2020-06-22

凝りすぎたプロット/『幻夏』太田愛


『犯罪者』太田愛

 ・凝りすぎたプロット

・『天上の葦』太田愛

【世界の涙の量は常に不変である。】

【『幻夏』太田愛〈おおた・あい〉(角川書店、2013年/角川文庫、2017年)】

 たぶん気合を入れたのだろう。凝りすぎたプロットが読みにくくしている。更には子供が描けていない。ここに登場するのは子供の姿をした大人だ。謎解きの説明もセリフで行われることが目立ち、ドラマ性を失う結果となっている。それでも並みのミステリよりは面白い。今回は刑事である相馬の物語である。

 現実には世界から貧困は減っている(『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド)。文盲も劇的に少なくなっているし、大きな戦争もなくなった。実際の涙の量は減っていることだろう。それでも尚、上記テキストに説得力があるのは【形を変えた不幸】がそこここに存在するためだ。

 資本主義国で富の再分配がうまく機能せず格差を生んでいる。社会の至るところが見えない湿気に覆われている。それは常態化した苛立ち、疲労、無気力、嫌悪、怒りだ。日本の場合、ロスジェネ世代以降は夢を抱くことすら許されない経済情況が続いている。

 戦後、一党支配を続けてきた自民党は二度下野しているがあまりにも期間が短かった。利権を断つほどの改革はできなかったと見てよい。国民の意識は緩やかに穏健な保守に傾きつつあるが、米軍に依存する国防のあり方を見直す機運はなかなか高まらない。つまり国民は「国家が変わること」を望んではいないのだろう。

 まともなジャーナリズムが存在しない以上、この国で民主政が機能するとは思えない。例えば利権、利権と散々書きながらも、その利権がどこにあるかをマスメディアは報じてこなかった。なぜなら彼らもまた利権構造の一翼を担っているからだ。知性とは狡猾の異名である。騙した者が勝利を収めるゲームが終わる気配はない。だからこそ「涙の量」が同じなのだろう。

日本人の悪徳/『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』池井戸潤


 ・日本人の悪徳

『半沢直樹2 オレたち花のバブル組』池井戸潤
『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』池井戸潤
・『半沢直樹4 銀翼のイカロス』池井戸潤
『隠蔽捜査』今野敏
・『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』西川善文

 銀行には様々な人間たちがやってくるが、こと態度が悪いという点で国税はヤクザの比ではない。ヤクザならせいぜい店頭で怒鳴り散らすぐらいが関の山だが、こいつらは銀行の中にまで土足で入り込み、国家権力を笠に来て威張り散らした挙げ句、気に入らないことがあると「シャッター閉めるか?」と常套句と化した脅しの言葉を吐く。間違ったエリート意識、歪んだ選民思想の産物で、つまらぬ奴らに権力を持たせるとこうなる、の典型だ。テレビドラマの「窓際太郎」など現実には存在しない。

【『半沢直樹1 オレたちバブル入行組』池井戸潤〈いけいど・じゅん〉(講談社文庫、2019年/文藝春秋、2004年『オレたちバブル入行組』改題/文春文庫、2007年)以下同】

 全4冊を2日間で読んだ。テレビドラマの土下座シーンだけは見たことがあるが明らかなミスキャストだ。半沢役がひ弱すぎる。大和田役も大根すぎて見るに堪(た)えず。失われた20年で奮闘する銀行マンを主軸に「働く意味」を問いかける。

 日本人の悪徳は「弱い者いじめ」である。明治維新以降は薩摩・長州が会津をいじめ、陸軍では若い兵隊を散々ビンタし、やむなく帰還した特攻隊員は裏切り者扱いをされた。戦時中に思想を取り締まった特高警察も決して国民の味方ではなかった。旧内務省・軍需省が築いた経済システムは戦後も維持された。カルテル、株式持ち合い、系列など。そして大陸から引き上げてきた満州閥が政治・経済の第一線に返り咲いた。バブル崩壊後になると中小企業が大企業や銀行からいじめ抜かれた。

