2013-07-03
久坂部羊、アルボムッレ・スマナサーラ、クリス・ヘッジズ、ロバート・B・パーカー、吉田繁治、苫米地英人、他
5冊挫折、7冊読了。「王様のレストラン」、「こんな恋のはなし」!、「HEROES / ヒーローズ」とドラマ漬けであったため書くのを失念。蜘蛛の糸のようなはかない記憶を頼りに記しておく。
『古代インド』中村元〈なかむら・はじめ〉(講談社学術文庫、2004年)/当てが外れた。アーリア人の成り立ちについて知りたかったのだが、単なるインド古代史であった。
『古代インド文明の謎』堀晄〈ほり・あきら〉(吉川弘文館、2008年)/威勢のいい牽強付会。小さな合理性で全てを押しのけてみせる。物事の大小を理解していないように見受けられる。
『富の未来(上巻)』アルビン・トフラー、ハイジ・トフラー:山岡洋一訳(講談社、2006年)/傲慢極まりない文章に耐えることができなかった。たぶん彼はユダヤ人だろう。
『モサド・ファイル イスラエル最強スパイ列伝』マイケル・バー=ゾウハー、ニシム・ミシャル:上野元美訳(早川書房、2013年)/若い頃愛読した作家だ。私にとってパレスチナ人は同胞であるため、イスラエル礼賛本は唾棄すべき対象でしかない。
『歴史の終わり(上)歴史の「終点」に立つ最後の人間』フランシス・フクヤマ:渡部昇一訳(三笠書房新装版、2005年)/著者が40歳でものした本を50になろうとする私が読めないのが業腹だ。今はとにかく時間が惜しい。私にとっては不要な書籍だ。
22冊目『モーツァルトとレクター博士の医学講座』久坂部羊〈くさかべ・よう〉(講談社、2012年)/話し言葉で書かれているため最初は侮っていたが、「ウン?」と思っているうちに読み終えてしまった。私が引っ掛かったのは「少量の毒」に対してである。久坂部羊には恐ろしいことをさらりと言ってのける胆力がある。時折、挿入されるマンガの知識も楽しい。
23冊目『原訳「法句経(ダンマパダ)」一日一話』アルボムッレ・スマナサーラ(佼成出版社、2003年)/やはりスマサーラ長老の本は勉強になる。日本人が書いたどの仏教書よりもピンと来る。ただし私は彼の説明能力を評価しているだけで、根本的な立場が異なる。私は来世を信じない。
24冊目『本当の戦争 すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄』クリス・ヘッジズ:伏見威蕃〈ふしみ・いわん〉訳(集英社、2004年)/読んでおくべきデータ本。特に文章を書く人は。
25冊目『背信』ロバート・B・パーカー:菊池光〈きくち・みつ〉訳(ハヤカワ文庫、2008年)/好きな作家の衰えを目の当たりにすることは悲しい。訳者も老いた。既にハードカバーは出版されていないようだ。
26冊目『冷たい銃声』ロバート・B・パーカー:菊池光〈きくち・みつ〉訳(ハヤカワ文庫、2009年)/マチズモの限界。ホークの人物像を記す履歴書みたいな代物。スペンサーとスーザンのやり取りも薄気味悪い。
27冊目『マネーの正体 金融資産を守るためにわれわれが知っておくべきこと』吉田繁治〈よしだ・しげはる〉(ビジネス社、2012年)/絶賛に値する。天野統康〈あまの・もとやす〉を先に読めば一層理解が深まる。こんな日本人がいたとはね。信用創造に興味のある人は必読のこと。唯一の瑕疵はシルビオ・ゲゼルに対する批判で、これは見当違い。スタンプ紙幣は地域通貨である。400ページで1900円という破格の値段。一家に二冊置いてもいいくらいだ。
28冊目『宗教の秘密 世界を意のままに操るカラクリの正体』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(PHP研究所、2012年)/キリスト教の歴史、仏教の哲学、そして現代の宗教である「お金教」に斬り込む。GDP本位制というアイディアはさすが。ただし本書の目的は第4章にあるのだろう。「私が代表理事を務める一般財団法人日本催眠術協会」への誘導だ。苫米地は巧みに仏教を語りながらも、常に「私」というエゴを前面に出す悪癖がある。これ自体が仏教とは無縁の生きざまを示しているように見えてならない。
2013-06-28
目撃された人々 40
3歳くらいの男の子が玄関先の地べたに座り込んでいた。「何してんの?」と訊ねると、笑いながら「すわっているの」と答えた。我々大人は常に意味を求める。だが彼は「ただ」座っていたのだった。座りながら「別の何か」をしていたのではなかった。私も隣に座るべきだった。
— 小野不一 (@fuitsuono) June 28, 2013
2013-06-26
2013-06-23
情報エントロピーとは/『シャノンの情報理論入門』高岡詠子
情報エントロピーとは、
「事前に分かっている情報がどれくらいあるかということを知るための尺度」
反対に言うと
「今、そのことについて自分がどれだけ無知かを表すための尺度」
ですから、【情報エントロピーが大きい状態】とは、
「なにか情報を得る前になにも分かっていない」
「今、そのことについて自分がなにも情報を持っていない」
ということです。つまり、
「結果の予測がつかないということであり、情報として曖昧であり、十分とはいえない」
ことを示しているのです。ということは【エントロピーが大きい状態とはこれから得る情報のありがたさが非常に大きい】ということになります。これから得る情報の期待値が高いというわけです。ですから【情報を受ける側としてエントロピーが大きい事象に関する情報はありがたい情報】なわけです。反対に【情報エントロピーが小さい】ということは、予測がしやすいことでもあり、すでに十分な情報が得られているので、これからそのことに関して情報を受け取ってもちっとも嬉しくないというわけです。 自然科学において、エントロピーというのは「システムの乱雑さの尺度」とか「偏りのほとんどない状態」とか表現されています。「体型の中の粒子の細かい多様性」「分からなさなの度合い」などとも言われており、式
S=klogW
で表されます。式の形も意味的にも、情報エントロピーと非常によく似ています。
【『シャノンの情報理論入門』高岡詠子(講談社ブルーバックス、2012年)】
すっきりしない説明だ。「情報として曖昧であり、十分とはいえない」が「情報のありがたさ」と結びつかない。つまり私が今置かれている状況は、情報エントロピーは大きいのだが本書の説明は決してありがたいものではない、ということになる。
・情報エントロピー 【 information entropy 】
・情報エントロピーとは
・情報エントロピー
・情報エントロピー 衝撃度(自己情報量)の期待値
・情報理論 - エントロピー
わからん。これだけ読んでもさっぱり理解できないよ。
・情報って何だろう?
少しだけわかったような気分だ。梅雨空の向こうに辛うじて夕焼けが覗いている。
さほど情報理論に興味があるわけではない。私が求めているのは、例えば「システィーナ礼拝堂天井画」のエントロピーであり、「マタイ受難曲」のエントロピーである。更に詩歌のエントロピーやマンダラ&マントラに至るエントロピーなのだ。
情報エントロピーが無限に大きい状態が多分「悟り」なのだろう。まだ悟っていないので、せめて期待値だけでも上げておくか(笑)。
情報理論の道を拓いたクロード・シャノンは一輪車に乗りながらジャグリングができた。なんと愛すべき人物なのだろう。
・情報理論の父クロード・シャノン/『インフォメーション 情報技術の人類史』ジェイムズ・グリック
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