2015-08-21

われわれは将来のために貯蓄したり、投資したりしている人々を滅ぼしつつある


Q:今は普通の時代ではないのだろうか

A:現在起きていることは歴史的にも異例なことだ。過去数千年の歴史において、金利が0%だったり、マイナス圏に突入するなどということは一度もなかった。われわれは将来のために貯蓄したり、投資したりしている人々を滅ぼしつつある。そうした人々は、仕事もしていないのに4、5軒の家を頭金なしで購入した人々の犠牲となって破綻しかけている。われわれは歴史上のすべての社会が最も必要としてきた人々に大打撃を与えているのだ。

 投資をしたり貯蓄をしたりしている人々が大損害を被っているとき、その社会、経済、国には問題がある。米国はまさにそうしたことをしてきたのだ。将来のために貯蓄してきた人々のことを考えてみてほしい。彼らはバカみたいに見えるし、バカみたいだと感じてもいる。借金をした友人たちは、彼らの犠牲で救われているのだ。

ジム・ロジャーズ氏が不人気な資産を買っている理由

吉田たかよし、早瀬利之、松原久子、パオロ・マッツァリーノ、笹本恒子、川島小鳥、他


 7冊挫折、8冊読了。

首斬り人の娘』オリヴァー・ペチュ:猪股和夫訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2012年)/1ページで挫ける。3人称で書いておきながら、息子の視点が混ざったりする。致命傷といってよい。

秘録 東京裁判』清瀬一郎(読売新聞社、1967年/中公文庫、2002年)/清瀬一郎は東京裁判で東條英機の弁護人を務めた人物。後半は飛ばし読み。基本的なテキストなので「日本の近代史を学ぶ」には入れてある。

好奇心ガール、いま97歳』笹本恒子(小学館、2011年)/笹本恒子は日本の報道カメラマンの草分け。カメラウーマンとすべきか。ま、本にするほどの生き方とは思えない。

サイコパス 秘められた能力』ケヴィン・ダットン:小林由香利訳(NHK出版、2013年)/心理学者が書いたインチキ本だと思う。サイコパスをきちんと定義もせずに「サイコパス」を連発する。パーソナリティ障害や発達障害との区分けについても触れていない。サイコパスを肯定的に捉えた内容。

音のない記憶 ろうあの天才写真家井上孝治の生涯』黒岩比佐子(文藝春秋、1999年)/表紙を飾っているのは私の大好きな写真だ。著者が「私」を語りすぎていて読むに堪えない。

他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』若泉敬〈わかいずみ・けい〉(文藝春秋、1994年/新装版、2009年)/新装版に手嶋龍一が寄稿している。若泉敬は佐藤栄作の密使として沖縄返還の交渉に当たった大学教授である。核密約の責任をとって本書の英訳版が完成した翌日、毒を飲んで自裁した。ほんの一部を飛ばし読み。大冊すぎて手のつけようがない。

経費で落ちるレシート・落ちないレシート』梅田泰宏(日本実業出版社、2013年)/タイトルの勝利。内容はそれほどでもない。っていうか平均以下だと思う。

 94冊目『未来ちゃん』川島小鳥〈かわしま・ことり〉(ナナロク社、2011年)/未来ちゃんは佐渡ヶ島に住む仮名の少女である。どこをどう見ても1970年代の昭和の匂いがプンプンしている。これほどの洟垂れ小僧はもう何十年も見ていないような気がする。眺めているだけで幸せな気分に浸れる。

 95冊目『恒子の昭和 日本初の女性報道写真家が撮影した人と出来事』笹本恒子(小学館、2012年)/話題となった写真展を書籍化。やはりこの人は文章よりも写真がいい。著名人を撮影した作品が多いが中でも浅沼稲次郎の写真が目を惹く。

 96冊目『小学館版学習まんが 八田與一』許光輝:監修、平良隆久:まんが、みやぞえ郁雄:シナリオ(小学館、2011年)/内容は劣るのだが図や写真で初めてダムの全容がわかった。子供向けながら細君の死にもきちんと触れている。

 97冊目『誰も調べなかった日本文化史 土下座・先生・牛・全裸』パオロ・マッツァリーノ(ちくま文庫、2014年/二見書房、2011年『パオロ・マッツァリーノの日本史漫談』を加筆改題、文庫化)/似非イタリア人は相変わらず読ませる(笑)。副題を見てもわかる通り、「誰も調べねーよ」と言いたくなるテーマばかりだ。パオロ・マッツァリーノの本は社会学的センスを学ぶ入門書と捉えるべきだ。

 98冊目『臓器の急所 生活習慣と戦う60の健康法則』吉田たかよし(角川SSC新書、2009年)/吉田たかよしは東大で量子化学を専攻し、東大大学院で分子細胞生物学を学び、NHKアナウンサーとなる。その後NHKを退職し、北里大学医学部を卒業。加藤紘一元自民党幹事長の公設第一秘書を経て、現在は開業医をしながら東京理科大学客員教授も務める。医学と科学に関してはポスト池上彰になるかもね。中高年は本書を座右に置くべし。というわけで「必読書」入り。

 99冊目『言挙げせよ日本 欧米追従は敗者への道』松原久子(プレジデント社、2000年)/私は松原久子の文体(スタイル)に惹かれる。どうしようもなく惹かれる。近代化で失った日本の心を復興すると同時に、白人による禍(わざわい)を世界に知らしめる必要があろう。これも「必読書」入り。

 100冊目『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』早瀬利之(双葉新書、2013年)/心を撃たれた。やや筆が走りすぎるきらいはあるものの行き過ぎた礼賛の一歩手前にとどまっている。これほどの日本人がいたとは。その天才ぶりと豪胆を仰ぎ見る。「俺を戦犯にしろ。裁判で言いたいことがある」と石原は言い切った。これまた「必読書」入り。

 101冊目『世界は「ゆらぎ」でできている 宇宙、素粒子、人体の本質』吉田たかよし(光文社新書、2013年)/吉田たかよしは説明が巧みである。しかもわかりやすい。諸行無常とは変化の謂(いい)であるが、諸法の実相は「ゆらぎ」である。宇宙はゆらぎから生まれ、人体の臓器もゆらいでいる。

2015-08-15

誰一人として俳優に見えない/『ある過去の行方』アスガー・ファルハディ監督


 映画を観て「文体が合わない」と思う私の感覚は何に由来するのか。脚本なのか。それともカット割りなのだろうか。自分でもよくわからない。沢木耕太郎が褒めていた作品だが、どうもピンと来なかった。ただ凄いと思ったのは誰一人として俳優に見えないところである。主役の女性はコメディエンヌ(女芸人)らしい。それにしても別居中の夫を離婚のために呼び寄せ、現在の恋人と住む家に宿泊させるということが実際にあり得るのだろうか? リアリズムを欠いているようにしか思えない。男女の葛藤や親子のいざこざを巧みに描いているものの、そこで終わってしまっているような印象を受けた。恋人の息子役の少年は天才的な演技力が光る。



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プンチャック・シラット


 ・プンチャック・シラット

MASTRO DEFENCE SYSTEM

 プンチャック・シラットは東南アジアの伝統的武術である。はてなでは紹介済みだが再度アップする。