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2011-08-10

不可触民が偉大な指導者と認めるのはアンベードカルただ一人


「不可触民虐待は少しも改まっていないのをあなたもすでに知ったはずです。
 この国の不可触民は今もなお“農奴”だ、ということも、ね。
 われわれが不可触民の唯一、かつ真に偉大な指導者と認めるアンベードカル博士の例をみてごらんなさい。
 彼は、初代法務大臣として、インド憲法を創設していながら、ガンジーイズム批判者の最右翼の一人として結局国民会議派から追い出されました。国民会議派支配即ちブラーミン・カーストヒンズー支配下のインドでは終始黙殺されています。
 ネルーの、かの有名な『インドの発見』という本の中には、アンベードカルのアの字も見当りません。(中略)
 アンベードカル博士は、いうなれば、不可触民階級の“ジンナー”だったのです。彼が不可触民に分離選挙制度を設けることを主張したとき、ガンジーがお得意の“死の”ハンガーストライキで反対し、結局阻止してしまいました。
 ジンナー同様、裏切り者、分裂主義者のレッテルを貼られたアンベードカル博士の最大の罪は、一億の不可触民を、独立の名においてカーストヒンズーの犠牲にすることを最後まで拒否した、ということなのです。
 だからこそ、われわれは彼を尊敬し、彼の思想の忠実な弟子であることに誇りをもっているのです」

【『不可触民 もうひとつのインド』山際素男〈やまぎわ・もとお〉(三一書房、1981年/光文社知恵の森文庫、2000年)】

不可触民―もうひとつのインド (知恵の森文庫)

合衆国憲法とブッカー・T・ワシントンとジョン・デューイ/『不可触民の父 アンベードカルの生涯』 ダナンジャイ・キール

2011-07-06

ガロア


ピュタゴラスは鍛冶屋で和音を発見した
ソフィー・ジェルマン
川の長さは直線距離×3.14
ピタゴラスの定理
ピタゴラスの証明は二重の意味で重要だった
図書室の一冊の雑誌をめぐる偶然の出会いが数学史を変えた
・ガロア

 数学に対するガロアの情熱は、まもなく教師たちの手に余るようになった。そこで彼は、当時の大数学者による最新の書物からじかに学びはじめた。ガロアはどんなに複雑な概念でもスポンジのように吸収し、17歳にして『ジェルゴンヌ数学年報』に処女論文を発表するまでになった。神童の前途は洋々として見えた。だが、カミソリのように研ぎ澄まされたその頭脳こそが、ガロアの行く手をさえぎる最大の障壁となったのである。彼の数学の知識をもってすれば、高等中学の試験ぐらいはわけなく合格できただろう。しかし彼の解法はときとしてあまりにも革新的で洗練されすぎていたため、試験官には理解できなかったのである。さらに悪いことに、ガロアは多くの計算を暗算ですませ、論証のプロセスをいちいち書こうとはしなかった。それが無能な試験官たちをいっそういらだたせることになった。
 しかもこの若き天才は、短気なうえに無分別ときていた。

【『フェルマーの最終定理 ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』サイモン・シン:青木薫訳(新潮社、2000年/新潮文庫、2006年)】

エヴァリスト・ガロア
ガロアの生涯

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)ガロア―天才数学者の生涯 (中公新書)ガロアの生涯―神々の愛でし人