痺れた。数学的思考が具体的な答えを導き出している。
「私は原子力の技術に関しては絶対に大丈夫だと思っている。だけど日本社会は原子力という巨大技術を実施するポテンシャルがない。例えば非常に具体的に言えば東大教授を全員クビにして、天皇陛下の叙勲を全部なくして、官僚を全部教育し直して、万機公論(ばんきこうろん)に決するようにして、という条件がなけりゃダメだ」(武田邦彦)
【『そのまま言うよ!やらまいか』 第14回「民主主義 part6」】
「私は原子力の技術に関しては絶対に大丈夫だと思っている。だけど日本社会は原子力という巨大技術を実施するポテンシャルがない。例えば非常に具体的に言えば東大教授を全員クビにして、天皇陛下の叙勲を全部なくして、官僚を全部教育し直して、万機公論(ばんきこうろん)に決するようにして、という条件がなけりゃダメだ」(武田邦彦)
【『そのまま言うよ!やらまいか』 第14回「民主主義 part6」】
フェデリコ・ゼリもイブリン・ハリソンもトマス・ホービングもゲオルギオス・ドンタスも、みんなそれを見たとき「直感的な反発」をおぼえた。そのひらめきに狂いはなかった。わずか2秒、文字通り一目で、その像(※紀元前530年頃に作成されたとするクーロス像)の正体を見抜いたのである。ゲッティ美術館の鑑定チームは14か月かけて調べ上げたが、彼らの2秒にかなわなかった。
本書『第1感』は、この最初の2秒にまつわる物語である。
【『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』マルコム・グラッドウェル:沢田博、阿部尚美訳(光文社、2006年)以下同】
このように一気に結論に達する脳の働きを「適応性無意識」と呼ぶ。心理学で最も重要な新しい研究分野のひとつである。適応性無意識は、フロイトの精神分析で言う無意識とは別物だ。フロイトの無意識は暗くぼんやりしていて、意識すると心を乱すような欲望や記憶や空想をしまっておく場所だ。対して適応性無意識は強力なコンピュータのようなもので、人が生きていくうえで必要な大量のデータを瞬時に、なんとかして処理してくれる。
初対面の人に会うとき、求職者を面接するとき、新しい考えに対処するとき、せっぱつまった状況でとっさに判断しなければならないとき、そういうときに、私たちは適応性無意識に頼る。たとえば学生の頃、担当教官が有能かどうかを判断するのに、私たちはどれくらいの時間を費やしただろう。最初の授業で? それとも2回目の授業のあと? 1学期の終わり?
心理学者のナリニ・アンバディによれば、学生たちに教師の授業風景を撮影した音声なしのビデオを10秒間見せただけで、彼らは教師の力量をあっさり見抜いたという。見せるビデオを5秒に縮めても、評価は同じだった。わずか2秒のビデオでも、学生たちの判断は驚くほど一貫していた。さらに、こうした瞬時の判断を1学期終了後の評価と比べてみたところ、本質的な相違はなかったという。(中略)これが適応性無意識の力である。
綿密で時間のかかる理性的な分析と同じくらいに、瞬間のひらめきには大きな意味がある。このことを認めてこそ、私たちは自分自身を、そして自分の行動をよりよく理解できる。
この実験(サミュエル・ゴスリング)から、一面識もない人物のことを15分間部屋を観察しただけで、長年の知りあいよりも理解できるものだということがわかる。ならば「相手をよく知る」ために会合や昼食を重ねても無駄だ。私を雇っても大丈夫かどうか知りたければ、私の家を訪ねてきて、部屋を見ればいい。(中略)
この実験も「輪切り」の一例にすぎないのだ。
実を言うと、医者が医療事故で訴えられるかどうかは、ミスを犯す回数とはほとんど関係ない。訴訟を分析したところ、腕のいい医者が何度も訴えられたり、たびたびミスしても訴えられない医者がいることがわかった。一方で、医者にミスがあっても訴えない人がかなりの数に上ることもわかった。要するに、患者はいい加減な治療で被害を受けただけでは医者を訴えない。訴訟を起こすのにはほかに「わけ」がある。
その「わけ」とは何か。それは、医者から個人的にどんな扱いを受けたかである。医療事故の訴訟にたびたび見られるのは、医者にせかされたとか、無視されたとか、まともに扱ってもらえなかったという訴えだ。
だとしたら、訴えられる可能性を知るのに手術がうまいか下手かを調べても意味がない。医者と患者の関係さえわかればよいのだ。
医療について研究しているウェンディ・レビンソンは医者と患者の会話を何百件も録音した。ほぼ半数以上の医者は訴えられたことがない。あとの半数は二度以上訴えられている。レビンソンは彼らの会話だけを頼りに、二つのグループの医者に明らかな違いがあることを見つけた。
訴えられたことのない外科医は、訴えられたことのある外科医よりも、一人の患者につきあう時間が3分以上長かったのだ(前者が18.3分に対して後者は15分)。
判断材料は外科医の声を分析した結果だけ。それで十分、威圧感のある声の外科医は訴えられやすく、声が威圧的でなく患者を気遣うような感じの外科医は訴えられにくかった。これ以上【薄い】輪切りがあるだろうか?