2017-11-20

安くて軽いジェットヘルメット


 シールド&サングラス付き。XLとXXLサイズがあるのが嬉しい。カラーは9色。中国製で届いたダンボール箱は埃だらけであったが文句を言うつもりはない。3000円で送料別。この値段に安全性を求める人はちょっとどうかしていると思う。バイクのヘルメットは消耗品で数年もすると必ずヘタってくる。ミニバイクならこれで十分だ。

2017-11-19

人間の知覚はすべて錯覚/『しらずしらず あなたの9割を支配する「無意識」を科学する』レナード・ムロディナウ


『デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳』アントニオ・R・ダマシオ:田中三彦訳
『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム
『意識は傍観者である 脳の知られざる営み』デイヴィッド・イーグルマン
『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー
『たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する』レナード・ムロディナウ
『感性の限界 不合理性・不自由性・不条理性』高橋昌一郎

 ・人間の知覚はすべて錯覚

必読書リスト その五

 哲学者は何世紀ものあいだ、「現実」の正体について、および、わたしたちが経験している世界は現実なのか幻影なのかという問題について論じてきた。しかし現代の神経科学によれば、人間の知覚はある意味、すべて錯覚とみなすべきだという。わたしたちは、知覚による生データを処理して解釈することで、この世界を関節的にしか認識しない。その作業は無意識による処理がやってくれていて、それによってこの世界のモデルがつくられている。あるいはカントが言うように、「物自体」と、それとは別に「わたしたちが知る物」が存在するのだ。
 たとえば、周囲を見回せば、自分は三次元空間を見ているという感覚を抱く。しかし、その三つの次元を直接感じ取っているのではない。網膜から送られた平坦な二次元のデータ配列を脳が読み取って、三次元の感覚をつくりだすのだ。無意識の心は映像をとてもうまく処理してくれるため、目のなかに映る映像を上下反転させる眼鏡をかけても、しばらくすると再び上下正しく見えるようになる。眼鏡を外すと再び世界が上下逆さまに見えるが、それもしばらくのあいだでしかない。このような処理がおこなわれているため、「私は椅子を見ている」という言葉は、実際には、「脳が椅子のメンタルモデルをつくりだした」という意味にほかならない。
 無意識は、知覚データを単に解釈するだけでなく、それを増幅する。増幅する必要があるということだが、それは、知覚から送られるデータがかなり質が悪く、使えるものにするには手を加えなければならないからだ。

【『しらずしらず あなたの9割を支配する「無意識」を科学する』レナード・ムロディナウ:水谷淳〈みずたに・じゅん〉訳、茂木健一郎解説(ダイヤモンド社、2013年)】

 53歳から54歳になってわかったことだが中年期後半の疲労がジワジワとはっきりした形で生活に現れる。疲れは気力を奪う。そして激しい運動をすると体のあちこちに痛みが生じる。私の場合だとバドミントンで右ふくらはぎを立て続けに3回肉離れを起こし、よくなったと思ったら膝痛が抜けなくなった。もう4ヶ月ほど経つ。更に左手親指の付け根が内出血したまま痛みが引かない。こちらもひと月以上になる。

 というわけで今年は読書日記もままならず書評も思うように書けなかった。ついでと言っては何だが、2017年に読んだ本を振り返ってみよう。

 1位は文句なしで『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ。

 2位は『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ、『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』ケヴィン・ケリー、そして本書が拮抗している。

 続いて『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』スティーブン・ジョンソン、『人類を変えた素晴らしき10の材料 その内なる宇宙を探険する』マーク・ミーオドヴニク、あたりか。

 その次に、『春宵十話』岡潔、『群れは意識をもつ 個の自由と集団の秩序』郡司ぺギオ-幸夫、『日本教の社会学』小室直樹、山本七平、『シドモア日本紀行 明治の人力車ツアー』エリザ・R・シドモア。

 武田邦彦が以前こう語った。「工学の世界はある程度のレベルに達すると女性がついてこれなくなる。そして更に高いレベルになると韓国人や中国人の男性もついてこれなくなる。世界を見渡すと工学の世界で通用するのは自動車産業が強いアメリカ人、ドイツ人、日本人に絞られる」。もちろん一般論として語ったものであるが「言われてみればそうだな」と私は思った。後で知ったのだがイギリスは産業革命以降、木材の工作機械までは世界をリードしていたが、鉄鋼の工作機械においてアメリカに水を開けられた(『「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》』橋本毅彦〈はしもと・たけひこ〉)。マザーマシンとしての工作機械(機械の部品を作る工作機械)の分野はドイツと日本が世界を席巻している。また3ヶ国は戦争に強い共通点も見逃せない。

 日本語については言語環境の優位性を挙げることができよう。日本語は特殊な言語であるが世界の知が翻訳されており、別段英語を学ぶ必要がないと言われるほどである。たぶん250年余りに渡る鎖国の反動が今尚続いているのだろう。

 だが、1位や2位に挙げた本を読んでいるうちに一つの疑問が湧いてきた。「果たして日本人にこれほどの内容を書ける者がいるだろうか?」と。そして「文字禍」中島敦の書評を書きながら、「日本人は俳句や短歌に代表される文学性で勝負するしかなさそうだ」と思うにまで至った。

