キリスト教の後に犯罪の思想的正当化の試みは啓蒙主義や自由主義によって行われ、フランシス・ベーコンやシャルル・ド・モンテスキュー、デイヴィッド・ヒュームらはインディオを「退化した人々」とし、ヨーロッパ人による収奪を正当化した。19世紀に入ると、「近代ヨーロッパ最大の哲学者」ことヘーゲルはインディオや黒人の無能さについて語り続け、近代哲学の立場から収奪を擁護した。(スペインによるアメリカ大陸の植民地化)
レコンキスタ(718-1492年)からアメリカ大陸の植民地化(15-17世紀)、そして21世紀になっても、まだ征服の歴史は続く。虐殺されたアメリカ先住民は1000万~2000万人といわれる。
ヨーロッパ列強による植民地化は奴隷化を意味しており、アメリカ先住民の場合は殲滅されたといっても過言ではない。
少し前に「何が魔女狩りを終わらせたのか?」という一文を書いた。近代は白人同士の殺し合いを有色人種の殺戮に置き換えたように感ずる。
第二次世界大戦後に米ソ冷戦構造となるが、パックス・アメリカーナの時代が長くなるほど、歴史における冷戦の意味は軽くなる。
レコンキスタ-十字軍-アメリカ大陸の植民地化と一本の線を引けば、「キリスト教征服の時代」であることが明らかだ。
・十字軍 意外にウロ覚えな彼らの目的と実態
・十字軍の暗黒史
十字軍の遠征によって中東から西ヨーロッパへ知識が輸入される。これが後にルネサンスを導くこととなった。更に資金調達のために徴税制度を発達させたことが見逃せない。国家の枠組みを規定するのは軍事と徴税である。
近代の定義は国民国家の形成と資本主義の成立である。これをシンボリックに体現した国家がアメリカだ。そして近代はキリスト教信仰からプラグマティズムへのスライドを意味した。ここに民主主義と合理主義という新たな宗教が台頭する。
とするとアメリカ建国の歴史に近代の縮図があると考えてよかろう。
ここからポストモダンの道標はおのずと導かれる。すなわち国民国家を超えた枠組みの提示と、資本主義=広告会社が扇動する大衆消費社会の否定である。
はっきり言って無理だ(笑)。これを実現するとなれば、それこそ核兵器以上に強力で、コレラよりも伝染性の高い宗教が必要だ。
・キリスト教を知る
・マネーと民主主義の密接な関係/『サヨナラ!操作された「お金と民主主義」 なるほど!「マネーの構造」がよーく分かった』天野統康