・気は電気?
・西山創が教えるスワイショウ
気とはつまり命のことです。だからそれはさまざまな表われ方をします。寿命の長い人、短い人、気の強い人、弱い人、病気になる人、ならない人、いい人生を送る人、そうでない人、人の生き方はまったく個人によってさまざまです。そのさまざまのことの中に、すべて気が関係しているのだとしたらどうでしょうか。運のいい人、悪い人、そういうことの中にも気は関係しています。
【『気功革命 癒す力を呼び覚ます』盛鶴延〈セイ・カクエン〉(太田出版社、1996年/コスモスライブラリー、2004年)】
「気功の源流は、陰陽五行思想、古代医術やシャーマニズム、中国武術、導引や按摩など民間の養生法、仏教・道教などの宗教の修行法など多岐にわたる」(Wikipdia)。いくらなんでも仏教はないと思う。そもそも瞑想=仏教ではない。ヨーガが仏教と結びつき瑜伽行唯識派(ゆがぎょうゆいしきは)を生んだ。瑜伽(ゆが)はヨーガの音訳である。その流れが気功へ混入した可能性はある。
思想的にはやはり道教と親和性が高いと思われる。太極図が巧みに気を描いている。
スポーツの試合などで気合いを入れる場面がよくある。私は昔から日常生活でも気魄を込めることが多い。気とは生命の基本的なエネルギー――あるいは無意識――の方向性(上下)を示したものと考えてよいだろう。
自動車の運転をしていて急ブレーキをかけた時、実は「見える」前にブレーキペダルを踏んでいることが認知心理学の実験で判明している。「虫の知らせ」も気の働きであろう。英語にすれば「sixth sense」(第六感)だ。
ヒトは言葉をつくり、言葉に頼り、そして言葉に支配されてしまった。言葉とは意識そのものである。言葉はまたコミュニケーションの道具でありながら、コミュニケーションを阻害する武器にもなっている。我々がスポーツ観戦に昂奮を覚えるのは、言葉以前のコミュニケーションが喚起されるためではないだろうか。好調な選手は何も考えない。一旦スランプに陥ると言葉の罠に絡め取られる。原因・理由・打開策はすべて言語化されたものだ。
遺伝情報の目的が種の保存にあるならば動物はもとより昆虫や植物にもコミュニケーションの方法があるに違いない。シェルドレイクの仮説は気に通じる。ま、論より証拠だ。犬の不思議な能力をご覧あれ。
・気配の正体
気配の正体が電磁波であるとすれば、「気は電気」ということになる(笑)。
昔からの教えに「煉精化気(れんせいかき)、煉気化神(れんきかしん)、煉神還虚(れんしんかんきょ)」という言葉があります。精を練って気に変え、気を練って神に変え、神を練って虚に帰るという教えです。虚というのは虚しいという意味ではなく、自分よりもっと大きな存在の知恵という意味です。
私は48歳の時、生まれて初めて肩凝りとなった。スーツの上着に左腕を通そうとしたところ激痛が走った。ま、それから1週間で治したのだが、以来肩凝り防止委員会の一人として日夜研究を行っている。本書で紹介されていた「セイシュ」は今でも時々実践している。
・盛鶴延ホームページ
テレビや動画を見ながら行うとよい。コツは肩甲骨を意識することだ。肩甲骨は翼の名残りである。そう思うと何となく羽ばたくような気分になってくるから不思議だ。
気功の入門書としては本書が一冊あれば十分だ。
・電気を知る/『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー