2013-09-02

分割統治/『そうだったのか! 現代史 パート2』池上彰


『そうだったのか! 現代史』池上彰

 ・ソ連がアフガニスタンを侵攻するようにアメリカが誘導した
 ・分割統治

 ヨーロッパの強国は、世界各地で植民地支配をする上で、「分割統治」の原則を貫いてきました。たとえばフランスは、カンボジアを植民地にしたときに、ベトナム人を使って間接統治しました。このため、カンボジア人の恨みはベトナム人に向けられ、いまでもカンボジア人のベトナム人嫌いの原因になっています。
 ベルギーは、アフリカのルワンダを植民地にしたときに、ツチ族とフツ族という二つの民族を対立させて支配しました。この結果、二つの民族の間に憎悪が残り、1994年の内戦の遠因になりました。
 イギリスは(インドの)「分割統治」を進めるために、間接統治と共に、「対立させて支配する」という方式を実行しました。

【『そうだったのか! 現代史 パート2』池上彰(ホーム社、2003年/集英社文庫、2008年)】



 古代ローマにおける分割統治とは、広大なローマ帝国を築き上げるために支配下の都市に対して行った政策のことだ。分割統治はまた、大航海時代の15世紀から20世紀にかけて、ヨーロッパ列強が植民地を支配するための基本的な戦略としても用いられた。

山崎淑子の「生き抜く」ジャーナル!



 列強たちはそれぞれの取り分を、一つの国として統治したのか?というと全然違う。いくつもの国として統治。しかも、ここで編み出した知恵が分割統治。あえて、民族や宗教等が違う人たちを少しだけ入れるように工夫して線を引く。しかも、その反対側(隣の国)はその比率が逆になるように。

世界地図を見てみよう:分割統治の怖さが見える:吉川由紀枝



 欧米の分割統治とは、少数の民族や華僑に特権を与えて大多数の現地人を支配させ、その上に欧米人が坐るという支配のしかたのことである。

欧米の伝統「分割統治」



 支配される側を一級市民と二級市民に分けて、扱いに差をつけます。すると生活に不満があっても、一級市民は二級市民を見下すことで不満のはけ口にします。「自分はまだあいつらよりもマシだ」。とうぜん、二級市民は一級市民を敵視するようになります。支配される側の人々は仲たがいをし、小さな利害でも対立するようになるのです。

 支配される側の人々は互いに争うので、支配階層に対する批判の矛先を逸らすことができるのです。分断統治は、人々が持つ差別意識や優越意識を利用しています。

権力闘争「分断して統治せよ」



 スリランカでは、その分割統治の定石通りに植民地支配が行われて、インドから連れてこられたタミル人は土着のシンハラ人をよそに安定した仕事と富を得ることになった。

 そして、イギリスの目論み通り、シンハラ人とタミル人は憎しみ合い、数十年にも渡る激しい闘争を繰り広げていたのである。

 この構図は、香港でも、シンガポールでも使われた。そして、パレスチナでも分割統治の名残りとしてユダヤ人が植民されて、中東の火薬庫となっていった。

セイロン茶葉の紅茶を飲みながら、イギリスの分割統治を思う:鈴木傾城〈すずき・けいせい〉



 本願寺側にとっては失礼な物言いになるかもしれませんが、秀吉と家康による本願寺の「分割統治」(ぶんかつとうち)が見事に成功し、それが未だに続いているといっても過言ではないのです。

家康の政策 ~分割統治と権益による統制 その1



 戦後、日本本土はドイツのように分割されることなく、アメリカを中心とする連合国による占領統治が行われましたが、戦争中には、連合国が日本本土を分割して占領する「日本の分割統治計画」が存在しました。

Divide and Rule: 分割し統治せよ



日本共産党はコミンテルンの日本支部/『日本最後のスパイからの遺言』菅沼光弘、須田慎一郎
李承晩の反日政策はアメリカによる分割統治/『この国を呪縛する歴史問題』菅沼光弘

2013-09-01

消費を強制される社会/『浪費をつくり出す人々 パッカード著作集3』ヴァンス・パッカード


 ・消費を強制される社会
 ・機能の廃物化、品質の廃物化、欲望の廃物化

『メディア論 人間の拡張の諸相』マーシャル・マクルーハン
『依存症ビジネス 「廃人」製造社会の真実』デイミアン・トンプソン

 電通の戦略十訓は本書によって作られたという。

1.もっと使わせろ
2.捨てさせろ
3.無駄使いさせろ
4.季節を忘れさせろ
5.贈り物をさせろ
6.組み合わせで買わせろ
7.きっかけを投じろ
8.流行遅れにさせろ
9.気安く買わせろ
10.混乱をつくり出せ

Wikipedia

電通過労自殺事件/『自殺のコスト』雨宮処凛
小田嶋隆による『広告批評』批判 その一/『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆
ハゲ頭に群がるカツラメーカー/『無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ』小田嶋隆

 その昔、味の素が売り上げを伸ばすために穴を大きくしたという都市伝説があった。同社公式サイトによれば「湯気による目詰まりを防ぐために、従来の“卓上瓶”に比べて口の面積を広くし、穴の数を増やしました。このことが、おもしろおかしく伝えられたものだと思われます」とのこと。

