・『日本自立のためのプーチン最強講義 もし、あの絶対リーダーが日本の首相になったら』北野幸伯
・『日本の生き筋 家族大切主義が日本を救う』北野幸伯
・『給食で死ぬ!! いじめ・非行・暴力が給食を変えたらなくなり、優秀校になった長野・真田町の奇跡!!』大塚貢、西村修、鈴木昭平
・『伝統食の復権 栄養素信仰の呪縛を解く』島田彰夫
・『親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る』島泰三
・『自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する』安田節子
・『タネが危ない』野口勲
・無肥料栽培
・本物の野菜は腐らずに枯れる
・『食は土にあり 永田農法の原点』永田照喜治
・『土を育てる 自然をよみがえらせる土壌革命』ゲイブ・ブラウン
・『シリコンバレー式自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー
・『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
・『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
・『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン
野菜であっても、自分の役割を終え、次の世代に命をリレーするのであれば、自らが持っている栄養素である窒素やミネラルを水分とともに排出し、【枯れて】いくはずです。枯れてしまえば、植物は腐敗することはありません。野菜ももちろん同じです。腐敗せず、枯れていくのが自然界の掟なのです。
しかし、なぜか野菜だけはキッチンで腐敗していく姿をよく見ます。これは大変不自然なことです。空気中にある真菌が野菜に付着し、黴が増え、腐敗臭を発しながら朽ちていくのは、実は不自然なのです。腐敗する原因はいったい何なのか。僕もこのことを色々と考えてきました。これに関しては、これぞ正解という答えはなかなか存在しません。でも、そのなかでもいくつか推測できることはあります。
ひとつは水分量でしょう。水分量が多すぎると野菜は腐敗してしまいます。生ゴミが腐敗するのも水が原因です。水や湿気が真菌を増殖させるからです。ではなぜ水分量が多いのか。それはおそらく、化学肥料を吸収する時に、水分を一緒に吸収しているからではないかと想像しています。本来ならば、菌根菌が土壌中の必須(ひっす)元素を植物へと橋渡しするのですが、水に溶けた化学肥料は、水とともに植物のなかに侵入し、自由水を増やしてしまうのです。簡単に言えば水膨れです。それが腐敗への引き金になります。
他にも、微生物バランスの狂いがあるのではないかと想像しています。特に未発行の家畜排せつ物を使用した肥料の場合、そのなかに棲む微生物は、決して自然界の森や林のなかの微生物バランスとは同じではありません。未発酵有機物や、化学薬品等を分解しようと、自然界ではあまり増えることのない微生物が増えている可能性があります。そうしたバランスの崩れた微生物群によって、想定外の腐敗へと進んでいきます。本来なら動物の排せつ物を朽ちらせ、分解する強い菌が、植物とうい緩(ゆる)やかな分解を好む有機物に取り付いて、通常の分解とは違った、腐敗という方向へと進んでいくのであろうと思います。
【『野菜は小さい方を選びなさい』岡本よりたか(フォレスト出版、2016年)】
巻頭にカラー写真が配されている。その衝撃が本書を読む推進力となる。私は半世紀以上生きてきたが「枯れた野菜」を見たことがない。「実(み)は腐るもの」と思い込んでいた。この世界は腐敗と防腐剤の二色だけではなかった。ふと木乃伊(みいら)を思った。死を前にして食が細くなってゆくのも自然の摂理にかなっているのだろう。
防腐剤は微生物を拒む文化といえよう。我々の味覚は既に腐敗を感知し得なくなっている可能性すらある。「鼻が利く」との言い回しはあっても実際は最も退化した感覚が嗅覚なのだ。感度の低い味蕾(みらい)が防腐剤や食品添加物を浴びてどんどん鈍くなってゆく。それどころか食品会社によって合成された味の刺激を好み、自然本来の味では物足りなさを覚えるようになってきた。
私が子供の時分はまだ栗やクルミを取って食べていた。幼馴染の家にサクランボの大木があり、皆で登って枝に腰を掛けながら舌鼓を打った。上京してからは職人に食べさせてもらった銀杏(ぎんなん)やイチジクの味が忘れられない。イチョウの樹は工場の前にあり、イチジクは近隣のパチンコ店の駐車場からもぎ取ってきたものだった。
腐敗を止める文明は正しいのだろうか? 老いて枯れるような生き方をすることが可能だろうか? そんなことを思わされる読書体験であった。
・野菜の栄養素が激減している/『その調理、9割の栄養捨ててます!』東京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修