2012-07-05

不正確なNHKの原発報道


4号機燃料プールの危険性について(豪ABC)


オランド 反ユダヤ主義・反シオニズムに関する立場 社会党員の意見


 イスラエルが議論の基準となっているのは明らかにおかしい。第二次世界大戦のどさくさに紛れて、勝手にパレスチナの領土を奪い取ったイスラエルが。

シリア情勢 2012年5月9日 議会選挙 ティエリ・メサン

フランソワ・オランドが次期大統領 パレスチナ支持者の声

2012-07-03

「いまこそ、小沢氏に期待する」日本海新聞、大阪日日新聞社説


新日本海新聞社代表取締役社主兼社長 吉岡利固

 久しぶりに政治の世界が面白くなってきた。私は小沢一郎氏の離党で、政界に「新たな期待感が持てるようになった」と感じている。

無罪で堂々党首に

 消費増税に民主野田政権の大義はない。小沢氏が再三指摘したように、明らかなマニフェスト違反だからだ。3年前の政権交代総選挙で、「消費税は上げない」との国民との約束を守って戦い続けているのは小沢氏で、破ったのは野田総理の側。その点を認めない新聞、テレビをはじめとする大手メディアの論調はおかしい。消費増税は2年前の参院選で自民党が主張して戦った。その政策を丸のみして増税にひた走る野田政権のおかしさに、国民は「うそつき」ともっと怒るべきなのに、矛先を小沢氏に向け続ける世論は自らの首を絞める行為だ。

 小沢氏は、消費増税に反対票を投じてから、離党するまで意外に時間を要した。これは「党首となって新党を率いることへのためらい」と思われる。強制起訴による政治資金規正法違反事件では、数々の外部からの重圧に屈しなかった裁判官により一審無罪を得ながら、検察官役の指定弁護士の控訴で再び二審の被告の座に引き戻されたことで、政治の表舞台へ再登場することへのちゅうちょがあったのだろう。小沢氏はもっと自信を持ってことに当たってほしい。この難局を乗り切れる政治家は他に誰もいない。堂々と同志の議員を率いて新党を立ち上げ、党首として主張を貫き国民に信を問えばよい。

「なぜ消費増税がいけないか?」を、私は再三指摘している。財務省官僚が自らの利権を温存して国家財政危機を演じる異様さに加え、自身が大蔵省官僚だったからよく分かるが、消費税は国民にとって最も不公平な税制だからだ。その逆進制から低所得者層ほど負担は重くなる、富裕層は既に何でも持っているからますます消費は先細りして税収自体がどんどん目減りする。

官僚の背後に米国

 小沢氏が戦っている真の相手は、財務省をはじめとする霞が関官僚だ。政権交代で政治主導を掲げ、役人の既得権に次々と切り込んだ。それを東京地検特捜部は、担当検事がうその捜査報告書まで作成して検察審査会による小沢氏の強制起訴へ持ち込んだ。官僚にとって「どうしても抹殺したい相手」は小沢氏なのだ。国民はもっと素直に物事を考えて行動すべきだ。「反消費増税と反原発」の小沢氏を支持するか否かは、官僚支配継続を受け入れるか否かの選択にほかならない。

 日本の官僚支配の根幹は対米追従と、既得権温存。米国が日本の政治家を抹殺する時は、主に検察を手先に使う。中国に接近した田中角栄氏と小沢氏、北朝鮮と仲がよかった金丸信氏、ロシアとパイプのある鈴木宗男氏、また米国と距離を置こうとした細川護煕氏と鳩山由紀夫氏は官僚の面従腹背で辞職に追い込まれた。現在の野田政権を見ればすぐ分かる。消費増税、原発再稼働、オスプレイ配備を含めた沖縄米軍基地、TPP参加と、どれも米国の喜ぶ政策ばかり進めている。

 自民党政権時代には、各省庁に精通した“族議員”がいて、官僚も時としては気が抜けなかったが、民主党は駆け引き能力を持たない幼稚な集団。すぐ洗脳できて官僚の意のままに動き、特に財相経験者は菅総理でも野田総理でも、コロリと手中に落とせる高級テクニックを彼らは有する。

増税阻止に不信任案

 小沢氏は速やかに同志とともに内閣不信任案提出に動くと見る。今回ともに離党した者だけでなく、既に民主党を離れている仲間も多いから提出議員数は全く問題ない。消費増税に相乗りした自民党は、不信任案に反対すれば話し合い解散のきっかけを失い大連立に突き進むしかない。結果として総選挙は来夏まで延び、いざ解散時には小選挙区候補者調整が民自間で進まず、「大阪維新の会」をはじめとする消費増税反対の新興勢力と入り乱れる激戦となる。逆に賛成すれば、即解散総選挙で消費増税は参院可決できぬまま廃案。いずれにせよ、自民党にとって都合のいいシナリオは小沢氏の反乱で描けなくなった。

橋下氏は大同に付け

 反官僚、反増税、反原発という基本線で、橋下徹大阪市長は小沢氏と近い。しかし、関電の大飯原発再稼働容認をみても分かる通り、最近は根幹をなす政策で微妙なブレが見られる。既存政党や財界支持者との良好関係維持を意識しすぎ、民意とのズレが生じている。橋下市長は、今こそ愚直にマニフェストを守り続けて行動する小沢氏に手を差し伸べ、教えをこうべきだ。

日本海新聞、大阪日日新聞 2012-07-03

「汚染土東電に返す」 福島・二本松の男性 自宅庭から携え徒歩で東京へ


 東京電力福島第一原発の事故に抗議しようと、福島県二本松市のNPO職員関久雄さん(61)が、放射能に汚染された自宅庭の土をリュックサックに背負い、東京を目指して歩いている。東電と経済産業省の職員に手渡すつもりだ。「汚染された土を突き付け、事故の責任を明確に意識させたい」と訴えている。

「この中に含まれる放射性物質は私たちの物ではない。国と東電に返したい」

 二日、宇都宮市入りした関さんは、ビニール袋に入った少量の土を手に険しい表情で語った。持ち歩いている放射線量測定器をかざすと、毎時〇・二七マイクロシーベルトを示した。

 二十四時間身に付けているとすると、単純計算で、百五十五日間で一般の人の被ばく線量限度である年間一ミリシーベルトに達する計算だ。環境省と文部科学省によると、放射性物質を含んだ土の遺棄は放射性物質汚染対処特別措置法に触れる可能性があるが、携行を取り締まる法律はない。

 関さんのNPOでは廃校を利用し、農業体験や自然との触れあいの場を子どもたちに提供してきた。事故直後、自宅前の土や芝生の放射線量は毎時七~九マイクロシーベルトの高い値に。表土をはぎ取るなど対策を講じたが、今も〇・七マイクロシーベルト前後を計測し、室内でさえ〇・二~〇・三マイクロシーベルトある。

 関さんは過去にも反原発運動の一環で、使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)がある青森県六ケ所村から、高速増殖原型炉「もんじゅ」が立つ福井県敦賀市まで、複数の仲間とリレー形式で走った経験がある。汚染された土の上で生活する苦悩を東電と国に理解させるため、庭の土を届けることにした。

 六月上旬に二本松市を出発し、仕事が休みの月曜と火曜を利用して東京に向かった。前回歩いた場所までは知人の運転する車などで歩みを進め、福島県郡山市、須賀川市、栃木県那須町と南下してきた。

「原発いらない」「こどもを逃がせ」と手書きした段ボールを体にくくり付ける。それを見た通りがかりの車から、支援のクラクションが鳴る。時には、止まって「がんばってください」と言ってくれるドライバーも。出会った人たちに、福島の現状を話した。

 七月十六日に東京・代々木公園で行われるデモ「さようなら原発十万人集会」に間に合わせるため、すべての道のりを歩くことは断念したが、九、十日は「ホットスポット」が多い千葉県我孫子市、松戸市などから東京・浅草まで歩く予定。十七日に東電本店や経産省前で予定されるデモの際、土を手渡すつもりだ。

「土ぼこりを防ぐマスクを欠かせなくなったし、地面に座って休息することもあり得ない」と関さん。「子どもたちは外で遊ぶ機会が減り、体重が落ちている。そんな状況にあることを、汚染土を手にして痛感してほしい」と力を込めた。

東京新聞 2012-07-03

山口知事選 脱原発候補が大躍進


自民から共産まで幅広い支持

 山口知事選(12日告示、29日投開票)が、面白い展開になってきた。自民党がほぼ独占状態の保守王国・山口では当初、元国交省官僚の山本繁太郎氏(63)=自民・公明推薦=が勝利確実とみられてきたが、分からなくなってきた。先月22日に急きょ、出馬表明したNPO法人「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也氏(53)の支持が急拡大しているのだ。

 飯田氏は言わずと知れた脱原発知識人の代表格。折しも関西電力は1日、大飯原発3号機を再稼働した。官邸前では先週末、脱原発で15万人がデモ行進した。こうしたうねりが山口県にも波及しているのだ。

 飯田氏は1日、山口市で事務所開きを行った。県内各地で開いているミニ集会には毎回、30~50人が集まっている。宇部市で開いた集会には150人が集まった。

「選挙運動を支えるボランティアは女性や若者など、組織や地縁血縁、政党の枠組みを超えた人たちばかりです。こうした勝手連の動きが県内中に急速に広がっていて、各地で、政策ビラやチラシを求める声が上がっています」(選挙を取材したジャーナリストの横田一氏)

 選挙プロの票読みはこうだ。

「飯田氏は橋下徹・大阪市長のブレーンとしてエネルギー問題を担当、大飯原発の再稼働を目指していた関西電力が唱えた電力不足の“ウソ”を論理的に指摘して、知名度を高めた。この実績から『大阪維新の会』の“基礎票”が見込めるのに加え、脱原発の社民、共産票が入るのも確実です。飯田氏は聖教新聞でエネルギー問題の連載をしたこともあり、公明党票もある程度切り崩せる。民主党県連は自主投票で、民主票の半分くらいは期待できます。自民党支持者でも、飯田氏が唱える『再生エネルギー普及拡大に伴う雇用創出』に理解を示す人が多い。相当な票が出そうです」

 県民は毎年、光熱費で1000億円を払っている。多くはエネルギーの輸入代で消えてしまうが、自然エネルギーに転化すれば地元に金が回っていく。それが飯田氏の掲げる政策のひとつだ。  加えて、対立候補の山本繁太郎の評判が悪い。とにかくエラソーなのである。山口で地殻変動が起きれば、それは全国に波及していく。

