週に61分以上の運動は1~2回にまとめて行っても、週に5回以上に分けて行っても、血圧の改善効果は変らないことが認められました。(中略)
有効な降圧のためには、1回の運動につき約300kcalのエネルギー消費が必要とされています。300kcalとは、最大酸素摂取量50%の弱い運動で約60分必要になります。多くの報告によればこの量の運動で合計1000分以上必要といわれ、十分な効果を得るにはさらにその2倍以上が望ましいとされています。
【ほっかいどう・おくすり情報室|一般社団法人 北海道薬剤師会 > 【PDF】どのくらい運動すれば高血圧が改善するでしょうか?】
エリック・ホッファーが沖仲仕の仕事を心地よく感じていたのは適度な運動量があったためなのだろう。健康のために運動をするのはやや本末転倒であるように思う。むしろ日常生活の中に歩行や力仕事を加えるべきだ。「ホモ・サピエンスが誕生したのは25万年前で、農耕が確認されているのは23000年前である。人類の歴史を振り返れば狩猟・漁撈(ぎょろう)の時期が殆どであるといってよい」(逃げない社会=定住革命/『人類史のなかの定住革命』西田正規)。つまり狩人の本能をいかに蘇らせるかに健康の本領がある。
因みに300kcalの運動量は以下の通りだ。
・ウォーキング(速歩き) 75分
・ジョギング(強い) 30分前後
・縄跳び 20~30分
・登山 60分
【300kcalを消費するための運動内容と時間(体重60kgの人)】
この手のカロリー計算を私が鵜呑みにすることはない。そもそも摂取カロリーが体内にどの程度取り込まれるかもそれほどハッキリしているわけではない。よく「筋肉を増やして基礎代謝を上げる」という話を聞くが、基礎代謝量は体の表面積に比例するからデブの方が上なのだよ。基礎代謝とは燃費である。わざわざ燃費の悪い状態を目指すところに現代人の病んだ健康信仰が窺える。
現実に即していえば、家事に勤(いそ)しむことが最も正しい。特にトレーニングのつもりで拭き掃除を行うことが望ましい。洗濯も手でやればかなりの運動量になるだろう。そして一番手軽なのが歩くことだ。少し遠いスーパーを目指してあるくのがよい。目的は歩行にあるので荷物は背負えるよう大きめのデイバッグ(40L)や背負子(しょいこ)が欲しい。