2011-08-29

ラス・カサス


 1冊読了。

 56冊目『インディアスの破壊についての簡潔な報告』ラス・カサス:染田秀藤〈そめだ・ひでふじ〉訳(岩波文庫、1976年)/気力を奮い起こさずして、この薄っぺらい一書を読み終えることはできない。スペイン人によるアメリカ先住民大虐殺の忌まわしい歴史が綴られている。私にとっては『ルワンダ大虐殺』に匹敵する衝撃であった。その非道ぶりは鬼畜にも劣る所業で、10ページも読み進めることができなかった。日本から歴史的視点に立った欧米論を発信する必要があると痛切に思う。欧米からの視線を気にかけて日本論が多数刊行されているが、東洋から西洋を照射する時がきている。欧米に彼らこそがルシファー(悪魔)であることを断固糾弾すべきだ。欧米を戦慄せしめる学徒よ出(いで)よ。ラス・カサスがなにゆえキリスト教に毒されることなく、人間の眼差しを持ち得たのかが最大の不思議である。

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