2021-09-13

サインペン、ボールPentel vs. Vコーン、エナージェル、トラディオ・プラマン


『あなたを天才にするスマートノート』岡田斗司夫

 ・サインペン、ボールPentel vs. Vコーン、エナージェル、トラディオ・プラマン

 仕事ではジェットストリーム0.7mm(三菱鉛筆)を使うことが多いのだが、如何せんインクがあっという間になくなる。かなりコストパフォーマンスが悪い。自宅ではコクヨの0.9mmシャープを使ってきたが、どうも書き味がしっくり来ない。

 私はメモ魔であるが、最終的にタイトルの5種が残り、右3種を愛用するに至った。

 まずはサインペンとボールPentelだが誰もが一度は使ったことがあるだろう。何を隠そう私が最も多用しているのはサインペンで、あと10年分くらいの在庫が自宅にある。黒・赤・青の3色。風呂やトイレで思索に耽る時は必携である。でね、最近ようやくわかったのだが、サインペンとボールPentelはペンを立てて使うものなのだ。私はやや寝かせる癖があるのでどうしても筆触がよくない。ただし、ボールPentelの青色には捨て難い味わいがある。

 

 で、私のようにペンを寝かせ気味にする人にはVコーン、エナージェル、トラディオ・プラマンをお奨めする。Vコーンの軽い書き味、エナージェル0.7mmのヌルっとした筆触、トラディオ・プラマンのカチッとした硬質さが、寝かせ具合とマッチする。画像は飽くまでも参考情報で、1本だとヨドバシ・ドット・コムの方が安いのでよく吟味されたし。エナージェルには替え芯が、トラディオ・プラマンにはカートリッジがある。

  

 こうして見ると、私は明らかにぺんてるファンのようだ。検索していたところ、「筆タッチサインペン」なるものを発見した。フーム、これは食指が動く。更に検索したところ「バレットジャーナル」というノート術に行き合った。簡単に紹介しておく。

 






【追記】甘薯丸氏が奨めてくれたサラサ1.0と、エナージェル1.0は必ず試してみたい。

新しい信念と古い信念が拮抗する/『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ


『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー
『実践 生き残りのディーリング 変わりゆく市場に適応するための100のアプローチ』矢口新
『先物市場のテクニカル分析』ジョン・J・マーフィー
『一目均衡表の研究』佐々木英信
『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ

 ・「正しい分析」が身を滅ぼす
 ・スロットマシンプレーヤーの視点
 ・新しい信念と古い信念が拮抗する

『規律とトレーダー 相場心理分析入門』マーク・ダグラス
『ゾーン 「勝つ」相場心理学入門』マーク・ダグラス
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス
『ワイルダーのアダムセオリー 未来の値動きがわかる究極の再帰理論』J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア
『フルタイムトレーダー完全マニュアル』ジョン・F・カーター
『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 スーパートレーダーになるための自己改造計画』バン・K・タープ
『週末投資家のためのカバード・コール』KAPPA
『なぜ専門家の為替予想は外れるのか プロが教える外国為替市場の不都合な真実』富田公彦
『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希

【私たちが信念として採り入れる新しい考えや概念は、それまで本当だと思っていた考えや概念のうちで、新しいものと対立や矛盾をするもののエネルギーが減った程度に応じてしか、機能しない。】(中略)
 採り入れようとしている新しい信念が十分に機能するためには、それと対立している信念が完全に働かなくなる必要がある。それがまったく機能しないと確信するためには、エネルギーがすべて放出されて、その信念が崩れる必要がある。私が話していることを分かりやすく説明するために、薪で考えよう。薪は木という物質を構成する原子や分子から成り立っている。これを原子以下のレベルで見ると、木はエネルギーとして存在する。薪に火をつけたら、木のエネルギーは放出されて、薪は灰と化す。木は灰になったが、いまだに存在する。しかし、灰となってしまっては、薪のようなエネルギーはもはやない。
 私たちはもう自分の目的には役立たないと考えた信念を打ち壊す場合も、まったく同じことが当てはまる。

【『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ:長尾慎太郎〈ながお・しんたろう〉監修、山口雅裕〈やまぐち・まさひろ〉訳(パンローリング、2017年)以下同】

