2014-02-26
2014-02-25
イギリス革命は税制改革に端を発している/『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹
・『新戦争論 “平和主義者”が戦争を起こす』小室直樹
・『日本教の社会学』小室直樹、山本七平
・下位文化から下位規範が成立
・税金は国家と国民の最大のコミュニケーション
・イギリス革命は税制改革に端を発している
・憲法は慣習法
・『税高くして民滅び、国亡ぶ』渡部昇一
・『消費税減税ニッポン復活論』藤井聡、森井じゅん
イギリスこそがデモクラシーの元祖開山である。
日本人は、大概こう思っている。
その【イギリス革命は税制改革に端を発している】。
1649年の清教徒革命。イギリス諸革命の中でも最初にして最も根本的(ラディカル)と言われる【清教徒革命は、1634年の建艦税(シップ・マネー)に始まった】。(中略)
チャールズ1世は、絶対君主たる王の命令に依って、中世封建的税制を改革しようとした訳であった。
が、この税制改革には、待ったが掛かった。
地主達の猛反対に遭遇(そうぐう)する羽目(はめ)になったのであった。
ジョン・ハムプデンは、20シリングの建艦税を支払う事を拒絶した。ハムプデンは、「建艦税は、違法なり」として、裁判所に訴えたのであった。
過半数の判事は、王によって任命され、王の影響下にあった。建艦税は合法である。「非常の際に於いては、王の大権は制限を受ける事がない」
こう判決が下った。
【この判決に、清教徒達は抗議した】。王の圧政に抵抗したと、ジョン・ハムプデンは、一躍英雄になった。
この建艦税騒動が、1649年における清教徒革命の発端(ほったん)となったのである。
【『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹(ビジネス社、2012年)以下同/カッパ・ビジネス、1989年『消費税の呪い 日本のデモクラシーが危ない』・天山文庫、1990年『悪魔の消費税』を改訂・改題】
もちろん税はきっかけであって、それだけでピューリタン革命が成ったわけではない。社会の歪みが税という形に極まり、民の怒りが沸点に達したのだろう。そして新しい思想(宗教)が興(おこ)る。
先代のジェームズ1世の迫害から逃れたピルグリム・ファーザーズの渡米が1920年だから、ほぼ同時と見てよい。
圧政や苛政は必ず税となって民を苦しめる。そして民の忍耐が限界に達すると革命が起こる。ただし日本の場合は江戸時代が長すぎて、黒船(=外圧)を待つ傾向が強い。
【清教徒革命のテーマは、「国民の同意抜きの税制改革には応じられない」ここにあった】。(中略)
この際の【イギリス国民の同意とは、議会の議決と言う事である】。
議会の議決にはこれほどの重みがある。ジョン・ハムデンはたった20シリングの税を拒むことでピューリタン革命の端緒を開いた。この4月から消費税は5%から8%にアップする。我々は3月までに駆け込みで大きな買い物を済ませ、4月から倹約するだけでよいのだろうか? 消費税は低所得者になればなるほど痛税感が高まる。その「痛み」を私が許した覚えはない。一方では法人税引き下げの検討が活発化している。孔子は政治を行う上で最も大切なものを「民信無くば立たず」と示した(『論語』)。立たねば倒れるのみ。
消費税は民意を問うべし ―自主課税なき処にデモクラシーなし―
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小室直樹
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亡き父を思い…励ましに感謝 暴風雪遭難1年、北海道・湧別の岡田さん「楽しく学校生活」
【湧別】昨年3月の暴風雪で遭難し、父親が最期まで守ったオホーツク管内湧別町の岡田夏音(なつね)さん(10)が、事故から1年になるのを前に、自筆のメッセージを北海道新聞に寄せた。全国から寄せられた多くの激励に対する感謝と、父への思いがつづられている。
夏音さんは昨年3月2日、2人暮らしだった父の幹男さん=当時(53)=と車で帰宅途中に暴風雪に見舞われ、視界のきかない中で遭難。翌朝、農業用倉庫の前で幹男さんが夏音さんにかぶさるように亡くなっているのが見つかった。
直後から夏音さんのもとには全国から励ましのメールや手紙、贈り物が相次ぎ、これまでに約450件が町を通じて届けられた。
メッセージは便箋3枚で、学校での様子や、身を寄せる親類とともに旭川市の旭山動物園に出かけたこと、今でも時々、父親を思い出すことなどをつづっている。最後に「たくさんの人からの応援を忘れず、人を想(おも)える大人になれるようがんばります」「もうだいじょうぶです。ほんとうにありがとうございました」と結んでいる。
