・『ものぐさ精神分析』岸田秀
・『続 ものぐさ精神分析』岸田秀
・『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』ユヴァル・ノア・ハラリ
・『未処理の感情に気付けば、問題の8割は解決する』城ノ石ゆかり
・『マンガでわかる 仕事もプライベートもうまくいく 感情のしくみ』城ノ石ゆかり監修、今谷鉄柱作画
・『ザ・メンタルモデル 痛みの分離から統合へ向かう人の進化のテクノロジー』由佐美加子、天外伺朗
・『無意識がわかれば人生が変わる 「現実」は4つのメンタルモデルからつくり出される』前野隆司、由佐美加子
・『ザ・メンタルモデル ワークブック 自分を「観る」から始まる生きやすさへのパラダイムシフト』由佐美加子、中村伸也
・『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル
・『悟り系で行こう 「私」が終わる時、「世界」が現れる』那智タケシ
・名づけることから幻想が始まる
・『気づきの視点に立ってみたらどうなるんだろう? ダイレクトパスの基本と対話』グレッグ・グッド
・『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』エックハルト・トール
・『ニュー・アース』エックハルト・トール
・『覚醒の炎 プンジャジの教え』デーヴィッド・ゴッドマン
・悟りとは
現実(リアリティ)というものを言葉で表現することはできません。言葉には限界があるのです。現実(リアリティ)を名詞や動詞、形容詞に押し込めようとすると、瞬間瞬間の流れが切断されます。語ることができるものは、不変の道(タオ)ではありません。なぜなら、語ろうとすることは、時間の中にもちこむことになるからです。まさに名前をつけようとすることそのものが、時間の中に留めることになります。いかなるものであれ、いったん名前をつけられたら、もはや不変ではなくなるのです。「不変」というのは「自由」という意味です。制限をもたず、時間や空間の中にない。妨げられることなく、生きるもの。
名前をつけるということは、幻想の世界ないしは夢の世界をつくりあげているあらゆる個別のものの起源です。すべてであるものの一部を切り離し、それを「木」と呼ぶのは、「最初の夢(first dream)」です。私はそれを、「思考の第一世代」(first-generation thinking)と呼んでいます。それから考えが次の考えを生み、「高い木、美しい木、下に座りたい木、いい家具になる木、救う必要がある木」といったようになるのです。その夢はさらに続きます。子供は、言葉と物を結びつけたとたん、あっという間に、夢の世界(世界という夢)に入り込んでしまいます。一方、あなたがそれに問いを投げかけ、魔法を解き、あらゆるもの――木、木でないもの、世界、世界でないのも――の道(タオ)に感謝することもすぐにできます。
頭がその考えを信じる時、名づけることができないものに名前をつけ、名前を通じて、リアルなものにしようとします。その名前はリアルなものであり、自分から分離した世界があると信じてしまうのです。それは幻想です。全世界は、投影されたものです。あなたが心を閉ざし、怯えている時、世界は敵意あるものに見えます。あなたがあるがままの現実を愛する時、世界中のあらゆるものが、愛されているものになります。内側と外側が、常に一致するのです――お互いが鏡なのですから。【世界は、あなたの考え(マインド)の鏡像です】。
【『タオを生きる あるがままを受け入れる81の言葉』バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル:ティム・マクリーン、高岡よし子訳(ダイヤモンド社、2014年)】
岸田秀とユヴァル・ノア・ハラリを事前に読んでおけば幻想性・フィクション性がより一層明らかになることだろう。孔子は「名を正す」と語った(『思想革命 儒学・道学・ゲーテ・天台・日蓮』湯浅勲)。儒教は官僚の道を説く。社会を安定させるためには言葉の共通理解が前提となる。
バイロン・ケイティが指摘する「名前」はもっと奥が深い。「現実(リアリティ)」をクリシュナムルティは「名なきもの」と表現してる(『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 1』)。
夫君のスティーブン・ミッチェルが『老師 道徳経』の英訳を刊行しベストセラーとなった。それを読み聞かせ、バイロン・ケイティがコメントしたものを編んだのが本書である。否定からも肯定からも離れて自由闊達に語るケイティは、決して老子の言葉に固執する信者ではない。
・現代人は木を見つめることができない/『瞑想と自然』J・クリシュナムルティ
言葉が脳を縛る。縛られた脳は現実が見えなくなる。ポイントはここにある。例えば怒り、憎しみ、恨み、嫉(ねた)みといったマイナス感情は名づけることで固着化する。本来であれば流れては去る感情が実体を伴ったリアリティに昇格するのだ。かくして我々は苦悩に打ちひしがれる。
ま、百聞は一見に如(し)かずだ。毒親に苦しめられてきた女性のワークをご覧いただこう。
どう。凄いでしょ? 長年にわたる苦悩をわずか5分で引っ繰り返している。しかもバイロン・ケイティが行ったのは問い直しと置き換えだけだ。私は今まで数千人に及ぶ人々から相談を受けてきたが、静かに耳を傾け力強く励ますパターンが殆どである。問題を整理し、感情を解きほぐし、前向きにさせるのが常であった。結局、相手を心理的に誘導しているだけに過ぎない。ま、一種の煽りだわな。
「ワーク」は違う。自分でアプローチをし、自分で答えを見つけるのだ。バイロン・ケイティはただ事実を指摘する。決して相手の感情に巻き込まれることがない。「ブッダの対機説法もこんな感じだったのだろうな」と思うほどである。
もしも長年にわたって解決できない苦しみを抱えているならば、どんな教師も宗教も必要ない。ただ「ワーク」を実践すればよい。
タオを生きる---あるがままを受け入れる81の言葉
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