 思考には人を動かし人を縛るほどのエネルギーがある。ソ連を支配してきた共産主義の呪縛を解いたのもミハイル・ゴルバチョフ大統領が掲げた新思考外交ペレストロイカグラスノスチであった。

 大衆は潮位のような変化しか感じないが、最初の一波はドラスティックな飛沫を散らす。人々の抑圧された精神に亀裂を入れるのは一人の人間に他ならない。常識は少しずつ変わりゆくが、古い思考の鎖を断ち切るのはたった一つのユニークなアイディアだ。

 それにしても冒頭の一節が凄い。ビジネスマンでこれほどの哲学性を有する人物が果たして何人いるか。ゾーン三部作は明らかに唯識を志向している。

合理性を阻む宗教的信念/『思想の自由の歴史』J・B・ビュァリ:森島恒雄訳

【私たちは信念を初めから存在しなかったかのように消し去ることはできない。だが、情報の受け止め方や行動の仕方に何の影響も及ぼさないように、信念から十分なエネルギーを奪い取ることはできる。つまり、信念のエネルギーが非常に小さくなれば、事実上、存在しないのとおなじになる。】

 新しい信念と古い信念が拮抗(きっこう)する。例えばこうだ。投資で利益を出し続ける人は数%に過ぎない。なぜか? 多くの人々は「容易に金儲けができることをよしとしない」からだ。それは幼い頃から労働と対価について刷り込まれているためだ。あるいは「カネは汚いもの」という日本特有の文化もあろう。更には意図的に「自分を罰する」場合すらある。無意識や深層心理がトレードを支配するのだ。

 ここまでくると業(ごう)の概念そのものである。つまり業もまたエネルギーなのだ。新しい信念は過去の否定から生まれる。歴史は学ぶべき対象であって信じるものではない。思い込みを一掃すれば、心の中に新しい風が吹き流れる。その空隙(スペース)を確保できるかどうかが問われる。

2021-09-08

特番「北野幸伯さんに訊く!大国政治の現状は? バイデン、プーチンそして習近平」


スロットマシンプレーヤーの視点/『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ


『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』ジャック・D・シュワッガー
『実践 生き残りのディーリング 変わりゆく市場に適応するための100のアプローチ』矢口新
『先物市場のテクニカル分析』ジョン・J・マーフィー
『一目均衡表の研究』佐々木英信
『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ

 ・「正しい分析」が身を滅ぼす
 ・スロットマシンプレーヤーの視点
 ・新しい信念と古い信念が拮抗する

『規律とトレーダー 相場心理分析入門』マーク・ダグラス
『ゾーン 「勝つ」相場心理学入門』マーク・ダグラス
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス
『ワイルダーのアダムセオリー 未来の値動きがわかる究極の再帰理論』J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア
『フルタイムトレーダー完全マニュアル』ジョン・F・カーター
『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 スーパートレーダーになるための自己改造計画』バン・K・タープ
『週末投資家のためのカバード・コール』KAPPA
『なぜ専門家の為替予想は外れるのか プロが教える外国為替市場の不都合な真実』富田公彦
『なぜ投資のプロはサルに負けるのか? あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方』藤沢数希

 つまり、こういうことだ。
 まず、スロットマシンの結果はまったくランダムなので、勝ちも負けもいつ、いかなる順序でも現れる。そのため、私たちは毎回、勝つとは思わないようになる。そして、毎回勝つと思っていなければ、ほかに起きることは負けることだけだと間違いなく分かる。
 第二に、たとえスロットマシンに組み込まれたコンピューターチップがランダムに結果を出すように設計されていると知っていても、チップにどういう力が働いて勝ち負けが決まるのかはまったく分からない。そのため、ボタンを押すかレバーを引いてマシンを動かしたあとに、どういう結果が出るかを絶えず正しく予測する合理的な方法はない。先程述べたように、結果がランダムなことははっきりしているので、結果を予測しようとするのは無意味だということはすぐ分かる。
 第三に、プレーの過程で私たちが決める必要のあることは何もない。つまり、結果に影響を及ぼすためにできることは何もない。だから、結果をコントロールすることはできない。私たちが確実に勝つ方法はないし、プレーをしないこと以外に損を止める方法は絶対にない。
 第四に、勝ち負けを支配する条件をコントロールすることはできないし、結果を予測するどんな方法もないと知っていれば、ほかの場合なら結果に対して感じる責任を感じないで済む。結果に対して責任がなければ、勝たなかったときに自分を負け犬や失敗者、あるいはどこかおかしいと考える必要はない。
 負けたときに自分を責める必要がなければ、負けた経験によって、本当に負けているとは感じない。