 戦略十訓は統治者の言葉遣いである。電通は消費者を「支配される者」として捉えている。広告代理店の仕事は大衆の欲望をコントロールすることなのだろう。

 生産をつづけるために消費を人工的に刺激しなければならないような社会は、屑やむだの上につくられた社会である。そして、そのような社会は砂上の楼閣である。
  ――ドロシー・L・セイヤーズ

【『浪費をつくり出す人々 パッカード著作集3』ヴァンス・パッカード:南博、石川弘義訳(ダイヤモンド社、1961年/原書、1960年)以下同】

Portrait Round Robin

 ドロシー・L・セイヤーズはただの推理小説作家ではなかった。キリスト教人道主義者だったらしい。とすると上の言葉は複雑度を増す。プロテスタントの労働倫理が絡んでいる可能性が高い。

 明日の世界は、どういうものになるのだろうか?
 この本で、われわれは現在の潮流から想像されるいくつかの可能性を検討することにしよう。産業界のスポークスマンたちは、とりわけ明日について空想したがる。彼らは地平線の彼方をのぞきこんで、マーケティングの専門家がわれわれのために考えてくれるすばらしい製品を眺めるように、われわれに呼びかけている。われわれは彼らと同じ夢をみるようすすめられる。そうして、音声タイプライター、壁いっぱいのテレビ・スクリーン、リモートコントロールでハイウェイをすべるように走る自動車等が使えるようになることをうずうずしながら待つようにさせられる。

 蝶が舞うような文章である。予測し得ない優雅な動きが視覚を快感へ導く。

 広告代理店は明日の青写真を提供する。現代においては戦争のシナリオまで書いている。

『ドキュメント 戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争』高木徹
湾岸戦争へと導いたナイラの証言

 旧ソ連を始めとする社会主義国は滅んだわけだがプロパガンダは生き延びた。より強靭な体質となって。

 欲望がコントロール可能である事実は行動経済学でも明らかとなっている。

比較トラップ/『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー

 それどころか社会心理学の実験では人々の判断も容易にコントロール可能であることが判明している。

アッシュの同調実験/『服従の心理』スタンレー・ミルグラム
服従の本質/『服従の心理』スタンレー・ミルグラム
服従心理のメカニズム/『服従実験とは何だったのか スタンレー・ミルグラムの生涯と遺産』トーマス・ブラス

 アメリカ国民は、ある意味で、虎にまたがった国民になりつつある。彼らはますます消費することを学ばなければならない。さもないと、彼らの巨大な経済のからくりが、彼らに刃向い、彼らをむさぼり食らうかもしれないと警告されているのである。彼らは、もっともっと個人としての消費を高めるように要求され、しむけられなければならない。それは、彼らが商品にたいして差し迫った要求をもっているかどうかには関係ない。日に日に拡大する経済が、それを要求するのである。

 消費は加速することでしか満足を得られない。「日に日に拡大する経済」とは減ることのない利子によって構成される世界だ。

利子、配当は富裕層に集中する/『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳、グループ現代

 もっと意味を広げれば、大部分のアメリカ人が、「浪費をつくり出す人々」になりつつあると言ってもいいだろう。

 ここに環境破壊の根本要因がある。もともと硬貨を鋳造するためには膨大な樹木を燃やす必要があった。鉄鋼生産が更に拍車をかける。

 今日、アメリカの平均的な市民は、第二次大戦直前に比べると2倍の消費をしている。

 これが1960年のアメリカだ(原著刊行年)。既に半世紀以上が経っている。消費が行き着く先は金融と戦争である。そろそろ「地球環境を消費している」事実に気づいてもいい頃合いだろう。



図表で読み解く ニッポンのゴミ(PDF)
失業と破産こそ資本主義の生命/『小室直樹の資本主義原論』小室直樹
煩悩即菩提/『新板 マーフィー世界一かんたんな自己実現法』ジョセフ・マーフィー

2013-08-30

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「原爆投下も国際法違反か」シリア化学兵器使用で米国務省に質問飛ぶ


 原爆投下も化学兵器使用と同じ国際法違反か――。米国務省の定例記者会見で28日、ロイター通信の記者がシリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、米国による広島、長崎への原爆投下の例を挙げて軍事介入の正当性について追及した。

 米政府はアサド政権による化学兵器使用を断定。この日の会見でハーフ副報道官は国連安全保障理事会による武力行使容認決議なしに軍事介入することを念頭に、多数の市民を無差別に殺害したことが一般的に国際法違反に当たると強調した。

 これに対してロイターの記者は「米国が核兵器を使用し、広島、長崎で大量の市民を無差別に殺害したことは、あなたの言う同じ国際法への違反だったのか」と質問。ハーフ氏はコメントを避けた。(共同)

msn産経ニュース 2013-08-29

原爆資料館を訪れたチェ・ゲバラ/『チェ・ゲバラ伝』三好徹
米軍による原爆投下は人体実験だった/『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』苫米地英人