日刊ゲンダイ 2012-07-12

猛暑対策~ハッカ油


 取り敢えずリンクをまとめておく。実際に使ってからレビューを書く予定。

節電の夏もクールに過ごそう!万能すぎる「ハッカ油」の使い方まとめ21個
節電の夏を乗り切るためのハッカ油の使い方まとめ
猛暑と夏バテの救世主「ハッカ油」の5つの使い方。安くて安心。
ハッカ油を使ってみて感じた気をつけたいポイント3
オススメ!ハッカ油の使い方。本編

ハッカ油P 20ml【HTRC3】 北見ハッカ通商 ハッカ油ビン 20ml【HTRC3】 ハッカ油200cc 薄荷 はっか 精油 100% 最高品質基準

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2012-07-01

大飯原発正門前より(ライブ映像)


Live broadcasting by Ustream

米兵に妻を殴り殺された

レバ刺しは禁止で大飯原発は解禁

高階秀爾


 1冊読了。

 34冊目『誰も知らない「名画の見方」』高階秀爾〈たかしな・しゅうじ〉(小学館101ビジュアル新書、2010年)/2時間で読了。さすが大御所だけのことはある。文章が香り高い。紙質もまあまあで印刷がきれいだ。「白い点ひとつで生命感を表現したフェルメール」との指摘に驚く。それまで見えなかったものが明らかに見えるようになった。軽い読み物でありながら全く侮れない深みが各所にある。

2012-06-30

ビルダーバーグ~秘密のグローバリストの政府

サンタ=サタン そしてどのように全てが異教徒化されたのか


映画『ZEITGEIST(ツァイトガイスト) 時代精神』2007年

首相官邸前 紫陽花革命 / Hydrangea revolution 日本語 / English 2012年6月29日

超簡単! bloggerでフォントをメイリオに変更する方法

別冊サイボーイ

 ・Windows XP 向け ClearType 対応日本語フォント

日本での原発再稼動は、電力ではなく、濃縮ウランの供給を要求するアメリカ企業の圧力があるからだ

大飯原発再稼働反対デモ 各紙朝刊1面記事比率


2012-06-29

首相官邸前に集え! 反原発行動は本日18時!



◎広瀬隆からの緊急メッセージ(PDF)

EUは全欧州市民へIDチップを要求


マイクロチップ

ベンジャミン・フリードマン「アメリカに対するシオニストの脅威とイスラエルの起源」






完全版:Benjamin Freedman # complete 1961 speech ~ The Truth ~ The whole Truth ~ and Nothing but the Truth
ベンジャミン・H・フリードマン(Benjamin H. Freedman)

野田佳彦街頭演説「マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行」


 ミスター二枚舌は恥知らず。

2012-06-28

『論語』翻訳比較~金谷治、宇野哲人


 子(し)の曰(のたま)わく、学んで思わざれば則ち罔(くら)し思うて学ばざれば則ち殆(あやう)し。

 先生がいわれた、「学んでも考えなければ〔ものごとは〕はっきりしない。考えても学ばなければ、〔独断におちいって〕危険である。」

【『論語』金谷治〈かなや・おさむ〉訳注(岩波文庫、1963年/新訂版、1999年)】

論語 (岩波文庫)



 子(し)曰(い)はく、学んで思わざれば則ち罔(くら)く、思うて学ばざれば則ち殆(あやふ)し。

〔通釈〕ただその事を学ぶだけで、その理窟を思索しなければ、心がくらくてなにも悟りを得ることはない。ただその理窟を思索するだけで、その事を学ばなければ、空想に過ぎないから、危(あやう)くて不安を免(まぬ)かれない。(※〔語釈〕〔解説〕は略す)

【『論語新釈』宇野哲人〈うの・てつと〉(講談社学術文庫、1980年/『大礼記念昭和漢文叢書』弘道館、1929年)】

論語新釈 (講談社学術文庫 451)

 この訳文に鑑み、金谷訳注の岩波本を読むことにした。ただし孔子のセリフの語尾に「ね」や「ねえ」を使うのはどうかと思う。安っぽい落語が混入したような印象を受ける。以下のテキストも参照されよ。

(※金谷訳注本は)原文と、その読み下し文に簡潔な現代語訳と注釈を加えた本で、入門書としては傑作です。まさに、日本人向けの論語の教科書といえるもので、贅肉のような解説を伴わないシンプルなものです。繰り返し読もうとする場合に、このシンプルさが読む者の思索を邪魔しないという良さにつながると考えます。

論語‐どの論語本を読むか?―基本編・第1回
論語‐どの論語本を読むか?―基本編・第2回
論語‐どの論語本を読むか?―基本編・第3回

一筋の溶岩が白と黒を分かつ

Llaima 5

 火山の爆発が描き出した芸術。我が身を白と黒のモノトーンに染め上げ、真っ赤な線を一筋引いてみせる。雪と灰、そして溶岩の温度が見る者に不思議な混乱を与える。白と黒が生と死のイメージを喚起し、赤い線が血を思わせる。チリ南部にあるジャイマ(Llaima)山が噴火したのは2008年のこと。

◎エイヤフィヤトラヨークトル(アイスランド)の火山雷 2010年

2012-06-27

データ消失~クラウドは雲散霧消を示唆しているのかも


パレスチナの大義 植民地主義継続に対する闘い ミシェル・コロン

イスラエルで逮捕された平和活動家の解放を求めるデモ(パリ)