 警察や国税には捜査権という強大な権力がある。彼らが家宅捜索や税務調査をすると後片付けもしていかない。かつて日本は昭和初期まで世界有数のテロ国家であった。私からすれば殺害される国税専門官がいないのが不思議である。武士道が滅び、仇討ちの精神は跡形もなく消え去った。日本人はいじめと闘うことを知らず、ただ自裁するだけである。国全体がいまだに村の論理で動いている現実がある。

 池井戸作品は初めて読んだが時折キラリと光る言葉がある。

「夢を見続けるってのは、実は途轍(とてつ)もなく難しいことなんだよ。その難しさを知っている者だけが、夢を見続けることができる、そういうことなんじゃないのか」

 これはチト臭すぎる。半沢直樹はどこか竜崎伸也(『隠蔽捜査』今野敏)を想わせるところがある。

沈みゆくアメリカ/『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク


『超帝国主義国家アメリカの内幕』マイケル・ハドソン
『マネーの正体 金融資産を守るためにわれわれが知っておくべきこと』吉田繁治
『〈借金人間〉製造工場 “負債"の政治経済学』マウリツィオ・ラッツァラート
『紙の約束 マネー、債務、新世界秩序』フィリップ・コガン
『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ 影の支配者たちがアジアを狙う』宋鴻兵
『通貨戦争 影の支配者たちは世界統一通貨をめざす』宋鴻兵
『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』ニコラス・シャクソン
『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ

 ・大英帝国の凋落
 ・沈みゆくアメリカ

必読書リスト その二

 2001年9月11日、世界はもはや後戻りできなくなった。アメリカは脱皮できたはずだった。真に啓蒙された自由な諸国からなる西欧文明において確固たる地位を打ち立てられたはずだった。だが、望みは徹底的に打ち砕かれてしまったように見える。
 2003年3月19日、アメリカ率いるイラク侵攻によって、世界は再び一変した。早急に行動を起こさない限り、今世紀、アメリカが恐怖、抑圧、そして経済的衰退を目の当たりにするのはほぼ確実である。指導者たちは、共和党であろうと民主党であろうと、自滅的な行動を続け、国家本来の目的と約束を次第に顧みなくなっている。(「序文 イラク戦争以後 新世紀を方向づける最も危険な10年間」ジェフ・ライト)

【『ペトロダラー戦争 イラク戦争の秘密、そしてエネルギーの未来』ウィリアム・R・クラーク:高澤洋志〈たかざわ・ひろし〉訳(作品社、2013年/原書は2005年)】

 そして2007年にサブプライムショックがあり、翌2008年にはリーマンショックが続いた。更に現在、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性が白人警官に押さえつけられて死亡した事件をきっかけに各地で暴動が起こっている。民主党議員が選出された地域に限られているという話もあるが、その意外な脆弱さに驚かされる。

 アメリカ政府は大きく誤ることがしばしばある。かつて日本を締め上げて第二次世界大戦へと暴走させた。天皇陛下も軍部も最後の最後までアメリカ融和を図ったが敢えなく拒否された。しかもあろうことかソ連に手を貸し、戦後の冷戦の種を播(ま)いた。終戦から5年後には朝鮮戦争(1950年)でソ連・中国に勢いを与えた。1963年にはジョン・F・ケネディ大統領が衆人環視の中で暗殺され、1965年からベトナム戦争に本格な介入をする。そして1971年にドルショックが訪れる。第二次世界大戦を唯一無傷で終えたアメリカがわずか26年間でこの凋落ぶりである。1970年代以降は敗戦国であった日本や西ドイツに工業製品のシェアを奪われ続けた。

 たぶんキリスト教原理主義が瞳を曇らせるのだろう。思い上がった彼らが我が身を振り返ることはまずない。米国内でイスラエル左右の覇権争いがあり、更にはチャイナマネーがくすぶり続ける人々に燃料を与えている。我々が今目にしているのは沈みゆくアメリカの姿だ。


