2017-12-31

テクノロジーは人間性を加速する/『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』ケヴィン・ケリー


『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル
『AIは人類を駆逐するのか? 自律(オートノミー)世界の到来』太田裕朗
『Beyond Human 超人類の時代へ 今、医療テクノロジーの最先端で』イブ・ヘロルド
『われわれは仮想世界を生きている AI社会のその先の未来を描く「シミュレーション仮説」』リズワン・バーク
『インフォメーション 情報技術の人類史』ジェイムズ・グリック
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ
『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー

 ・テクノロジーは人間性を加速する

必読書リスト その五

 現在の生活の中のどんな目立った変化も、その中心には何らかのテクノロジーが絡んでいる。テクノロジーは人間性を加速する。テクノロジーによって、われわれが作るものはどれも、何かに〈なっていく〉(ビカミング)プロセスの途中にある。あらゆるものは何か他のものになることで、【可能性】から【現実】へと撹拌(かくはん)される。すべては流れだ。完成品というものはないし、完了することもない。決して終わることのないこの変化が、現代社会の中心軸なのだ。
 常に流れているということは、単に「物事が変化していく」以上の意味を持つ。つまり、流れの原動力であるプロセスの方が、そこから生み出される結果(プロタクト)より重要なのだ。過去200年で最大の発明は、個別のガジェットや道具でなく、科学的なプロセスそのものだ。ひとたび科学的な方法論が発明されれば、それなしでは不可能だった何千ものすばらしいものをすぐに創れるようになる。方法論として常に変化し進歩するというプロセスは、ある特定のプロダクトを作り出すより100万倍も優れ、おかげで何世紀にもわたって100万もの新しいプロダクトを生み出してくれた。現行のプロセスを正しく使えば、それは今後も利益を生み出していくだろう。われわれの新しい時代には、プロセスが製品(プロダクト)を凌駕するのだ。
 プロセスへと向かうこうした変化によって、われわれが作るすべてのものは、絶え間ない変化を運命づけられる。固定した名詞の世界から、流動的な動詞の世界に移動していく。

【『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』ケヴィン・ケリー:服部桂〈はっとり・かつら〉訳(NHK出版、2016年)】

 飛行機に乗ったスー族は空港で魂が到着するのを待った(『裏切り』カーリン・アルヴテーゲン)。そしてエネルギーを使えばつかうほど時間が早く進む(『「長生き」が地球を滅ぼす 現代人の時間とエネルギー』本川達雄)。新たなテクノロジーがエネルギーを最大化する。ここにイノベーション(技術革新)の本質がある。

「まえがき」がまだるっこしくて読むのを躊躇(ちゅうちょ)したが、本文に入るやいなや独創性あふれる視点と文体に引きずり込まれた。「プロダクトよりもプロセスが重要だ」という指摘はツイッターを見れば明らかだ。新聞やブログなどの固定した記事よりも、返信・引用・リツイートという「流れ」に人々は注目する。かつての掲示板(BBS)は議論することが目的だった。ところがツイッターは基本的につぶやき(独語)である。情報の取捨選択は自分に委ねられている。膨大な数のツイートがあたかも脳内のシナプスのように発火し、つながり、回路を形成してゆく。いつの日か優れた知性と感情が世界を覆い尽くすようになれば、その流れは「神」と呼ばれてもおかしくはない(『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル)。

 ここでクリシュナムルティの『人はどのようにして変容し、「なる」(ビカミング)から「ある」(ビーイング)ことへのこの根源的変化を起こしたらいいのでしょう?』(『自由とは何か』J・クリシュナムルティ)との提起を引用するのは場違いだ。ケヴィン・ケリーが指摘する「ビカミング」は人類全体が種(しゅ)として変化する様相を指すのだ。

 ヒトは言葉を生み、文字を発明した。紙、印刷技術、通信、ラジオ、テレビ、そしてコンピュータ、インターネットに至るイノベーションは「人類が一つになる」方向を目指している。邪悪と凡庸は恐るべきスピードで淘汰(とうた)されてゆくことだろう。

 誰かに言われた一言や一冊の本が人生を変えることは決して珍しいことではない。新しい時代はそれが日常的かつ連続的に起こるのだ。融合することで個の影は薄くなる。これがネット時代の諸法無我だ。「私は変わった」ではなく、「変わり続ける流れが『私』」となる。

 つまり大脳新皮質の外側を覆うべく、インターネットを介して大脳超新皮質が誕生するのだ。

2017-12-29

スズキ バーディー50(BA42A):エアフィルター&クリップ(プッシュリベット)


 部品を調達するのに難儀したので記録を残しておく。

 エアクリーナー内のフィルター位置については以下の記事を参照せよ。

スズキバーディーいじりブログ 小鳥の巣箱:エアフィルターの清掃

 最初の画像は左側に前輪がある。レッグシールドと後ろのカバーを外すと、フロントフェンダー上部の真後ろにある。私の愛車は22900kmの走行距離だが干からびて洗う段階をとっくに過ぎていた。尚、部品は全てBA42Aのもの。それ以外に関してはパーツカタログを入手して部品番号を確認されたし。

