2011-07-19

孤独と宗教


 人は孤独になればなるほど、宗教的になることができる。

【『仏教への道』松本史朗〈まつもと・しろう〉(東京選書、1993年)】

仏教への道 (東書選書)

ティク・ナット・ハン


 1冊読了。

 48冊目『小説ブッダ いにしえの道、白い雲』ティク・ナット・ハン:池田久代訳(春秋社、2008年)/本書は「読む瞑想」である。少なからず仏法を行ずる者であれば、宗派を問わずひもとくべき一書だ。81章の全てに小乗教の出典が明記されている。中村元〈なかむら・はじめ〉の初期仏典に先んじて読んでおきたい。日本の鎌倉仏教は時代の制約もあり歪んだブッダ像となっている。大乗仏教の精神そのものが誤っているとは思わないが政治的臭みは一掃すべきであろう。本来、仏法とは理法であって教義ではない。時代考証と合理性を踏まえながら進化し続けるのが正しい仏法のあり方だと思う。その意味で本書に生き生きと描かれたブッダの姿はストンと腑に落ちる。ティク・ナット・ハンはベトナム出身の禅僧で、「社会に関わる仏教」(エンゲイジド・ブディズム)をモットーに、コロンビア大学、ソルボンヌ大学でも教鞭を執る。翻訳も素晴らしい。

虚空と飛鳥


時間は自我というレールの上を流れる


 時間は自我というレールの上を流れる。私は「私」という時間を記憶する媒体なのだ。

月並会第1回 「時間」その二
時間とは記憶の残像である

2011-07-18

水槽の脳


 ペンフィールドが1930年代に行なった古典的な脳の実験は、ある有名な謎の元になった。その後ずっと哲学の学徒からは「水槽の脳」と呼ばれている問題である。こんな話だ。「あなたはそこに座ってこの本を読んでいると思っている。実はあなたは、どこかの実験室で体から切り離され、培養液の入った水槽に入れられた脳だけの存在かもしれない。その脳に電極がつながれ、あやしげな科学者(マッド・サイエンティスト)が電気刺激を流し込み、それでまさにこの本を読んでいるという体験を引き起こしているのだ」

【『パラドックス大全』ウィリアム・ストーン:松浦俊介訳(青土社、2004年)】

Wikipedia
心の哲学まとめWiki
荘子と『水槽の脳』。

パラドックス大全