2019-05-26

煩悩即菩提/『新板 マーフィー世界一かんたんな自己実現法』ジョセフ・マーフィー


『「言葉」があなたの人生を決める』苫米地英人
『アファメーション』ルー・タイス
『「原因」と「結果」の法則』ジェームズ・アレン
『「原因」と「結果」の法則2 幸福への道』ジェームズ・アレン

 ・煩悩即菩提

『未来は、えらべる!』バシャール、本田健
・『バシャール・ペーパーバック1 ワクワクが人生の道標となる』ダリル・アンカ、バシャール

 前向きに考えるための基本を身につけてください。「思考が道具であること」「心で感じたものが引き寄せられてくること」「人間は、心で想像したとおりになること」、この三つがわかれば、何でも前向きに考えられるようになります。

【『新板 マーフィー世界一かんたんな自己実現法』ジョセフ・マーフィー:富永佐知子〈とみなが・さわこ〉訳(きこ書房、2012年/きこ書房、2003年『マーフィー 世界一かんたんな自己実現法 驚異のイメージング』)以下同】

 原著刊行は1952年(昭和27年)。GHQの日本占領が終わった年である。新しい思考は余暇から生まれる。文明発達の目的は自由な時間の獲得、すなわち余暇にある。枢軸時代の思想家を生んだのは鉄器であったと武田邦彦が指摘している。鉄器によって農業の生産性が格段に上がり、余剰を蓄えることが可能となった。

 願望実現のベクトルが内側に向けられると自己啓発となり、外側に向かうとマーケティング理論になるというのが私の考えだ。ジョセフ・マーフィーの後塵を拝すようにしてヴァンス・パッカードマーシャル・マクルーハンが登場している。

 マーケティング理論には心理学が悪用され深層心理に働きかけることで消費者の購買意欲を煽った。広告、広告、広告だ。戦争と好景気を背景に人々は物欲を満たした。

 あなたが心で考えていること、それがあなたです。
「信頼」は、考え方や感じ方、つまり心構えや志のひとつです。人間は成功を「信頼」することも、失敗や不運、貧しさを「信頼」することもできます。そして、こうした心の状態はすべて人生にあらわれます。「信頼」が外に押し戻されるのです。そもそも、信頼するということは、心の中で何かをじっくり眺め、納得して受け入れるということです。もとより「信頼」は思考のひとつで、思考にはものを作る力があるので、考えていることを外部に作り出してしまいます。人間とは、心の中の思いが形を取ってあらわれ出たものだからです。わたしたちは、本当に信じていることを現実に作り上げます。心の底で何を信じているかが重要なのであって、通りいっぺんに納得するだけではだめです。

 結局何を信じるかである。信心・信仰・信念といっても一緒である。我々は何かを信じずには生きられない。そして自分が信じている多くのことが実は誤っている。人は解釈された世界を歩み、妄想の中を生きるのだ。

 年を重ねるに連れて自分の中に制限を見出す人が多い。仕事は学歴や資格で選択肢が狭まれ、能力や適性を発揮することもないまま中年期に至る。人生が何となく先細りになってゆくことを避けられない。

 加齢に伴う自己制限が不幸の大きな原因の一つであるように思える。

 自己実現が欲望の実現を目指しているならば実にわかりやすい煩悩即菩提の構図である。所願満足といってもよい。そう考えると後期仏教(大乗)が多くの人々を乗せることができる乗り物に喩えられたのは、欲望充足の巧みなデッサンを提示したためか。より多くの人々が信じられるものは、より易しくてわかりやすい教えだ。

 つまり自己啓発の思想は大乗の香りを放ち、鎌倉仏教のビートを奏(かな)でているのだ。神智学協会(1875年-)というコネクター(『仏教と西洋の出会い』フレデリック・ルノワール)が登場するのも偶然ではない。これはキリスト教世界における神仏習合なのだ。

 人類の思想史は肯定と否定の波を繰り返し、自己実現と諸法無我の間を彷徨(さまよ)い続けるのだろう。

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