2013-04-23

新刊『伝統と革命 J・クリシュナムルティとの対話』J・クリシュナムルティ:大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2013年)

伝統と革命―J・クリシュナムルティとの対話

インドの知識人たちとの30回にわたる対話録

「偉大な教師にまみえたからには、学びにいそしめ」(カタ・ウパニシャッド)という真摯な学びの精神でクリシュナムルティのまわりに参集したインドの知識人が、彼らの背景にあるインドの伝統的知識を引き合いに出しながら、様々なテーマについて話し合い、それぞれの意識とその中身である過去、心理的記憶、思考、悲しみ、死の恐怖、等々を徹底的に検証し直し、重荷としてのしかかっている「伝統」からの出口と、古い意識(脳)から抜け出し、新しい意識(脳)を生み出すこととしての「革命」の可能性を模索している。

 1947年以来、J ・クリシュナムルティは、インドにいる間、さまざまな文化・教養的背景から集まった一群の人々──知識人、政治家、芸術家、サンニャーシなど──と定期的に会い、対話してきた。この年月の間に、探究の方法論が熟し、具体的になった。本書の対話には、あたかも顕微鏡を通して見るかのように、クリシュナムルティの並外れて流動的で、広大でかつ精妙な精神と、知覚の働く過程が現れている。これらの対話は、しかしながら、単なる問答ではない。それらは意識の構造と性質への探索であり、精神とその運動、その境界、そしてそれを超越するものへの探究である。それはまた、変容の道の模索でもある。
 これらの対話にはいくつかのまったく多彩でまた条件づけられた精神の結集があった。そこには、クリシュナムルティの精神からの深い問いかけ、人間の心の深みを開示する容赦ない尋究があった。人は、〈限りなきもの〉(the limitless)の拡大と深化の目撃者であるのみならず、限られた精神へのその衝撃の目撃者でもある。そしてまさにこの探究が精神を柔軟にし、それをその即座の過去および幾世紀にもわたる条件づけの溝から解放する。(「緒言」より)

クリシュナムルティ著作リスト

2013-04-21

Planet Earth: Amazing nature scenery

カダフィ vs. サウジアラビア国王(2003年)


 これは凄い。石油と暴力の親和性がよく見える。

パレスチナ国家認定の意味

スティーヴン・グリーンブラット、仙田章雄、升田幸三、霍見芳浩


 4冊挫折。

一四一七年、その一冊がすべてを変えた』スティーヴン・グリーンブラット:河野純治〈こうの・じゅんじ〉訳(柏書房、2012年)/「今から二千年前、真実はすでに記されていた。 ルネサンスの引き金となった書物とひとりの男の、奇跡の出会いの物語。全米図書賞、ピュリッツァー賞受賞」と帯文。出だしが緩慢で冗長。

数学者たちはなにを考えてきたか 見えてくる数学の歴史』仙田章雄〈せんだ・あきお〉(ベレ出版、2010年)/数学教師によるエッセイ。内容が物足りなかった。

名人に香車を引いた男 升田幸三自伝』升田幸三〈ますだ・こうぞう〉(朝日新聞社、1980年/中公文庫、2003年)/若いうちに読んでおくべきだった。

アメリカ殺しの超発想 「奴隷」日本よ、目を醒ませ! 制度疲労をすぐ正せ!』霍見芳浩〈つるみ・よしひろ〉(徳間書店、1994年)/著者は大変押しの強い人物で、田原総一朗をたじろがせた場面を一度見たことがある。小沢一郎批判がテーマか。興味深い裏話が山ほど出てくるのだが、如何せん文章にまとまりがなく破綻の様相を呈している。まるで頭に血が上った老人を見ているような気分になってくる。どこをどう読んでもアメリカの大学教授を務める人物とは思えない。