「フンフルトゥ」と読む。モンゴルと思いきや、ロシア・トゥバ共和国の音楽ユニットである。トゥバの喉歌はフーメイと呼ぶらしい(モンゴルはホーミー)。石笛のような高音が言い知れぬ郷愁を掻き立てる。
2021-07-20
視界は補正され、編集を加える/『「見る」とはどういうことか 脳と心の関係をさぐる』藤田一郎
・『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』ロバート・カーソン
・『錯視芸術の巨匠たち 世界のだまし絵作家20人の傑作集』アル・セッケル
・視界は補正され、編集を加える
・『世界はありのままに見ることができない なぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか』ドナルド・ホフマン
・『瞑想と自然』J・クリシュナムルティ
・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ
ものが目に映り、像が網膜の細胞に捉えられた段階で、何が見えるかが決まり、それが私たちの意識にのぼるのであれば、目に映った像がものの見え方を決めるはずである。ところが、この章のさまざまな例で示してきたように、目に映った像がすべてを決めているのではないのである。
目に映っているものは同心円なのに見えるものはらせん模様であったり、同じ印刷がなされているものがちがった色や明るさに見えたり、何も描かれていないものが見えたり、目の前にあるものが見えなかったりする。これらのことは、眼底に映った外界像を網膜の細胞がとら(ママ)えて生体電気信号に変換した時点で、「見える」という知覚が生まれているのではないことを示している。網膜から電気信号が脳に送られ、脳の中で再処理され、その結果生成された電気信号が私たちの知覚意識のもとになっている。見ることも、ほかの心のできごとと同様に脳によって担われている。
見ることは、しばしば、カメラで写真を撮ることに誤ってたとえられている。目で起きていることを、光がカメラのフィルムやデジカメのCCD素子にとらえることにたとえるのは的外れではない。外界世界が網膜に像を結ぶ過程は、純粋な光学過程である。そして投影された光の強度と波長にもとづいて、視細胞にイオンの流れすなわち電気反応を起こす。ここまでは、カメラと本質は変わらない。カメラにおいても、レンズを介してフィルムに像を結び、化学反応により像は焼きつけられるのである。
しかし、ものを見ることの本質は、そうやって網膜でとらえられた光情報にもとづいて、外界の様子を脳の中で復元することである。その復元されたものを私たちは主観的に感じ、また、復元されたものにもとづいて行動するのである。
【『「見る」とはどういうことか 脳と心の関係をさぐる』藤田一郎〈ふじた・いちろう〉(化学同人、2007年)】
「DOJIN選書」の一冊。後半が難解で挫けた。それでも前半の内容だけで教科書本としておく。
「同心円が螺旋模様に見える」というのはフレーザー錯視のこと。ま、百聞は一見に如かずだ。ご覧いただこう。
今まで結構な量の錯視画像を見てきたが最も衝撃を受けた一つである(1位は「妻と義母」)。視界は補正され、編輯(へんしゅう)を加える。我々は五官情報をそのまま受け取ることができないのだ。あらゆる情報は「読み解かれる」。人は想念の中で生きる。
天台宗では十界(じっかい)を説く。生命の諸相を十種類に分けたものだ。人は外界の縁に触れて様々な生命の状態を表す。因→縁→果→報という推移が瞬間瞬間展開されてゆくのが生活とも人生とも言い得る。その果を法界(≒世界)と捉えたところに天台宗の卓見がある。固定した性格ではなくチャンネルや周波数のように見つめるのだ。
例えば自分の人生を映画さながらに見つめることは可能だろうか? 自分が怒られたとか、傷ついたとか、落ち込んだとか、嫉妬したとか、マイナス感情の虜(とりこ)になる時、人は我を失う。それどころか卑屈になった心は妄想に取り憑かれ、憎悪や怒りが増幅されてゆく。
見ることは簡単だ。だが、ありのままに見ることは難しい。
・視覚情報は“解釈”される/『人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか』ビル・ブライソン
2021-07-18
2021-07-17
大航海時代の主役はスペイン、ポルトガル、オランダ/『お金の流れで探る現代権力史 「世界の今」が驚くほどよくわかる』大村大次郎
・『お坊さんはなぜ領収書を出さないのか』大村大次郎 2012年
・『税務署員だけのヒミツの節税術 あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】』大村大次郎 2012年
・『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」』大村大次郎 2015年
・『税金を払わない奴ら なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?』大村大次郎 2015年
・『お金の流れで読む日本の歴史 元国税調査官が古代~現代にガサ入れ』大村大次郎 2016年
・大航海時代の主役はスペイン、ポルトガル、オランダ
・『お金で読み解く明治維新 薩摩、長州の倒幕資金のひみつ』大村大次郎 2018年
・『ほんとうは恐ろしいお金(マネー)のしくみ 日本人はなぜお金持ちになれないのか』大村大次郎 2018年
・『知ってはいけない 金持ち悪の法則』大村大次郎 2018年
・『日本人が知らない日本医療の真実』アキよしかわ
・『脱税の世界史』大村大次郎 2019年
・世界史の教科書
・必読書リスト その二
近現代の世界の権力を読み解くにあたって、最初に取り上げなくてはならないのは、やはりイギリスだろう。
まず、「イギリスは、いち早く【産業革命】を成し遂げることによって世界の覇権を握った」――と思われがちだが、それは事実ではない。
イギリスは産業革命以前にスペインの【無敵艦隊】を破り、スペインやポルトガルが世界中に持っていた植民地の大半を横取りした。そうして蓄積された資本によって、産業革命が成し遂げられたのである。
では、イギリスはどうやってスペインをしのぐほどの強国になったのか?