イスラエル占領支配によるパレスチナ人の深刻な水不足

オウム信者逮捕劇の裏側で原子力基本法の基本方針が変更

2012-06-26

目撃された人々 26


 雨上がりの日であったと思う。しゃがみ込んで草むしりをしているお婆さんがいた。手際がよく無駄な動きがなかった。麦わら帽子で隠れた顔は真っ黒に焼けていた。

 すると塀の内側からひょっこり顔が覗(のぞ)いた。同じ年代の女性であったが、肌の色がまったく違っていた。雇った側が雇われた側を斜め上からじっと見下ろしていた。私の胸に鋭い痛みが走った。「ここで交換されているものは何か?」。

貿易黒字は失業を輸出していることに等しい/『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義』藤巻健史

 経済行為が等価交換であるならば、労賃を返せば白い肌の老婦人は草むしりをするのだろうか? 絶対にやらないね。別の人間を探すだけの話だろうよ。マダムは決して自分の手を汚すことがない。



 他人を「働かせる」行為は、誰かを「虐げる」行為なのかもしれない。

 簡単な作業ほど働き手は多い。難しい仕事には免許や資格が必要となる。規制がある以上、職業選択の自由は阻害されていると考えてよかろう。

「働かなければ食ってゆけない」――我々が生きる世界は苛酷だ。しかも「働く」ことが「賃金を得る」ことを意味している。資本主義経済は労働を貧しいものに変えてしまった。そして食べることと働くことを完全に切り離すことに成功した。

 等価交換の幻想を支配しているのは金融と流通である。そしてこの舞台に広告会社とメディアが演出を施す。経済の実態は消費という反応に堕してしまった。

 私は背中越しに胸の中でマダムにつぶやいた。「美食の限りを尽くして、さっさとくたばるがいい」と。アスファルトの道路に唾を吐こうかと思ったが、私の良識が押しとどめた。

目撃された人々(旧)

2012-06-25

自由貿易協定に脅かされるコロンビアとペルー


◎貿易黒字は失業を輸出していることに等しい/『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義』藤巻健史

シリア情勢 国連視察団派遣 ティエリ・メサン 2012年4月25日

ギラド・アツモン「イスラエルの人種差別・拡張主義」

小林頼子、朽木ゆり子、鎌倉地元民の会、奥富敬之、安部公房


 5冊挫折。

フェルメール 謎めいた生涯と全作品』小林頼子〈こばやし・よりこ〉(Kadokawa Art Selection、2008年)/入門編なんだろうけど、読み物としてはまるでダメ。ファンでなければついてゆくことができないことだろう。

フェルメール全点踏破の旅』朽木ゆり子〈くちき・ゆりこ〉(集英社新書ヴィジュアル版、2006年)/文章はこちらの方が優れていると思う。掲載されている写真を見て、私はさほどフェルメールが好きではないことに気づいた(笑)。

鎌倉に住む500人が選ぶ とっておきの鎌倉100』鎌倉地元民の会編(毎日新聞社、2011年)/雑誌以下の手抜き本だ。恥を知れと言いたい。

もっと行きたい 鎌倉歴史散歩』奥富敬之〈おくとみ・たかゆき〉(新人物文庫、2010年)/散歩の言葉に騙された(笑)。純粋な歴史の本であった。

第四間氷期』安部公房(講談社、1959年/早川書房、1964年/新潮文庫、1970年)/ワンセンテンスが長くて文章が揺れているように感じた。歯が立たず。

貿易黒字は失業を輸出していることに等しい/『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義』藤巻健史


◎ビッグマック指数の嘘
◎貿易黒字は失業を輸出していることに等しい

 この数字が大きいとはどういうことかというと、失業の輸出をしているということですよね。分かります? 例えばアメリカにどんどんどんどん自動車を輸出している。アメリカの自動車工場が閉鎖されてしまう。アメリカで失業者が増加する。そういうときにもっと円安にしろと言っちゃまずいんです。おとなしくしていなくてはいけない。ただでさえ多く輸出しているのに「もっと円安にしろ」って言っちゃいけないんです。
 ところが現在は、モノ+サービスの黒字が減ってきているわけです。今、日本の経常収支が大きいというのは利息と配当収入なのです。これは別に失業を輸出しているわけでもないし、もっと悪い言葉で言えば労働搾取をしているわけでもないですね。こういう状態の時は円安にしろと主張してもおかしくないと私は思います。モノ+サービスの黒字が大きい時には、大声で円安にしろって言ってはいけないんですが、今は状況が昔とは違うんです。

【『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義』藤巻健史〈ふじまき・たけし〉(光文社新書、2003年)】

 経済活動の本質は交換である。投資におけるトレードとプロスポーツ選手のトレードは共に交換を意味する。ところが資本主義経済は否応(いやおう)なく資本の獲得が目的化するため、あらゆるマーケットで搾取が行われる。奪ったモン勝ちというのが資本主義原則であろう。これを「利益」と名づける。

 社会が高度に情報化されると自由競争という前提は崩壊する。広告によって消費行動がコントロールされるためだ。衣食住の心配がなくなると人は刺激を求め始める。広告会社は消費を浪費へと誘導する。

 アイゼンハワー大統領は、記者会見で、後退を防ぐために、国民はなにをすべきかを質問されたことがあったが、そのときの会話のやりとりは次のようである。
 答「買うことだ」問「なにを買うのですか」答「どんなものでも」

