2014-12-27

読後の覚え書き/『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』ジョージ・ジョナス


 1冊読了。

・読後の覚え書き
映画『ミュンヘン』を見て

 98冊目『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』ジョージ・ジョナス:新庄哲夫〈しんじょう・てつお〉訳(新潮文庫、1986年)/こんな面白い作品を見逃していたことに愕然とする。スピルバーグ監督『ミュンヘン』の原作である。映画は見たのだが、あまり記憶に残っていない。というわけで町山智浩の解説を聴いてもらおう。




 モサドチームが不安に駆られたのは、あまりにもミッション(「神の怒り作戦」)が順調に進んだためであった。6~7人のターゲットを殺害した時、彼らの頭に浮かんだことは、「敵が自分たちを殺すことも簡単かもしれない」という事実であった。チームのリーダーを務めるアフナーはまだ25歳の若者にすぎなかった。そうこうしている内に、チームの長老ともいうべき存在のカールが殺される。相手は女の殺し屋だった。アフナーは命令違反にもかかわらず直ぐさま報復する。


 ここにターゲットの何人かが登場する。尚、ガッサーン・カナファーニー爆殺はモサドの別チームによる作戦であったと本書では紹介されている。

黒い九月事件/『パレスチナ 新版』広河隆一

 1970年代、ゲリラといえばパレスチナゲリラのことで悪人を意味した。私が歴史の事実を知るようになったのもここ数年のことだ。私は筋金入りのイスラエル嫌いだが、本書は十分堪能できた。たった5人で構成されたモサドの精鋭チームは11人中、9人の殺害を成し遂げる。そして味方の3人が殺された。やがて命令が撤回される。モサド高官は単なる官僚であった。復帰を拒んだアフナーは貸金庫に預けておいた預金まで奪われる。自分たちは手を汚さず、用が済めばポイ捨てというわけだ。神の怒り作戦を発動したのはゴルダ・メイア首相であった。

 ノンフィクション作品ではあるが、スパイスリラーとしても十分通じるレベルの傑作である。

(最後のページの脚注に登場する)



ミュンヘン [DVD]ブラックセプテンバー ミュンヘン・テロ事件の真実 [DVD]

『ミュンヘン』の元ネタ①ブラックセプテンバー/五輪テロの真実:町山智浩

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