2014-08-15

魔女狩りは1300年から激化/『魔女狩り』森島恒雄


『科学史と新ヒューマニズム』サートン:森島恒雄訳
『思想の自由の歴史』J・B・ビュァリ:森島恒雄訳

 ・魔女は生木でゆっくりと焼かれた
 ・魔女狩りの環境要因
 ・魔女狩りの心情
 ・魔女狩りは1300年から激化

『聖書vs.世界史 キリスト教的歴史観とは何か』岡崎勝世

 フランスのジェルベールは、中世における科学ルネサンスの最初の曙光として科学史の上で記念される人物であるが、当時は呪術師として有名であった。しかしそれにもかかわらず、シルヴェステル2世(999-1003年)としてローマ法王の位にすらつくことができたのである。「呪術師」は、魔女裁判時代では「魔女」となる。もう500年後だったら、法王どころでなく、焼かれたかも知れなかった。

【『魔女狩り』森島恒雄(岩波新書、1970年)以下同】

 呪術と科学の親和性は、錬金術から化学が生まれたことを思えば別に不思議ではない。「化学を英語でケミストリー(Chemistry)というのが、この語源となっているのが錬金術を英語で指す言葉のアルケミー(Alchemy)なのである。近代になるまで化学と錬金術は同一視されていたのだ」(『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』一条真也監修、クリエイティブ・スイート編)。中世は宗教から科学へと向かう季節であった。ヨーロッパでは教会が学問を支配していた。グーテンベルク革命(1439年)の後も識字率はまだ低かったことだろう。当時、科学的な発見は神の絶対性を証明するものだった。

 ともあれ、以上で明らかなことは、魔女は12~13世紀ごろまではまだ安泰であったと結論できることである。
 ところが、1300年を境として事態は一変する。魔女に対する教会の態度が、にわかに硬化するのである。魔女の歴史は、ここで、平穏だった古い魔女時代を終えて、不安動揺の時代に入ることになるが、その転機は「新しい魔女」の大量出現であった。

 環境史的に見ればちょうど小氷期に当たっている。戦争を始めとする人類の混乱は寒さに由来すると考えてよさそうだ。

 しかし、教会のこの寛容さはしだいに失われていき、12世紀の終りごろ、にわかに態度は逆転し、13世紀に入れば異端者の処罰は火刑が通則となり、審問には拷問も法皇によって許可されることになるのである。
 この教会の態度の急変は、12世紀に勃発した大規模でラディカルな異端運動が教会当局に与えた深刻な衝撃、危機感であった。

 様々な研究によって現在では魔女狩りの規模を縮小する傾向が強く、「近世の魔女迫害の主たる原動力は教会や世俗権力ではなく民衆の側にあり、15世紀から18世紀までに全ヨーロッパで推定4万人から6万人が処刑された」(Wikipedia)と考えられている。歴史とは現在を正当化するものゆえ、常に書き換え・更新が繰り返される。ナチスによるホロコーストの歴史ですら定かではないのだ(『ホロコースト産業 同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』ノーマン・G・フィンケルスタイン)。

 ヨーロッパの歴史は血塗られている。十字軍(1096-1272年)、百年戦争(1337-1453年)、三十年戦争(1618-1648年)、そしてレコンキスタ(718-1492年)。帝国主義・植民地主義を生んだのもキリスト教であった。アングロサクソンが第二次世界大戦で勝利を収め、キリスト教世界は今尚延命している。

 一神教を深く問い直す学問が必要だ。そうでなければ人類はいつまでも戦争に向かうことだろう



欽定訳聖書の歴史的意味/『現代版 魔女の鉄槌』苫米地英人

2014-08-13

合理性を阻む宗教的信念/『思想の自由の歴史』J・B・ビュァリ:森島恒雄訳


『科学と宗教との闘争』ホワイト:森島恒雄訳

 ・自由とは良心に基いた理性
 ・合理性を阻む宗教的信念

『魔女狩り』森島恒雄

 普通の人の心の世界は、自分が文句なしに容認し固く執着している信念から成り立っている。このなじみ深い世界の既成の秩序を覆(くつがえ)すようなものに対しては、普通の人は本能的に敵意をもつものである。自分のもっている信仰の一部分と矛盾するような新しい思想は、その人の頭脳の組替えを要求する。ところがこれは骨の折れる仕事であって、脳エネルギーの苦しい消耗が強要される。その人と、その仲間の大衆にとっては、新しい思想や、既成の信仰・制度に疑惑を投げかけるような意見は不愉快であり、だからそれは彼らには有害な意見に見えるのである。
 単なる精神的なものぐさに原因する嫌悪感は、積極的な恐怖心によってさらに増大する。そして保守的本能は、社会機構をも少しでも改変すると社会のよって立つ基盤が危うくなるとの保守的理論へと硬化する。国家の安寧(あんねい)は強固な安定と伝統・制度の変わりない維持とに依存するものだという信仰を人々が放棄しはじめたのは、ようやく最近のことである。その信仰がなお行なわれているところでは、新奇な意見は厄介視されるばかりでなく、危険視される。公認の原則について「何故に」とか「何のために」というような面倒な疑問を発するような人間は、有害な人物だとみなされるのである。
 保守的本能とそれに由来する保守的理論とは、迷信によってさらに強化される。慣習と見解の全部を包含する社会機構が、もしも宗教的信仰と密接に結びつき、神の比護のもとにあると考えられているような場合には、社会秩序を批判することは涜神(とくしん)を意味し、また宗教的信仰を批判することは超自然的神々の怒りに対する直接の挑戦となる。
 新しい観念を敵視する保守的精神を生み出す心理的動機は、既成の秩序やその土台となっている観念を維持するのに利害を共にする階級、カースト、祭司というような、地域社会の有力な諸階層の積極的な反対運動によってさらに強化される。

【『思想の自由の歴史』J・B・ビュァリ:森島恒雄訳(岩波新書、1951年)】

 人類にパラダイムシフトを促してきたのは常に冷徹な科学的視点であった。現実を鋭く見つめる科学者の頭の中から世界は変わり始める。それは緩やかに知の積み重ねを通して人々に広がってゆく。かつて地球は平面であると考えられていた。天動説や魔女の存在を信じていた時代もあった。

 科学の世界とて例外ではない。アインシュタインは一般相対性理論から宇宙が収縮するケースが導かれることを見出し、宇宙定数を方程式に盛り込むことで帳尻を合わせた。それから12年後、エドウィン・ハッブルの観測によって宇宙が膨張している事実が判明した。アインシュタインは宇宙定数を「生涯最大の過ち」と悔いた(『エレガントな宇宙 超ひも理論がすべてを解明する』ブライアン・グリーン)。彼は定常宇宙を信じていたのだ。

 信念が相関関係を因果関係に書き換える。脳を支配するのは物語だ。その最たるものが宗教であろう。

宗教の原型は確証バイアス/『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン

 不幸が祟(たた)りの物語をつくり、僥倖は祝福の物語を形成する。脳は偶然をも必然と捉える。

 ホワイトの指摘は認知科学によって具体的に証明されている。

誤った信念は合理性の欠如から生まれる/『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ

 私が不思議でならないのは、なぜキリスト教よりも合理的な仏教から学問的な統合知が生まれ得なかったのかという一点である。これは研究に値するテーマだと思う。



新しい信念と古い信念が拮抗する/『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ

ガザを見よ




AsSalawat:twitter

巨利をむさぼる 精神医療業界


診断・統計マニュアルDSM精神医学による悪徳商法