スズキ フィルタ 13780-36G00

 クリップ(プッシュリベット)は後部カバーを留めるナイロンおよびプラスチック製の鋲(びょう)である。左右で合計4ヶ所あるが前後の大きさが違う。外し方は真ん中をプラスドライバーなどで突っつく。

スズキ クリップ(ブラック) 09409-08308-5ES
スズキ クリップ(ブラック) 09409-06314-5PK

 ついでにバッテリーも紹介しよう。値段がかなり違うがモノタロウは3000円以上で送料無料、ヤフーショップは1000円近い送料が発生する。どちらも注液・充電済み。

GSユアサ YT4L-BS 12V高性能VRLA(制御弁式)バッテリー(電解液注入済タイプ)
GS YUASA 二輪車 VRLAバッテリー YT4L-BS

 バッテリーが消耗してくるとウインカーの点滅がおかしくなる。点(つ)きっぱなしになることもある。

 今回カバーを外してビックリしたのだが、左側に取扱説明書とメンテナンスノートが備えられていた。もちろんずぶ濡れだ。バッテリーを押さえてあるバンドも切れ掛かっている。尚、バッテリーは台湾YUASAの廉価版もある。




 20:00前に寝たのだがウトウトしていたところにバッテリーが届いた。というわけで早速バッテリーを交換した。

バイクのバッテリーを外しましたが、ネジがとまらない!

 確かにわかりにくい。ボルトと四角いナット(四角ウエルドナット)で端子を留めるのだが、ナットの位置を定めるのが意外と難しい。マイナス側がどうしても上向きにならないので面倒になって横向きに付けた。ウインカーの点灯も問題なし。少し走らせてきたが絶好調である。ちょっと心配なので年明けにでも近所のバイク屋で電圧も含めて見てもらおうと思う。

 以下ページの「8」の画像が参考になる。

バッテリーの交換方法|バイク編

【追記】モノタロウにバッテリーバンドもあった。3000円以上にするべく、全部2点ずつ購入した。

スズキ バンド 09462-00043

2017-12-28

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2017-12-17

膝痛の本当の原因は半月板の亜脱臼/『半月板のズレを戻せばひざ痛は治る!』中村昭治


 ・膝痛の本当の原因は半月板の亜脱臼

『ひざの激痛を一気に治す 自力療法No.1』

 実は私自身がひざ痛で悩まされていました。災い転じて福となす――自らの痛みのおかげで、ひざ痛の原因と治療法を確立できたのです。
 確率したのはもう20年以上前のことです。そして、この二十数年の間に延べ10万人のひざ痛患者さんを治療させていただきました。驚かれると思いますが、この患者さんすべての方に半月板のズレが認められました。

【『半月板のズレを戻せばひざ痛は治る!』中村昭治〈なかむら・まさはる〉(メタモル出版、2011年/ほほえみ出版、2017年年)】

「仰々しいタイトル」は避けるのがセオリーではあるが本書はオススメできる。中村は静岡県で鍼灸接骨院を営んでおり、アトピーの治療も積極的に行っている。

 半月板のズレを戻すための「パンストベルト」が素晴らしい。膝固定バンド(以下画像)より効果がありそうな気がする。


 パンストベルトは膝の上下を支え、膝バンドサポーターほど締め付けないのがミソ。ま、大の男がパンストを買うのは少々抵抗があるが、これを乗り越えるところに膝痛打開の一歩があると信じる(笑)。

半月板のズレを戻せばひざ痛は治る!
中村昭治
ほほえみ出版 (2017-08-02)
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教義とは鳥かごのようなもの/『オープン・シークレット』トニー・パーソンズ


『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』サリー・ボンジャース
『これのこと』ジョーイ・ロット

 ・教義とは鳥かごのようなもの

悟りとは

 言葉で表せないものを教義という形に置き換える試みは、そのどれもが必然的に不正確な表現に終わるように私には思えた。もともとの美しく繊細な自由の歌を、際限なく語られ続ける制限の教義に変えてしまう。完璧さをめぐる矛盾した考え……。鳥が飛び立ったとき、その歌の本質はたいていは見失われ、そこには空の鳥かごだけが残される。

【『オープン・シークレット』トニー・パーソンズ:古閑博丈〈こが・ひろたけ〉訳(ナチュラルスピリット、2016年)以下同】

「覚醒ブックス」というネーミングセンスに鼻白むのは私だけではあるまい。本を読んで覚醒できるなら私が教祖になっていてもおかしくないのだが(笑)。

 あまりいい本ではない。翻訳もこなれておらず、「――に――に」や「――は――は」が目につき、理解に苦しむ文章が多い。トニー・パーソンズはノンデュアリティの大物で、彼に導かれた悟りを開いた人々が相当数いる。

「なぜ自転車に乗ることができるか」を言葉で説明することはできない。悟りや啓示を言語化することは、自転車を知らない人に対して自転車に乗ることを説明するようなものだろう。

 言葉はシンボルに過ぎない。教義や憲法の解釈が異なるのも当然である。コミュニケーションの手段である言葉を経典化する営みは必ず人間を隷属させる方向に動く。

 言葉は「使う」ものだ。「しがみつく」ものではない。

オープン・シークレット(覚醒ブックス)
トニー・パーソンズ Tony Parsons
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