりあえず食塩と高血圧を結びつける仮設は成立するだろう。だが、それだけで結論を引き出すのはあまりに性急すぎる。実際、このときの調査では「食塩原因説」と矛盾する事実も出ていたと聞く。個別に調べてみると、食塩の摂取量が少ないのに血圧が高い人もいれば、食塩摂取量が多いのに血圧が低い人もいたという。一人ひとりの個体差から目を逸(そ)らしがちになるのも、疫学の抱える大きな問題点の一つである。また、同じ東北地方でもリンゴの生産地では高血圧が少なかった。こうした事実は、いずれも研究者にとって都合が悪いために、「例外」として切り捨てられたのである。
 リンゴをたくさん食べている人が高血圧になりにくいことは、栄養学的にも裏付けられている。血圧を平常に保(たも)つためには、食塩により摂取されるナトリウムと、カリウムというミネラルの比率が重要である。健康な体内になるナトリウムのカリウムに対する比率は0.6である。よって食物から摂取されるナトリウムとカリウムの比も、ほぼこの数値に近いことが望ましい。
 カリウムはリンゴ、メロン、スイカ、バナナといった果物や野菜などに多く含まれている。食塩を平均より多く摂取する地域でも、リンゴを日常的によく食べる地域では高血圧が少なかったのは、これで説明がつく。したがって、高血圧の一つの原因は、食塩の過剰摂取ではなく、カリウムの不足といったほうが正しいわけである。

 私は酒を断ってから血圧が高くなった。もともと好きな方ではなかったのだが、あると呑んでしまう。最後に呑んだ宴会では胸が悪くなって真っ先に退席し、家路につく途中で道路に横たわり、ほうほうの体で帰宅し、吐き気があるのに吐けない情況でトイレの床に坐り込んだ。

 で、血圧である。高血圧の利点は目覚めがいいことに尽きる。テレビの電源を入れるようにパッと目が覚める。ボーッとすることがこれっぽっちもない。それくらいかな。

 数年間にわたって180前後の血圧を維持してきたが、時折200を超えることがあった。血圧をコントロールするのはさほど難しくない、と私は考えていた。色々調べた。そして方針を定めた。運動はウォーキングのみ。食事は酢納豆とサバ缶玉ねぎで攻めた。1週間で140台まで下がった。ま、こんなもんだよ。

 カリウムは知らなかった。


 サツマイモとピーナッツはかなり食べているのでドンピシャリである。人体に最も必要なミネラルは塩である。古来、塩は貴重品であった。世界中で税をかけられ、専売制で国家が管理をした。「敵に塩を送る」という俚諺(りげん)は、敵を高血圧にするという意味ではない。

 高血圧治療薬(降圧剤)が認知症の原因となっていることは予(かね)てから指摘されている。


 血の巡りを悪くさせるわけだから惚けるのも当然だろう。因みに降圧剤は5500億円市場となっている(【降圧薬】市場は5500億円 ジェネリックのシェアは1.6%|日刊ゲンダイヘルスケア)。映画の市場規模が2600億円で、地方競馬が1750億円である(市場規模マップ | visualizing.info)。で、認知症患者が増えれば、またぞろ薬漬けにできるわけだよ。お前らはドラッグマフィアか?

  

医原病/『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌


『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』浜崎智仁

 ・医原病
 ・高血圧と食塩摂取とのあいだにはほとんど因果関係がない

『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』小林弘幸、玉谷卓也監修
『心と体を強くする! メガビタミン健康法』藤川徳美
『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』溝口徹
『食事で治す心の病 心・脳・栄養――新しい医学の潮流』大沢博
『オーソモレキュラー医学入門』エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル

身体革命
必読書リスト その一

 一方では、製薬会社や医療機器メーカーと結託して私腹を肥(こ)やしているような医者もいる。患者の命や健康を守ることより、自分たちの利権を守ることを最優先に考えているのである。多くの血友病患者に深刻な被害を与えた薬害エイズ事件も、おそらくはそういう構造によって惹(ひ)き起こされたものだと考えてよい。
 患者に無闇やたらと薬を出す医者も、似たような体質を持っているといえるだろう。医療費の大半が健康保険で賄(まかな)われていることを考えれば、効(き)きもしない薬を出す医者を野放しにしておくのは、国家的な損失だといえる。
 いずれにしても、そんな医者に自分の体を委(ゆだ)ねていたのでは、治る病気も治らなくなってしまう。それどころか、不勉強な医者にかかったために、かえって深刻な病状に悩みつづけている患者も多い。これを私は「医原病」――医学の無知によって惹き起こされる病気――と呼んでいる。ウェルニッケ脳症という「医原病」で苦しんでいる人たちの痛ましい話も知った。

【『医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」』三石巌〈みついし・いわお〉(祥伝社黄金文庫、2009年)】

必読書リスト その一」は読みやすさと、命に関わることを重視している。後はジャンル~関連書で括っている。大雑把に言えば科学~歴史~宗教の順番である。私の個人的興味で網羅しているわけだが、順を追って読めば意図するところが理解できよう。ま、古本屋だからね、並べるのは得意なわけよ。ただし古典はほぼ入っていない。私の知性が及ばぬゆえに。

 高度経済成長が神聖な職業を卑俗なものに変えてしまったのだろう。医師、教師、僧侶など。入れ替わりで台頭してきたのが学者、ジャーナリスト、タレントであった。ま、左翼の巣窟といってよい。媒体(メディア)は活字から映像へシフトした。

 どんな仕事でも一流と二流、あるいは平均とそれ以下の多数が存在する。難しいのは患者にとっては痛みや不調が問題であり、まずはそこを理解する医師かどうかを見る。つまり、コミュニケーション能力だ。次に来るのが説明能力だ。症状から原因を類推し、いかなる処置をするのか。どういうリスクとリターンがあるのか。特にリスクの説明が不可欠だ。私は病院へゆく機会が少ないこともあるが、かつて優れていると思った医師は一人しかいない。他は勉強不足の「仕事だからやってます」みたいな手合いばかりだった。一時期、仕事の関係で複数の医師と接することがあったのだが、「人間のクズ」の標本かと思った。それくらい酷い。

 医師の仕事は自分の古い知識に照らして、判例に沿った判断をする裁判官みたいなものだ。現在にあっては薬を処方するのが主な仕事となっている。彼らが自ら実験することはない。治験を行うのは製薬会社である。つまり、他人の知識で相撲を取っているわけだ。

 その集大成ともいうべき動向が新型コロナ騒動である。効果があるとされたヒドロキシクロロキンとイベルメクチンは完全に封殺された。




 医療の中でも特に精神科・心療内科が酷い。医師の知遇はないのだが、苦しみ喘ぐ患者をたくさん見てきた。奴らの仕事は患者を薬漬けにすることだ。まして、診断の国際基準とされる「精神障害の診断と統計マニュアル」の第5版(DSM-5)が製薬会社の利益に寄り添った内容に改変されているのだ(『〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス)。更に多剤併用(ポリファーマシー)の害すら説明していない。

 日本医師会は開業医(町医者)の団体である。彼らは政府に散々難癖をつけながらも、自らがコロナ患者を診ることはなかった。

【新型コロナウイルス】尾身会長「系列病院」にコロナ患者受け入れ“後ろ向き”疑惑|日刊ゲンダイDIGITAL

 最前線で格闘する医師と看護師は特攻隊を思わせるほど奮闘している。開業医の利権を潰す絶好の機会であったが、政府も自民党もあっさりとスルーした。

 大体だな、病気ってえのあ、生活に原因がある(遺伝子やウイルス由来もあるが)。その人の数十年に及ぶ生活の問題を数分の問診で見抜くことは無理だろう。しかも、それを薬で治そうなんて料簡(りょうけん)が気に入らない。医学を恃(たの)むよりも体の声に耳を傾けるのが正しい。食事と運動こそ最高の良薬(ろうやく)である。それで駄目なら寿命と割り切るまでだ。

  

LDLコレステロールについて その二/『大豆毒が病気をつくる 欧米の最新研究でわかった!』松原秀樹