【『浪費をつくり出す人々 パッカード著作集3』ヴァンス・パッカード:南博、石川弘義訳(ダイヤモンド社、1961年)】

 大統領が発した二言は権力者の本音をあらわしたものだ。

「2014年までに米国の輸出を倍増し、国内の雇用を増加する」とオバマ大統領は公約した。これに伴いRBS証券の西岡純子チーフエコノミストは「米輸出の増減を世界経済成長と為替相場に要因分解すると、今後5年間に必要なドル相場の下落は、対円では2010年に1ドル=84円、14年には70円になる」とと推計している(Bloomberg 2010年2月10日)。

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の目的はアメリカの失業を日本へ輸出することだ。そしてゆうちょマネーを始めとする日本の資産が太平洋を渡り始める。資本主義の暴力性が窺えよう。

◎自由貿易協定に脅かされるコロンビアとペルー
◎目撃された人々 26

藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書)

2012-06-24

アメリカ人の良心を目覚めさせた原爆の惨禍/『トランクの中の日本 米従軍カメラマンの非公式記録』ジョー・オダネル


 ・アメリカ人の良心を目覚めさせた原爆の惨禍

『夕凪の街 桜の国』こうの史代
『チェ・ゲバラ伝』三好徹
『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』苫米地英人
小倉に投下予定だった原爆

「何をどのように見るか」はその人の人生観に負う。「生の本質は反応である」という我が持論からすれば、正確には「何がどのように見えるか」となる。「見る」と「見える」には能動と受動の相違がある。知的な意志で視点を高めなければ「見る」ことはできない。

 友人のブログで初めて「焼き場に立つ少年」の写真を見た。背中におぶった赤ん坊の首はがっくりと後ろに反(そ)っていた。少年は下唇を噛んで直立不動の姿勢を保っている。生と死が直線と斜線を描いて交錯する。少年を直線にせしめている力を思わずにはいられなかった。

 悪しき教育、洗脳された思考などと安易に批判するのは簡単だ。そんな戯言(たわごと)は半世紀後に出したじゃんけんみたいなものだ。いかなる時代や社会であれ、人間の感情に大きな違いはない。少年の全身からにじみ出る無念の思いと悲しみが私を圧倒する。彼は独り、矛盾の断崖に立っているのだ。

 焼き場に10歳くらいの少年がやってきた。小さな体はやせ細り、ぼろぼろの服を着てはだしだった。少年の背中には2歳にもならない幼い男の子がくくりつけられていた。その子はまるで眠っているようで見たところ体のどこにも火傷の跡は見当たらない。
 少年は焼き場のふちまで進むとそこで立ち止まる。わき上がる熱風にも動じない。係員は背中の幼児を下ろし、足元の燃えさかる火の上に乗せた。まもなく、脂の焼ける音がジュウと私の耳にも届く。炎は勢いよく燃え上がり、立ちつくす少年の顔を赤く染めた。気落ちしたかのように背が丸くなった少年はまたすぐに背筋を伸ばす。私は彼から目をそらすことができなかった。少年は気を付けの姿勢で、じっと前を見つづけた。一度も焼かれる弟に目を落とすことはない。軍人も顔負けの見事な直立不動の姿勢で弟を見送ったのだ。
 私はカメラのファインダーを通して、涙も出ないほどの悲しみに打ちひしがれた顔を見守った。私は彼の肩を抱いてやりたかった。しかし声をかけることもできないまま、ただもう一度シャッターを切った。急に彼は回れ右をすると、背筋をぴんと張り、まっすぐ前を見て歩み去った。一度もうしろを振り向かないまま。係員によると、少年の弟は夜の間に死んでしまったのだという。その日の夕方、家にもどってズボンをぬぐと、まるで妖気が立ち登るように、死臭があたりにただよった。今日一日見た人々のことを思うと胸が痛んだ。あの少年はどこへ行き、どうして生きていくのだろうか?

脚注※焼き場にて、長崎/この少年が死んでしまった弟をつれて焼き場にやってきたとき、私は初めて軍隊の影響がこんな幼い子供にまで及んでいることを知った。アメリカの少年はとてもこんなことはできないだろう。直立不動の姿勢で、何の感情も見せず、涙も流さなかった。そばに行ってなぐさめてやりたいと思ったが、それもできなかった。もし私がそうすれば、彼の苦痛と悲しみを必死でこらえている力をくずしてしまうだろう。私はなす術もなく、立ちつくしていた。

【『トランクの中の日本 米従軍カメラマンの非公式記録』ジョー・オダネル、ジェニファー・オルドリッチ:平岡豊子訳(小学館、1995年)以下同】

joe

 ジョー・オダネルは少年を見た。そこに白人特有の差別意識はひとかけらもなかった。「同じ人間として」被爆した長崎の大地に立っていた。オダネルは23歳の青年であった。反逆の世代であったがゆえに戦争の不毛さや政治の嘘を嗅(か)ぎとることができたのだろう。

 爆心地が目の前に広がっていた。一瞬息が詰まった。地球に立っているとは信じられない。見渡すかぎり人々の営みの形跡はかき消され、瓦礫が地面をおおいつくしていた。私はたったひとりでここに立つ。まるで宇宙でたったひとりの生き残りであるかのように。徹底的に荒れ果てた地表には、鉄管や煉瓦が不気味な影を落としている。まわりの静けさが私を打ちのめした。
 私は体を失った彫像を見つめる。口はからからに乾き、眼には涙がにじむ。やっとの思いでつぶやいた。「神様、私たちはなんてひどいことをしてしまったのでしょう」と。