 武田の言葉が正しいとすればそれは能力の問題ではない。きっと教育環境の劣悪さが彼我の差を生んでいるのだ。

 認知科学が面白いのは人の数だけ世界があることが示されているためだ。仏教用語の世間とは差別・区別の謂(いい)である。それをレナード・ムロディナウは「世界とは個々人の脳が五感情報をモデル化したもの」と表現する。つまり文字通り「あなたは世界」(クリシュナムルティ)なのだ。

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2017-11-17

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2017-11-12

400年周期で繰り返す日本の歴史/『日本文明の主張 『国民の歴史』の衝撃』西尾幹二、中西輝政


『国民の歴史』西尾幹二

 ・比類なき日本文明論
 ・400年周期で繰り返す日本の歴史

日本の近代史を学ぶ

《中西》もう一つ、こういう切り方もあると思います。国際関係や社会における戦争や暴力の頻度、人間の移動、社会的モビリティや文化の体質といった視点から見ていくと、400年ぐらいの周期を切り口として考えることもできるのではないでしょうか。(中略)
 戦国期は16世紀ですから、明治の近代化や日清・日露戦争までまさに400年になるわけです。
 そして、20世紀は前半が大概戦争の連続で、後半は高度成長です。いずれも、人間のエネルギーをほとばしらせ、また世の中がハイ・テンションに推移した世紀でした。こんな100年を、日本史はときどき経験するのです。戦国時代から400年遡ると12世紀で、これは古代社会の崩壊とか源平合戦の時代になります。さらに400年遡ると8世紀で、大宝律令をはじめ律令が取り入れられます。非常に論理的なかたちで社会の再構築が始まる時代です。さらに、その30年ほど前には、朝鮮半島から白村江の戦いで敗れた日本軍が引き揚げてきています。大陸から唐が攻めてくるかもしれないという危機感も高まります。戦乱の時代であり、古代の氏族社会が解体するという、内外ともに強い改革のインパクトが働いた時期というわけです。
 さらに400年遡ると、ちょうど弥生末期から古墳期へ移るころです。クニとクニとが争う「倭国大乱」の時代から、大和国家が確立してゆく時代であり、朝鮮半島に初めて出ていくのこのころです。3世紀末から5世紀にかけて応神朝、仁徳朝などがくり返し朝鮮へ進出してゆきます。
 このように日本の文明史的サイクルの一つとして、400年周期で歴史はくり返していると考えられるのではないか、というのが、私の「400年周期説」です。そして各400年の内訳を見ていくとおもしろいことがわかります。400年のうち、最初の約100年は先に見た戦国時代やこの20世紀のような「激動の世紀」になります。しかしその時代が終わると、次の100年は一気に「癒(いや)し」や「落ち着き」を求める働きが歴史をリードするようになる。

【『日本文明の主張 『国民の歴史』の衝撃』西尾幹二、中西輝政(PHP研究所、2000年)】

 ブログの「下書き」から引っ張り出した。半年以上前のもので何を書こうとしたのかすら覚えていない。たぶん巨視的な歴史スケールに感銘したのだろうが、今となっては印象もかなり変わって読める。

 歴史をマクロ視点で俯瞰する醍醐味は自分が極小化されるところにある。宇宙の場合はもっとスケールがでかいがそこを支配するのは物理現象であって人間はいない。

「歴史は繰り返す」(ローマの歴史家クルチュウス=ルーフス)――私もそう思う。でも本当は違うのだろう。我々の外部環境(地球の自転・公転、水の循環など)や体内メカニズム(心臓の鼓動や血液の循環、腸のぜん動など)に思考が引きずられて「サイクル」を見つけてしまうのだ。

 景気循環の波動も同様で我々の目にはそう「見える」だけの話だろう。

「歴史は繰り返すように見える」「歴史には相関性の強い動きがある」というあたりが真相ではないか。

 西尾著『国民の歴史』を読んで衝撃を受けた中西輝政から対談を申し出たという。古くから保守論客を代表する二人であるが実は初めての対談である。学生運動が鎮火した後も我が国では左翼が論壇を牛耳ってきた。1989年にベルリンの壁が、1991年にソ連が崩壊した。時節を符合するかのように日本ではバブル景気が崩壊した(1991年)。世界中で共産圏がドミノ倒しになる中で日本も価値観の転換を迫られた。そして「新しい歴史教科書をつくる会」が生まれた(1996年)。西尾幹二は設立者の一人である。実に敗戦から51年後のことであった。設立当初は「右翼かぶれのオッサンたちが妙なことを始めたぞ」と世間から思われていた。つくる会はその後迷走を続けるが、戦後の自虐史観を打ち破った功績は広く語り継がれることとなろう。

2017-11-10

文章に創意がない/『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』伊藤公一朗


 文章が冗長で鋭さを欠く。例えもことごとくよくない。相関関係と因果関係の違いを説明しておきながら擬似相関に触れていないのも片手落ちだ。そもそも「ビッグデータが存在するだけでは、『因果関係』の見極めはできない」のは当然で、ビッグデータに関して誤った思い込みがあるとしか思えない(『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ)。認知バイアスヒューリスティクスの説明もせずに手垢まみれの例を引っ張り出してもしようがないだろう。数ページで挫ける。

データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (光文社新書)
伊藤 公一朗
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