夏音さんは現在、漫画に熱中しているといい、スケッチブックにコンピューターゲームの怪獣を描いたり、「ごんぎつね」に触発されて自分で考えた物語を書いたりしている。同級生とスキーをしたり、学校の休み時間に友達とゲームをするのも楽しみという。
親類の女性(64)は「ご恩を忘れることなく、成人した時に恩返しできる子に育ってもらえるようにしたい」と話し、「これからは静かに見守ってほしい」と願っている。
岡田夏音さんが北海道新聞に寄せたメッセージの全文は以下の通り(原文のまま)。
応援してくれた全国のみなさまへ。
今わたしはとても元気です。毎日、30分位かかる雪道を、友達と二人で学校へ行き、勉強、スポーツと、毎日楽しく学校生活を送っています。学校では、友達とボードゲームをしたりします。
今育ててもらっているおじさん、おばさんに温泉や旭山動物園に連れて行ってもらいました。動物園では、ペンギンのお散歩を見ました。
昨年の3月、ふぶきでわたしはお父さんと2人、道にまよって気がついたら病院にいました。お父さんがふぶきの中、わたしを守って亡くなったと聞いて、とても悲しくなみだがポロポロ流れました。
3月22日退院してから、たくさんの人達から、はげましのお手紙がたくさんとどき、おばさんに聞くと、わたしが一人ぼっちになってしまった事をかわいそうに思い、全国のみなさんが応援してくれているのではと言われ、とてもびっくりし、心からうれしく思いました。
とてもやさしかったお父さんの事も夜ベッドに入ると、ときどき思い出します。わたしを思っていろいろと注意してくれたのに、わたしはあまえて、お父さんの言う事を何も聞かなかったので、お父さんの気持ちもわからないできた事を、「お父さん、ごめんなさい」と思い、なみだがでたりします。
これからは、おじさん、おばさんの言う事をよく聞き、たくさんの人達からの応援がある事をわすれず、お父さんが遠くから安心して見守ってくれるよう、人を想える大人になれるようがんばります。
全国のみなさま、わたしはもうだいじょうぶです。ほんとうにありがとうございました。 岡田夏音
【北海道新聞 2014-02-20】
・北海道・暴風雪から娘を守るため10時間抱き続けた父の最期
・暴風雪で娘・夏音(なつね)さんを守った父・岡田幹男さん!童謡サッちゃんの替え歌で励ましてくれた! - NAVER まとめ
・暴風雪で父に守られた少女「前だけ見る」 | 日テレNEWS24
2014-02-24
税金は国家と国民の最大のコミュニケーション/『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹
・『新戦争論 “平和主義者”が戦争を起こす』小室直樹
・『日本教の社会学』小室直樹、山本七平
・下位文化から下位規範が成立
・税金は国家と国民の最大のコミュニケーション
・イギリス革命は税制改革に端を発している
・憲法は慣習法
・『税高くして民滅び、国亡ぶ』渡部昇一
・『消費税減税ニッポン復活論』藤井聡、森井じゅん
「消費税の呪(のろ)いに依(よ)って、日本資本主義は破綻(はたん)するだろう。デモクラシーも滅びるだろう」と小室は予告する。
その理由は、第一に伝票(インヴォイス)方式を採用しなかったからである。
伝票方式にすると、仕入れと販売のエッセンスは、丸(まる)でガラス張りになる。
少なくともその重要な部分は見え見えになる。消費者にも税務署にもお金の流れがはっきりするから、税金を誤魔化(ごまか)す余地は非常に少なくなる。
伝票方式の最大の良い処(ところは)、脱税がし難(にく)くなる事である。
誰しも一番頭に来る事は、脱税のチャンスの不平等である。【クロヨン】(9-6-4)、【トーゴーサンピン】(10-5-3-1)と言う例のあれだ。
サラリーマンや著述業などの所得が殆ど100パーセント透明ガラス張りなのに、中小企業は曇りガラス。農業等は雨戸張り。(中略)
武田信玄は、租庸(そよう/税金)の取り方に付(ママ)いて言った。
【「租庸で大切な事は、重きにあらず軽きにあらず、公平にあり」】と。(中略)
徴税(税金を取り立てる)の不公平となると、根本的に違ってくる。
それは【不公平であるだけでなく、不正でもある】からである。
特に、デモクラシー諸国に於いては致命的である。
【デモクラシー諸国に於いては、税金の遣(や)り取りこそ国と国民との最大のコミュニケーションである】からである。
【税金こそ、デモクラシーの血液】である。
血液の循環に依って身体が保たれる様に、税金の循環に依ってデモクラシーは保たれる。
血液の循環が詰まれば大変である。脳血栓(のうけっせん)、脳梗塞(のうこうそく)等の重病となる。町税が出来なくて税金の循環が詰まれば、デモクラシーは死に兼ねない。
【『消費税は民意を問うべし 自主課税なき処にデモクラシーなし』小室直樹(ビジネス社、2012年)/カッパ・ビジネス、1989年『消費税の呪い 日本のデモクラシーが危ない』・天山文庫、1990年『悪魔の消費税』を改訂・改題】