 トランクに封印していたのは単なる写真ではなかった。オダネルと日本人との間に通った交情であった。そしてオダネル自身も被爆していた。2007年に死去するまで、彼は50回もの手術を受けていた。痛みが情けをより深いものにしたことだろう。

 写真を公開するまでの半世紀にわたる煩悶(はんもん)と懊悩(おうのう)に思いを馳せる。そして多分、我々は戦争の悲惨さに涙を流しながらも、再び正義を振りかざして、またぞろ戦争を繰り返すのだろう。愚か者よ、汝の名は人類なり。

 オダネルの写真に反応してはいけない。強靭な知性と意志でオダネルの深い感情を汲み取る作業が求められる。

トランクの中の日本―米従軍カメラマンの非公式記録
ジョー オダネル
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米軍カメラマンが見た長崎
ジョー・オダネルと日本人の交流
The Phoenix Venture's photostream
ジョー・オダネル(Joe O'Donnell)のこと
ジョー・オダネルの十字架(爆心地の土・元安川の砂による) 大津定信さん 名古屋市、71歳
米国が隠したヒロシマとナガサキ - Democracy Now!

「Gun Yourself」バンクシー作


反逆のグラフィティ・アーティスト(落書き芸術家)「バンクシー(Banksy)」

 ・「Gun Yourself」バンクシー作

Banksy?

 さしずめ「因果応報」という名の銃だ。バンクシーの反逆性は孔子に通じている。

 子貢問うて曰く、「一言にして終身之を行うべき者あるか」。子曰く、「それ恕か。己の欲せざる所、人に施すことなかれ」。(衛霊公第十五より)

【現代語訳】
 子貢が質問して言うには、「死ぬまで行うべきような、ひとつの言葉はありますか」。孔子が答えて言うには、「それは恕(じょ/思いやりのこと)だ。自分がして欲しくないことを、人にしてはならない」。

【「真実を求めて」を参照した】

己の欲せざる所は人に施す勿れ
衛霊公第十五2

 バンクシーはものの見事に「恕」を描いている。その痛烈な皮肉、辛辣なユーモアが街角に現れると、拡声器の絶叫よりも強い印象を与える。果たして我が国の「笑い」が、権力や暴力を嘲笑するほどの高みに達しているであろうか?

論語 (岩波文庫 青202-1)

岩波書店
売り上げランキング: 1,673

2012-06-23

ドン・ウィンズロウ


 1冊読了。

 33冊目『犬の力(下)』ドン・ウィンズロウ:東江一紀〈あがりえ・かずき〉訳(角川文庫、2009年)/上巻で受けた印象は変わらず。物語の展開は明らかに失速している。ミステリにおけるプロパガンダ本は意外と多い。私が長らくユダヤ人に肩入れしてきたのも、モサドものを始めとするミステリの影響が大きい。ま、半世紀近くも生きていれば、もう簡単には騙されないけどね。

Where the Hell is Matt? 2012


 マットが帰ってきた。自分たちの正義を振りかざす宗教よりも、よっぽど立派な行動だと思う。歌やダンスには一定の規則性はあるものの、人間にとって本源的な自由と歓びが横溢(おういつ)している。


◎Where the Hell is Matt? (2008)

2012-06-22

ドン・ウィンズロウ


 1冊読了。

 32冊目『犬の力(上)』ドン・ウィンズロウ:東江一紀〈あがりえ・かずき〉訳(角川文庫、2009年)/これは「文章巧者が描く邪悪なプロパガンダ本」である。評価の高いミステリだけに私は満を持して読んだ。手法としてはテレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』と同じで、部分的に真実を盛り込んで、アメリカの正義を体現する人物に共感させるような筋書きとなっている。ドン・ウィンズロウの『ストリート・キッズ』を読んだのは20年前のこと。警句のように引き締まった文章を散りばめながらも、登場人物は一様に平板だ。何といっても主役のアート・ケラーが最悪である。大体、「アート」って名前をつけるセンスを疑いたくなる。ま、出来損ないの劉備玄徳みたいな性格だ。メキシコのドラッグ戦争をギャングの抗争に矮小化する意図を感じた。中南米の暴力には全てアメリカが関与している。その事実から目を逸(そ)らさせる効果が本書にはある。

東祥三「増税は公約になく、それをやろうとする方が造反ではないか」

2012-06-21

安全ではないものを安全だと言いくるめた男たちが原発を再稼働する


 まだ何も終わっていない福島第一原発の事故を「収束した」と口先だけで発言し、安全の根拠もまったくないまま大飯原発3、4号機を再稼働させる。

 そんな人間が首相の座にいる。いったい何という国だろうか。

 安全ではないものを安全だと言いくるめた男たちが、また原発を再稼働するというのだから、それ自体が犯罪だ。

鈴木傾城〈すずき・けいせい〉

2012-06-20

森功、鎌田茂雄、鴻上尚史、エリック・ホッファー、香月泰男、谷川俊太郎、立花隆


 6冊挫折。

許永中 日本の闇を背負い続けた男』森功(講談社、2008年/講談社+α文庫、2010年)/立場の違いを殊更強調しているところを見ると、少なからず後ろ暗い思いがあるのだろう。文章が滑らかなので騙されやすいが、何となく卑劣な匂いを感じる。