サンセベリアの肥料


サンセベリアの裸苗

 ・サンセベリアの肥料

サンセベリアの葉挿し

 観葉植物の多くは多肥を好みません。薄めに施す方が良いでしょう。生育期(5~9月頃)に薄めた液肥を施します。晩夏頃からカリを主体に施すと、しっかりした株になります。

国華園から送られてきた注意書き】

 冬場は基本的に水やりをせず、休眠期に入らせます。こうすることで耐寒性がつき、より強靭なサンセベリアになることができます。次に肥料の与え方ですが、最初の与え方としてゆっくり効くタイプの粒肥料を土に混ぜ込んでおきましょう。そして5月から9月の時期に追加で液体肥料を与えるようにします。ペースは20日に1回程度。特に真夏の時期にしっかり肥料を与えることで、株がより丈夫になり耐寒性も上がります。

肥料の与え方が重要!サンセベリアの育て方!|🍀GreenSnap(グリーンスナップ)

2020-06-20

サンセベリアの裸苗


サンセベリアの用土はこれで決まり

 ・サンセベリアの裸苗

サンセベリアの肥料
サンセベリアの葉挿し

 サンセベリアの裸苗は水に漬けた方がいいのかどうかを調べた。

 サンセベリアの裸苗は植えつける時、水はやらなくてもいいそうです。植え付け後二週間くらい経ったらあげる、と言う事でした。

100均のサンセベリア(裸苗) はじめての

 根のない苗を植える場合は、植えつけ後2週間ほど水やりは控えます。

howto情報|サンスベリアの育て方|ホームセンター

 そのサンセベリアの裸苗の販売されていた場所には簡単な説明書きもあり、うろ覚えですが、その内容をかなり簡素に要約すると、「土に挿し、水をあげないでしばらく置いておくと根が出ます。」といったような説明が記載されていました。

サンセベリアの裸苗 | ウチデグリーン | UCHI de GREEN

 直ぐに水をやるという意見もある。

植え付け直後にガッツリ水やり”に1票です

骨を鍛える/『本当に必要な「ゆるスクワット」と「かかと落とし」』中村幸男


・『一生元気でいたければ足指を広げなさい』湯浅慶朗
『足・ひざ・腰の痛みが劇的に消える足指のばし』湯浅慶朗
・『足腰が20歳若返る 足指のばし ゆびのば』今井 一彰
『足裏を鍛えれば死ぬまで歩ける!』松尾タカシ、前田慶明監修
『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』小林弘幸

 ・骨を鍛える

『あなたの歩き方が劇的に変わる! 驚異の大転子ウォーキング』みやすのんき


【『本当に必要な「ゆるスクワット」と「かかと落とし」』中村幸男〈なかむら・ゆきお〉(小学館、2018年)】

 骨は反力によって鍛えられる。若い頃、バレーボール・バスケット・ハンドボール・剣道をやっていた人は骨密度が高い。つまり床や地面から受けた衝撃に骨が反応するのだ。踵落としとは背伸びをして踵(かかと)をストンと落とすだけの運動だ。本書では発展型としてジャンプと片足の踵落としも紹介されているが、これは膝を痛める原因となりかねないのでやらなくていいと思う。

 一方のゆるスクワットとは書影にある通りのゆるいスクワットである。これは屈んだ時にお尻を突き出すと効果が高まる。年寄り用の低負荷運動と侮るなかれ。特に女性は骨粗しょう症になりやすいので若いうちからやっておくべきだ。

高齢者の必須科目/『足・ひざ・腰の痛みが劇的に消える足指のばし』湯浅慶朗


・『一生元気でいたければ足指を広げなさい』湯浅慶朗

 ・高齢者の必須科目

・『足腰が20歳若返る 足指のばし ゆびのば』今井 一彰
『足裏を鍛えれば死ぬまで歩ける!』松尾タカシ、前田慶明監修
『「筋肉」よりも「骨」を使え!』甲野善紀、松村卓
『本当に必要な「ゆるスクワット」と「かかと落とし」』中村幸男
『あなたの歩き方が劇的に変わる! 驚異の大転子ウォーキング』みやすのんき

