・『我が心はICにあらず』小田嶋隆
・『安全太郎の夜』小田嶋隆
・『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆
・『山手線膝栗毛』小田嶋隆
・『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆
・『コンピュータ妄語録』小田嶋隆
・『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田嶋隆
・『無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ』小田嶋隆
・『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆
・『かくかく私価時価 無資本主義商品論 1997-2003』小田嶋隆
・愛国心への疑問
・ギネス認定はインチキ
・個性は伸ばすものではなく、勝手に伸びるものだ
・無投票の権利
・勝ち上がってくる力士
・長時間睡眠自慢
・『テレビ標本箱』小田嶋隆
・『テレビ救急箱』小田嶋隆
何かをする権利は、その裏に何かをしない権利を含んでいる。そうでなければ十全な権利とは言えない。信教の自由は、宗教を信じない自由を含んでいるし、集会の自由は、ひきこもりの自由を包摂している。また、表現の自由は沈黙の権利を保障しているはずだし、職業選択の自由は同時にプー太郎たることの自由でもある。であるからして、投票権は自動的に無投票権を含んでいなければならず、そうである以上、無投票という選択にも、投票行動と同等な重みが持たされねばならない。で、提案がある。議員の定数を投票率に連動させるというのはどうだろう。たとえば投票率が50%なら、議会の議席そのものが半減するわけだ。どうだ? 良さそうじゃないか。
首長選の場合は、人気を投票率に反映させても良い。得票数をそのまま給与に換算するのも面白いかもしれない。いずれにしても、こういうことになればオレの無投票にも若干の意味が出てくる。
【『イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド』小田嶋隆(朝日新聞社、2005年)以下同】
小田嶋がラジオ番組で「生まれて初めて投票に行った」と語った時、私の心を風が吹き抜けた。ちょっとした衝撃を受けたものだ。また「新聞には編集作業があるがネット情報にはそれがない」との主張にも驚かされた。まるで「普通の大人」が言いそうなことではないか。
本書はアル中が極まった頃の作品であるにもかかわらず決して魅力が色褪せていない。転落しながらも社会に向かって唾を吐く小田嶋の矜持(きょうじ)があるように思う。
無投票については諸手を挙げて賛成する。既に何度も書いてきた通り私は民主政(『民主主義という錯覚 日本人の誤解を正そう』薬師院仁志)を支持していない。ワイドショー情報を鵜呑みにするオバサンの1票と私の1票を同列に扱われるのは大いに困る。国民全員が投票を棄権し、オレの1票で国政が決まればこんな嬉しいことはないのだが(笑)。
イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド
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小田嶋 隆
朝日新聞社
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