華厳の思想』鎌田茂雄(講談社、1983年/講談社学術文庫、1988年)/古い。葬式仏教的な手法だと思う。仏教を説明することに意味はないだろう。

「空気」と「世間」』鴻上尚史〈こうかみ・しょうじ〉(講談社現代新書、2009年)/文体が講演調で締まりがない。パラパラとめくって、直ちにやめた。

エリック・ホッファー自伝 構想された真実』エリック・ホッファー:中本義彦訳(作品社、2002年)/アフォリズムを読んだ後ではどうしても冗長に感じる。いい本だとは思うが。

春夏秋冬』絵と文 香月泰男、谷川俊太郎編(新潮社、1993年)/タイトルは「はるなつあきふゆ」と読む。ホッファー同様、シベリア・シリーズを見た後ではまるでインパクトに欠ける。石原吉郎もそうだが、一度地獄を味わった者は生涯にわたって闇を見続けることを運命づけられる。

シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界』立花隆(文藝春秋、2004年)/1970年、文藝春秋社刊『私のシベリヤ』のテキストが収録されている。これを読むだけでも買う価値がある。まだ20代だった立花が、香月からの聞き書きをまとめたものだ。『夜と霧』に匹敵するほどの価値があると思う。

生活保護の「申請拒否」は違法



騰奔静想~司法書士とくたけさとこの「つれづれ日記」
生活保護

2012-06-19

教条主義こそロジックの本質/『イエス』ルドルフ・カール・ブルトマン


目指せ“明るい教祖ライフ”!/『完全教祖マニュアル』架神恭介、辰巳一世

 ・新約聖書の否定的研究
 ・神の支配とは何か?
 ・教条主義こそロジックの本質

『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室直樹
『世界史の新常識』文藝春秋編
『宗教の倒錯 ユダヤ教・イエス・キリスト教』上村静
『イスラム教の論理』飯山陽

キリスト教を知るための書籍

 啓典宗教はテキスト絶対主義である。

宗教には啓典宗教とそれ以外の宗教がある/『日本人のための宗教原論 あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室直樹

1:1太初に言あり、言は神と偕にあり、言は神なりき。 1:2この言は太初に神とともに在り、 1:3萬の物これに由りて成り、成りたる物に一つとして之によらで成りたるはなし。 1:4之に生命あり、この生命は人の光なりき。 1:5光は暗黒に照る、而して暗黒は之を悟らざりき。

大正改訳聖書 - ヨハネ傳福音書

 文語訳だと格調の高さが際立つ。そして有無を言わせぬ力が漲(みなぎ)っている。「ああ、そうだったのか!」「きっとそうなんだろうな」と思わせる高踏の品格が漂う。かくして啓典宗教は人々を「言葉の奴隷」へと誘導するのだ。

 更に見逃せないことは「言葉以外のもの」を「暗黒」に見立てることで、否定すべき対立概念として浮き上がらせている。

「言葉っていっても、聞いた人はいないわけだよな」とか、「観測者がいない以上、『無人の山中で木が倒れたとき、音はするか』ってな問題と一緒だわな」とか、「神様は誰から言葉を教わったんだい?」などと言うなかれ。我々極東の衆生(しゅじょう)はキリスト教の世界観を知るために、いったん内側に潜り込んで外部世界を見直す必要があるのだ。目指せ、なんちゃってクリスチャン。

 ヒューマニズム的に人間を見る、即ち人間がその素質の中に、あるいは理想を実現すべき定めの故に、自己の中に神性や、あるいは神との親近性を持つかのように見るのは、イエスには全く無縁である。【かくてイエスには普遍主義なるヒューマニズム的概念は異質である】。

【『イエス』R・ブルトマン:川端純四郎、八木誠一訳(未來社、1963年)以下同】

 はい、ユマニテの負け。三手詰めだな。ヒューマニズムが敗者復活を遂げるためには言葉と理性を否定する他ない。これ、本当の話だよ。

 大体だな、人類が言葉を獲得したのは後天的なもので、しかも言語を持たない期間の方が長かったはずだから、「初めに言葉」があるわけがないのだ。しかし、この論理が2000年もまかり通っている以上、決して無視するわけにはいかない。そして言語化、論理化を目指したという点では大乗仏教とも軌を一にしている。

 ブルトマンは「人間の尺度で神を測るな」と一刀両断する。

 神の支配が奇蹟的終末論的なものであるように、それに入るべく定められた人も、人間であるからそうなのではなくて、神から召されたからそうなのである。召されたのは先ずユダヤ民族である。

 ま、キリスト教のロジックでは当然そうなりますわな。

 同じように一切のヒューマニズム的個人主義も拒否される。召されるのは個人ではなくて教団であり、教団には約束が与えられるのである。個人が神の支配の中で、賦与された規定を実現し、人格を完成して幸福に到るというのではない。【神】がその支配を現出せしめ、神の意志が成り、教団への約束が果たされるということ、これが神の支配の実現なのである。勿論個人もやはり救いに到達するのであるが、「人格」としてではなく、終末の教団へと召されている一人としてなのである。

 神の絶対性とは「人間の理解の範疇を超える」ものでなければならない。「見えて」はダメだ。人間の視野を軽々と超越した位置におわすのが望ましい。

「てめえらは全然わかっちゃいねえんだよ!」という叱責が身に堪(こた)える。その瞬間、「ブルトマンは神をどの程度理解しているのであろうか?」という疑問は木っ端微塵となる。実に巧妙な手口だ。健康食品のマルチ商法でも時折見かけるよ。