身体革命

手を入れるときのポイント
足指の根本にすきまを作る
 手の指を足指の間に入れるときには、足指の根本まで押し込まないで、根本にすきまができるようにしてください。
 すきまができることによって、根本を前後に動かしやすくなります。
 足指の先が、手の指の間から出ない程度の握り方でけっこうです。

足指をつかむときのポイント
力を入れないで軽くつかむ
 足指は、軽くつかんでください。力を入れてはいけません。

伸ばすときのポイント
優しくゆっくり伸ばす
 足指をそらすときも曲げるときも、力はほとんど入れません。優しく、ゆっくりです。
 私が患者さんにして差し上げると、「えっ、こんなに軽くて効果が出るんですか?」と皆さんが拍子抜けするぐらいです。
 ストレッチの効果を高めたいと思うと、つい力を入れがちです。しかし、強くやると、かえって効果は出ません。
 人間の体は、強い力で刺激すると、無意識に見を守ろうとして、逆に筋肉が緊張します。場合によっては足を痛めたりします。
【そらして伸ばしたら、その状態をしばらく保持することが重要です。健康な人なら5秒、症状のある人は長めにするといいでしょう】。

【『足・ひざ・腰の痛みが劇的に消える足指のばし』湯浅慶朗〈ゆあさ・よしろう〉、監修今井一彰(マキノ出版、2014年)】

 健康のために一番効果があるのは筋トレである。次にヨガ、そしてウォーキング・ランニング・水泳・自転車で、最後がストレッチとなる。甲野善紀は筋トレを否定しているが彼が重視する骨は鍛えようがない。あるとすれば踵落としくらいなものだろう。加齢に逆らえるのは筋肉だけだ。

 ランニング・水泳・自転車は有酸素運動で心肺機能の強化に目的がある。ただし強い負荷は心臓にダメージを与える。マラソンランナーは短命だ。平均寿命が6年短いというデータがある。更に腎機能が低下することも判明している(マラソンブームに医師が警告!いま中高年を襲う「突然死」のリスク:週刊現代)。

 私は人間の健康は狩猟時代に鍵があると考えているが、それを超える負荷はかえって健康リスクになる可能性が高いと見ている。運動部やプロスポーツ選手が繰り返し行う練習やトレーニングは体の特定の部位を破壊するまで続けられる。健康とは中道だ。体が発する声に耳を傾ければ自ずと答えは出る。

 足は体を支える土台である。だが残念なことに多くの人々が【きちんと立てていない】という。自分でも驚いたのだが私は「かがみ指」だった。普段、ギョサンを履いているのが原因だろう。沖縄県民は島ぞうりというビーチサンダルを履く人が多いので、やはりかがみ指が顕著だという。



 少し考えれば理解できるが足指が床や地面を捉えていないと足の裏がバランスを取るため微妙に歪む。これがそのまま膝の角度を狂わせ、骨盤を歪めるわけだ。基礎が歪んだ建物を想えばよい。

 足指伸ばしは1日5分行えばよく、外反母趾やO脚も矯正できると書かれている。真っ直ぐに立つことができない状態で筋トレを行えば、基礎の歪んだ建物を高層化するようなことになりかねない。

 今井本を必読書に入れる予定だが、足指伸ばしに関しては上記3冊のどれを読んでも構わない。書かれていることは一緒だ。やり方は簡単だ。片方の足を曲げてもう片方の膝の上に置き、足と反対側の手の指を足指と組んで上下に動かすだけだ。やってみるとわかるが退屈なストレッチだ。私は瞑想のつもりで行っている。高齢者の必須科目であることは言うまでもない。