簡単に言えば、“国を挙げての海賊行為”である。
イギリスは【大航海時代】に出遅れている。大航海時代の主役はスペイン、ポルトガル、オランダであり、イギリスは後進国だったのである。イギリスが海洋に乗り出したときには、すでにアフリカ大陸、アメリカ大陸の重要な地域は、スペイン、ポルトガルに占領されていた。
そんな中、気を吐いていたのがイギリスの海賊たちだった。イギリスの海賊は統率の取れた船団、巧みな航海術によって、スペインやポルトガルの輸送船を襲い、財宝や貴重な産品を次々と強奪していたのだ。
イギリス王室は、この海賊船団に目をつけ、王室が建造した船を与えて、国家事業としての海賊行為を始めた。その最たるものが、【海賊ドレイク】の航海である。 海賊ドレイクはマゼランに次いで世界一周を行い、スペインの無敵艦隊を破ったことで知られるイギリスの海軍提督である。もともとは普通の海賊だったが、【エリザベス女王】に見込まれて、国家プロジェクト的に海賊行為を行ったのである。その功績が認められてのちにイギリス海軍を任され、海軍提督にまでなったのだ。
【『お金の流れで探る現代権力史 「世界の今」が驚くほどよくわかる』大村大次郎〈おおむら・おおじろう〉(KADOKAWA、2016年)】
厳密に言えばオランダは後発組で、八十年戦争を経てスパインからの独立を果たした。トルデシリャス条約はスペインとポルトガルで世界を二分することをローマ教皇が認めたものだ。後(おく)れを取ったイギリスとフランスが帝国主義を席巻するのだから歴史の有為転変を思わずにはいられない。
国家が行う犯罪は正当化される。なぜなら国家を裁く機関がないゆえに。イギリス王室はともすると日本の皇室に続く伝統と見なされがちだが、海賊と手を組むようではお里が知れる。たぶん真のエンペラーは日本にしか存在しないのだろう。天皇陛下はつくづく不思議な存在であらせられる。
第二次世界大戦以降、米ソが世界を牛耳り、46年後にソビエトが崩壊する。パックス・アメリカーナも100年は続くまい。アメリカの威光が翳りを帯び、中国が台頭してきた。世界は今静かに揺れている。チベットやウイグルに対する中国の暴虐に対して、主要国は断乎たる態度を取ることができなかった。最近になってようやくアメリカが重い腰を上げたところである。
日本にとっては千載一遇の好機である。速やかに憲法を改正し、間もなく訪れるであろう中国戦に備えるべきだ。我が国としては一億玉砕をも辞さずの覚悟をもって戦争に臨み、日清戦争における臥薪嘗胆(がしんしょうたん)を晴らす秋(とき)である。この際、遼東半島と言わずに満州・チベット・ウイグルの独立にも手を貸すべきである。すなわち防衛や局地戦といった消極的な姿勢ではなく、一朝事ある時は万難を排して中国領土を奪取しなくてはならない。
歴史を動かすのは強い意志である。専守防衛などという自国独善主義では世界を牽引することが不可能だ。欧米が没しつつある現在、日出る国が世界を照らすのは当然と考えるがどうか。
2021-07-15
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