・『ものぐさ精神分析』岸田秀
・『続 ものぐさ精神分析』岸田秀
・『脳は奇跡を起こす』ノーマン・ドイジ
・『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』ノーマン・ドイジ
・唯脳論宣言
・脳と心
・睡眠は「休み」ではない
・構造(身体)と機能(心)は「脳において」分離する
・知覚系の原理は「濾過」
・『カミとヒトの解剖学』養老孟司
睡眠が何であるかは、やはり、議論の種である。すでに述べたエネルギー消費の観点からすれば、睡眠は「休み」ではない。さらに神経生理学的には、睡眠がいくつかの神経回路の活動を必要とする「積極的」な過程であることが知られている。しかも、睡眠はどうしても必要な行動であるから、その間になにか重要なことが行なわれていることは間違いない。クリックはそれを、覚醒時に取り込まれた余分かつ偶然の情報を、訂正排除する時期だと言う。そうした活動が夢に反映される。「われわれは忘れるために夢を見る」。そうかれは言うのである。
【『唯脳論』養老孟司〈ようろう・たけし〉(青土社、1989年/ちくま学芸文庫、1998年)】
夢の真相はまだ判明していないが、クリック説がやや有力である(NIKKEI STYLE)。とすれば、「脳は全ての情報を記憶している」との通説は誤りだ。
一方でHSAMと称される超記憶力を持つ人々が世界に60人ほど存在する。
・すべてを覚え、決して忘れることができない記憶「HSAM」を持つ人々 | クーリエ・ジャポン
・完全記憶HSAMを持つ60人 ― 世界で最も不幸な能力「決して忘れない」人々の重すぎる言葉とは?
・人生のすべての瞬間を記憶している〈超記憶〉の持ち主に10の質問
ただし自伝的記憶(highly superior autobiographical memory)であることに留意する必要があるだろう。脳の容量に限りがあることを思えば、厖大な記憶情報は他の何かを失わせるのではないか。彼らの睡眠を研究すれば新たな発見がありそうだ。
私は幼い頃から殆ど夢を見ない。ま、見ているかもしれないが覚えていない。それと関係しているかどうかはわからぬが、理想や希望とも無縁である。野心も持ったことがない。どちらかというとマネジャータイプ(改革者)で、リーダー(創造者)ではない。
「脳が言葉から離れるために睡眠はある」と私は考える。思考を停止させるところに睡眠の目的があるのだろう。きっと無意識領域が活性化しているに違いない。