・自由の問題 1
・自由の問題 2
・自由の問題 3
・欲望が悲哀・不安・恐怖を生む
・教育の機能 1
・教育の機能 2
・教育の機能 3
・教育の機能 4
・縁起と人間関係についての考察
・宗教とは何か?
・無垢の自信
・真の学びとは
・「私たちはなぜ友人をほしがるのでしょうか?」
・時のない状態
・生とは
・習慣のわだち
・生の不思議
・クリシュナムルティ著作リスト
・必読書リスト その五
誰にも依存してはいけません。私や他の人が、時のない状態があると言うかもしれません。しかし、それがあなたにとって何の価値があるのでしょう。お腹が空いているなら食べたいし、単なる言葉をあてがわれたくはないでしょう。重要なのは、あなた自身で見出すことなのです。まわりのあらゆるものごとが腐敗して、滅んでゆくのが見えるのです。いわゆる文明ももはや集団的意志ではまとまってゆかないし、バラバラになろうとしています。刻々と生は挑戦してきます。そして、単に習慣のわだちから挑戦に応答するなら、それは受け入れという形で応答することになり、そのときあなたの応答は妥当性を持ちません。時のない状態、「もっと」とか「まだ」という動きのない状態があるのかないのかは、「私は受け入れない。究明し、探究してゆこう」と言うときにだけ、見出だせます。それが、一人で立つことを恐れていないということなのです。
【『子供たちとの対話 考えてごらん』J・クリシュナムルティ:藤仲孝司〈ふじなか・たかし〉訳(平河出版社、1992年)】
私が最も多く贈本している作品なのだがとにかく反応が芳しくない。どいつもこいつも「難しい」と言う。理窟(りくつ)で捉えるから難しく感じるのだろう。ただ風に吹かれ、雨に打たれるように読めばいいのだ。クリシュナムルティの言葉を通して私の心には恐るべき振動が起こる。しかしながら私自身の音を奏でるまでには至っていない。
・科学の限界/『宇宙を織りなすもの』ブライアン・グリーン
科学が限界を悟ったのは物理的な時間であるが、人生にとって最大事は心理的な時間である。一生という時間をどう生きるか。そこに一人ひとりの個性がある。
クリシュナムルティの言葉がわかりにくいのは言葉の圧縮度が高いためだ。例えば上記テキストであれば、「なぜ心は衰退し、老けて、重く、鈍くなるのか?」(176頁)を読めばストンと腑に落ちる。また、「なる」(ビカミング)という理想や目標が将来性を目指して時間を必要とするのに対し、自分自身がただ「ある」(ビーイング)という姿は現在性の中にしか見出せない。我々は成長や向上を目指した途端に社会の奴隷(「習慣のわだち」)となってしまうのだ。
自転車で走っていると何となく「時のない状態」を感じることがある。
1時間40分で26km。相模川沿いで座間の大凧を見掛ける。もったいぶって中々上がらず。中津川沿いも行楽客で賑わっていた。
— 小野不一 (@fuitsuono) May 4, 2019
風が頬を撫でる時、刻々と流れゆく生を感じる。ところが日常生活の中で諸行無常の風を実感することはない。動かざる自我が眼を節穴にしているのだろう。
— 小野不一 (@fuitsuono) May 4, 2019
運動した後の睡眠が深いように、充実した人生の後には深い死が訪れるに違いない。
— 小野不一 (@fuitsuono) May 4, 2019
「時のない状態」とは死であろう。「私」という自我を死なすことができれば現在の中に無限を見出すことが可能となる。それはまた過去と未来の否定でもある。「ただ、ある」時、うごめく森羅万象が、生の潮流が眼前に立ち現れるのだろう。
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