 人間は選ばれた者となるか、棄てられた者となるか、いずれにせよ、神の支配に対する決断によって、実存全体を規定される。従って現在と将来との関係は、神の国は歴史内のものとして現在始まり将来完成する、という具合ではなく、また神の支配の現在への介入は、人格的資質や心霊的状態等、内面的精神的なものを持っているところに見られるのであって、その完成はまだ将来のことあのだ、という具合でもない。そうではなく、神の支配は真の将来なのである。なぜなら神の支配は何か形而上学的本体、一つの状態、ではなくて、どんな意味でも現在的所与にはなり得ない、将来の神の行動だからである。しかし、それにもかかわらず、この将来は人間の現在を規定し、まさにそのゆえに真の将来なのである。「どこか」や「いつか」ではなく、人の上にやって来て決断を迫るものなのである。

 宗教は原理主義が必ず勝つ。神の忠実なる僕(しもべ)となることが信仰の目的なのだから当然だ。ま、一種の奴隷ゲームみたいなものだ。より平伏(ひれふ)し、額づいた者が勝利を収める。相対化された自分を軽しめることで、神の絶対性を高めるわけだ。

【服従】、これがユダヤ教倫理の本質である。

 ここまであけすけに言われてしまうと賛成せざるを得ない。既に人間性を否定されているわけだし……。「いいか、とにかく神は絶対なんだ。だから絶対ではないお前らがとやかく言うことを俺は断じて許さんぞ」との論法は、1+1=2と同じくらいのわかりやすさがある。で、わかりやすいことを人は疑おうとしない。「わかった」ということは「疑問のない」状態を意味する。

 ゆえに【神の意志】がイエスにとって社会的政治的プログラムではないのは、それが人間や人類の理想像から発する倫理体系、あるいは価値倫理ではないのと同様である。イエスは人格性や徳の概念を知らない(またイエスはそもそもこの単語を用いない。これはヘレニズム的キリスト教内ではじめてあらわれた)。

 ブルトマンは問題を単純化する。純粋化、合理化といってもよい。「合理」とはこうした次元のことであることが私は初めてわかった。それまでは「より多くの人々を納得させる」ことが合理であると勘違いしていた。「はじめに言(ロゴス)があった」――このロゴスこそがロジックの語源である。すなわち教条主義こそがロジックの本質なのだ。

 イエスの愛の要求は全然別様に基礎づけられている。すなわち性格の強さや人格的品位の思想にではなく、服従の思想、自己主張の断念という思想に基礎づけられている。

 人格と神格には天地の開きがある。神を理解しようとしてはいけない。ただ仰いでその言葉を信ずるべきだ。これが「信仰」という言葉の本義である。

 クリシュナムルティは言った。「言葉はシンボルであり、シンボルは真実ではない」と。脳はシンボルに支配される。なぜならシンボルなくして類推(アナロジー)は不可能であるからだ。

アナロジーは死の象徴化から始まった/『カミとヒトの解剖学』養老孟司

 思考の限界を見極めた上で、知性と感情を融合する生き方を示した人物がブッダとクリシュナムルティであった。


古代イスラエル人の宗教が論理学を育てた/『数学嫌いな人のための数学 数学原論』小室直樹

2012-06-16

羽田正、フォークナー、マーク・ローランズ、香月泰男、小室直樹、苫米地英人


 3冊挫折、3冊読了。

興亡の世界史 第15巻 東インド会社とアジアの海』羽田正〈はねだ・まさし〉(講談社、2007年)/タイミングが合わず。別の機会に読む予定だ。

フォークナー短編集』フォークナー:龍口直太郎〈たつのくち・なおたろう〉訳(新潮文庫、1955年)/フォントが小さすぎる上、訳文が私の口に合わなかった。最初の「嫉妬」すら読了できず。

哲学者とオオカミ 愛・死・幸福についてのレッスン』マーク・ローランズ:今泉みね子訳(白水社、2010年)/著者の人相が悪すぎる。獣じみた顔つきをしている。文章もまだるっこしい。

 32冊目『没後30年 香月泰男展図録/香月泰男〈私の〉シベリア、そして〈私の〉地球』(朝日新聞社、2004年)/シベリア・シリーズの鈍い金と黒に沈黙を強いられる。個人的な心情として鹿野武一〈かの・ぶいち〉の態度が、石原吉郎の言葉が思われてならなかった。香月泰男〈かづき・やすお〉はふてぶてしいまでの生命力でシベリアを生き抜いた。絵、というよりはイコンに近い作品群であろう。絵画を見て肚の底から唸(うな)ったのは初めてのことだ。

 33冊目『数学嫌いな人のための数学 数学原論』小室直樹(東洋経済新報社、2001年)/やはり小室は凄い。合理的思考を学ぶのなら小室の著作を読むのが手っ取り早い。目から鱗が落ちることを請け合おう。後半は経済学の話題が豊富で実に勉強になった。ただしこの人の文体は少し癖がある。

 34冊目『「生」と「死」の取り扱い説明書』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(KKベストセラーズ、2010年)/粗製濫造気味ではあるが、要所要所に卓見が散りばめられており予断を許さないところがある。恐ろしいほど自我が肥大している人物だけに、最新科学から見た仏教解説と割り切って読むべきだろう。ま、仏教を語りながら自分の宣伝にいそしんでいるだけのことだ。

イラン大統領は「イスラエルを消す」と言ってはいない