訪問介護職員の総数は約43万3000人で7割近くが非常勤で、約4割が60歳以上。65歳以上は約2割だ(厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」17年)。
肉体的にも精神的にもハードな仕事なので、年齢を理由に退職する人も多い。また、4割を占める60歳以上のヘルパーは、今後10年のうちにほとんどが引退する可能性が高いため、人手不足が解消する見込みはほぼ無い。真っ暗闇の回廊を歩かされているようで、そこには一筋の光もない。
おそらくこういった事情も関係しているのだろう。19年(1-12月)の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は、集計開始以来、最多だった2017年の111件に並んだ。業種別では「訪問介護事業」が最も多く58件。前年の45件から急増していたのである。
【河合薫:健康社会学者(Ph.D.) 2020年3月17日】
不安を煽る記事タイトルに眉をひそめたが内容はまともである。既に崩壊しつつある訪問介護の現場を初めて知った。これを打開するには老人専用の全寮施設を用意するか、思い切って老人村をつくるのがいいだろう。
本来であれば家族で面倒を見るのが当然だ。しかし核家族化が進んだ現在、家族に介護の負担がかかれば労働力が足りなくなってしまう。
介護がビジネスとして回るのは介護保険報酬があるからだ。税金を喰い物にして利益を上げることができるのならば、最初から自治体が運営してヘルパーや介護福祉士にきちんとした報酬を支払うのが筋ではないのか。医療と介護のシステムは抜本的に見直す必要がある。死人が続出する前に。
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