【『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ:長尾慎太郎〈ながお・しんたろう〉監修、山口雅裕〈やまぐち・まさひろ〉訳(パンローリング、2017年)以下同】

 所謂、ランダム・ウォーク理論である。マーク・ダグラスが主張するのは、偶然がマーケットを支配するのだから徹底してトレードルールを守れということに尽きる。スロットマシンプレーヤーはまさしく偶然に賭けている。確率や統計をもってしてもスロットマシンで勝ち続けることは無理だろう。感覚的には宝籤に近い。

 上記テキストの直前にこうある。「これは人生で起きることに対する感情的な反応が、その人の見方にどれほど影響されるかの好例だ」。そしてスロットマシンプレーヤーの特長は「マイナスの感情から自由」なところにあると。

 一つ悟った。ブッダが説いた因果は我々が感じる因果とは別次元であることを。凡夫の因果を支えているのは「感情」なのだ。苦痛、恐怖、嫉妬、劣等感、怒りなどの感情は、傷ついた自我から生まれるものだ。その状態をブッダは三悪道四悪趣と説いた。例えば恋心を抱く女性に自分の想いを打ち明けたとしよう。彼女は少し沈黙した後で「あなたのことは決して嫌いじゃない。でも、できることならお友達のままでいて欲しい」と告げる。男は奈落の底に叩きつけられる。「自分には男としての魅力がない」「体よく断られただけで『嫌いじゃない』なんて言葉にしがみつくほど俺は落ちぶれていない」「『あんたなんか不特定多数の友人の一人よ』と言われたも同然だ」――背中には非モテ系男子の烙印が連打される。ま、こんな具合だろう。

 いじめられた、受験に失敗した、就職試験が不採用だった、顧客からのクレームに対応しきれなかった、結婚できなかった、離婚した、子供が真っ直ぐ育たなかった、リストラされた、などなど、不確実性を思い知らされることはしばしばある。しかしながら、「だから自分は駄目なんだ」という結論を導くのは誤っている。なぜなら本当の原因や理由を我々は知ることができないからだ。

 ところが我々は特定の結果から誘引される感情に支配されてしまう。人間関係にまつわる悩みは相手と自分の直線関係でしか問題を捉えていない。ともすると「あいつのせいで」「あいつさえいなければ」と考えがちだが、後で振り返ると自分の誤解だったということも決して少なくない。ヒトの脳には時系列で関係のない出来事を因果と結びつける癖がある(宗教の原型は確証バイアス)。

 スロットマシンをやっているうちに、私たちはある時点で次のことを受け入れる。

1.何が起きるか分からない。
2.これから起きることを知る方法はない。
3.起きることに何の影響も及ぼせない。

 これはまったく不確かでランダムだ。【まったく不確実でコントロールできないものだ。】

 全く当たり前のことだ。ところが現実は違う。なぜなら我々は予測しなければ一歩も動くことができないからだ。人間の行動は予測することで成り立っている。道を歩いていても、無意識の内に落とし穴や地雷がないことを予測している。古女房が作った味噌汁に毒が入っていないことを予測し、電車の運転士が二日酔いでないことを予測し、勤務先の高層ビルに2機の飛行機が突っ込んでこないことを予測している。

 現在に留(とど)まる修行を「止観」と訳したのはさすがである。高速回転するコマの状態だ。誰もが幸福を願う。現在が不幸ゆえに。明日なき今日を生きるのが仏道だ。必然と偶然の物語から離れて、「ただ在る」今に生きることが正しい。

 感情の本来の目的は、コミュニティを正常に維持するためのシグナルであったように思われる。

 スロットマシンプレーヤーの視点に立つのはそれほど難しいことではない。わからなければ実際にスロットマシンをやってみればいい。