資本主義は資本を所有する者が強者となる世界だ。で、強者は自分に都合のよい仕組みをつくりだす。経団連を見れば一目瞭然だ。多分インボイス方式を採用しなかったのは竹下登首相(当時)による政治的配慮だろう。
一方で国民はものわかりがよい。「ま、国も赤字で困っているようだから仕方がない」と財布を開くたびに消費税を支払う。一片の疑問を抱くこともなく。
トータルの税金で日本は既にスウェーデンを抜いている。
・消費税率を上げても税収は増えない
実に所得の55.4%が税という名目で奪われているのだ。にもかかわらず福祉大国ではない事実がおかしい。富の再分配が偏っていることは明らかだろう。人体に例えるなら、きっと心臓から上の方にしか血液が回っていない状態だ。足はとっくに壊死状態だ。
よき国家であれば、国民は税を支払うことに誇りをもつことだろう。だが資本主義はそれを許さない。なぜなら企業の目的は利潤の最大化にあるからだ。
巨大資本は多国籍企業となり、タックス・ヘイヴン経由で租税を回避する。アメリカもイギリスも国内にタックス・ヘイヴンが存在する。資本は税を嫌うのだ。
そして今や、ショック・ドクトリンによって発展途上国の予算やIMFからの融資金を一部の多国籍企業が簒奪(さんだつ)する。資本主義とは不平等の異名である。人類の限界に至るまで差別を助長するに違いない。
たとえ世界大戦が起こったところでこの仕組みが変わることはない。なぜなら実際の資本は既に眼に映らぬオンライン上に存在するからだ。銀行にある現金は預金の20%程度といわれる。
この邪悪な資本主義金融体制を倒すためには、スーパーリッチと呼ばれる連中を死刑にするしかない。私に浮かぶアイディアはそれくらいだ。
・力の強いもの、ずる賢いものが得をする税金/『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎
・マネーと言葉に限られたコミュニケーション/『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」』大村大次郎
2014-02-23
アインシュタイン、鴻上尚史、岩崎允胤、山竹伸二、他
6冊挫折、1冊読了。
『カミと神 アニミズム宇宙の旅』岩田慶治(講談社学術文庫、1989年)/民俗学的かつ文化人類学的なカミ学といってよいだろう。10年前なら読んだ。私の興味は既に進化宗教学という方向へ向かっているため志向が合わず。この分野が好きな人は安田喜憲と併読するのがいいだろう。
『「認められたい」の正体 承認不安の時代』山竹伸二〈やまたけ・しんじ〉(講談社現代新書、2011年)/近頃「承認欲求」という言葉が目立つので開いてみた。胸が悪くなって直ぐ閉じた。一般的な人々は本当にこんな情況なのか? 承認なんざどうでもいいから、何か自分の好きなことをやるべきだ。他人の視線に合わせて生きる必要はない。
『ヘレニズムの思想家』岩崎允胤〈いわさき・ちかつぐ〉(講談社学術文庫、2007年)/良書。力のこもったヘレニズム哲学の解説書。セネカを調べるために開いた。立派な教科書本。時間がある時に再読する予定。
『知の百家言』中村雄二郎(講談社学術文庫、2012年)/原文を書き換えている時点でダメだと思う。著者は翻案のつもりか。我田引水が過ぎる。
『孤独と不安のレッスン』鴻上尚史〈こうかみ・しょうじ〉(大和書房、2006年/だいわ文庫、2011年)/鴻上が数年前に書いた成人の日のエッセイが素晴らしかったので読んでみた。ちょっと文章の余白が大きすぎると思う。普段本を読まない若者向けに書かれたのだろう。高校生くらいに丁度よいと思う。
『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』(講談社、2000年/講談社文庫、2003年)/読み物としてはこちらの方が上だ。感情と声の演出は劇作家・演出家ならではの視線だろう。特に若い女性は外面よりも中身を磨くべきだ。自信のない者ほど飾り立てる傾向が強い。7~8年ほど前に鴻上とモノレール内で擦れ違ったがオーラのかけらもなかった。そこがまたいい。
10冊目『アインシュタイン150の言葉』ジェリー・メイヤー、ジョン・P・ホームズ編(ディスカヴァー・トゥエンティワン、1997年)/薄っぺらい上に余白だらけという代物。ツイッターのbotでも読めるのだが、やはり原典に当たらずにはいられないのが本読みの悲しい性だ。翻訳モノだから致し方ないとは思うが、それにしても作りがデタラメだ。訳者もわからず。紹介されている言葉のソースも不明。文庫で300円が妥当な値段だ。ただし、アインシュタインの言葉は燦然と光を放って読者の脳を撹拌(かくはん)する。一読の価値はある。
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