2021-05-15
2021-05-10
2021-05-09
幼い心の傷痕/『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン
・『罪』カーリン・アルヴテーゲン
・『湿地』アーナルデュル・インドリダソン
・幼い心の傷痕
・『声』アーナルデュル・インドリダソン
・『湖の男』アーナルデュル・インドリダソン
・『厳寒の町』アーナルデュル・インドリダソン
・『許されざる者』レイフ・GW・ペーション
・ミステリ&SF
「それがすべての原因だろうか。わからない。おれは10歳だったが、あれ以来ずっと罪悪感を感じている。それを払い落とすことができないでいる。いや、払い落としたくないんだ。良心の痛みは壁となって、俺が手放したくない悲しみのまわりを囲んでいる。もしかするとおれはずっと前にこの悲しみを手放して、救われた命をありがたく思い、なんらかの意味をこの人生に与えるべきだったのかもしれない。だがおれはそうしなかった。これからもきっとそうしないだろう。人はみななにか重いものを背負っている。おれの背負っている荷物は、同じように大切な人を失ったほかの人の荷物よりも重いというこではないかもしれない。だが、おれにはこれ以外の生き方ができないんだ。
おれの中でなにかが消えてしまった。おれはあの子を見つけることができなかった。いまでもしょっちゅうあいつの夢を見る。あいつはまだあそこのどこかにいるとおれにはわかっている。一人で吹雪の中をさまよい、みんなに見捨てられ、寒さに震えている。しまいにどこかに倒れるんだ。だれにも見つけられないようなところに。雪が吹き積もって、姿が見えなくなってしまう。おれがどんなに探しても、どんなに彼の名前を読んでも、だめなんだ。おれには見つけられない。彼の耳におれの声は届かない。吹雪の中で永遠におれの視界から消えてしまうんだ」
【『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン:柳沢由実子〈やなぎさわ・ゆみこ〉(東京創元社、2013年/創元推理文庫、2016年)】
アーナルデュル・インドリダソンの作品は全部読んでいる。北欧の暗い心情が何となく日本の侘(わ)び寂(さ)びと共鳴する。エーレンデュル捜査官シリーズは現実のリズムを奏でて振幅の大きいメロディーを拒む。頑ななまでに。
エーレンデュルは幼い頃に吹雪で遭難し弟を喪った。その傷痕が中年になっても癒えていない。むしろ樹木の傷のように歳月を経るごとに大きく引き延ばされてゆく。娘との関係も破綻している。10代の娘がドラッグ漬けになったり、売春に手を染めているのが日常的な光景のように描かれていて、欧州の惨状が垣間見える。
主人公の内省志向が好き嫌いを分ける。私は決して嫌いではないが、最新作『厳寒の町』では完全な失敗を犯している。
貝印 関孫六15000STが値崩れし10000CCが品切れ
・家庭用のおすすめ庖丁
・貝印 関孫六15000STが値崩れし10000CCが品切れ
・白紙2号(白ニ鋼)の出刃包丁が欲しかった
15000STが値崩れしている。月寅次郎氏の解説によれば元々の価格は10000CC(定価11000円)の1.5倍だったというから16000円前後したものと思われる。それがどうだ。8582円まで下がっている。ほぼ半額である。15000STは「(V金10号よりもランクが高い)コバルトスペシャルを使用して、2万円以下に抑えているというだけで高く評価できます」との賛辞(関孫六15000ST 包丁おすすめランキング3位)。
一方、私が密かに狙っている10000CCは品切れ状態となっている(貝印公式サイト)。
ついこの間まで8000円台で売られていたのだ。ひょっとして廃番になるのか? 今時錆びる庖丁が売れるとも思えない。いい道具には手間が付いて回る。
「大した料理ができるわけでもあるまいし、どうして高い庖丁を選ぶのだ?」との声が聞こえてくる。正しい意見だ。しかし「いのち短し 恋せよ乙女」(「ゴンドラの唄」)である。余生の短さを思えば本物を追求するのが当然だ。まして庖丁は家庭用であれば軽く10年以上は使える。多分30年は大丈夫だ。
もう一つ心惹かれているのは「安田刃物 源虎徹 本刃付け スウェーデン鋼 三徳包丁 180mm YS900」である(5692円)。
19C27鋼は「サンドビック社のスウェーデン鋼。銀三鋼と同じ特性がある」(刃物鋼材 : Japonika Hamono)。銀紙3号はステンレスだが和包丁にも使われており、amazonレビューには「砥石の乗りがよい」「倍近い値段で買ったミソノよりも切れ味が良く刃もちもします」とある。
静かな夜に庖丁を研いでいると集中力と狂気が交錯する瞬間がある。ひょっとすると悪人の頸動脈を裁断することがあるかもしれないし、はたまた重い責任を果たすべく自分の腹に突き立てるかもしれない。太い溜め息をついて私は呟く。「山姥」(やまんば)と。
・はがね
・包丁の材質
・刃物鋼材 : Japonika Hamono
2021-05-05
五箇条の御誓文/『「日本国憲法」廃棄論 まがいものでない立憲君主制のために』兵頭二十八
・『日本を思ふ』福田恆存
・『いちばんよくわかる!憲法第9条』西修
・『平和の敵 偽りの立憲主義』岩田温
・『だから、改憲するべきである』岩田温
・『日本人のための憲法原論』小室直樹
・『日本の戦争Q&A 兵頭二十八軍学塾』兵頭二十八
・国民の国防意志が国家の安全を左右する
・外交レトリックを誤った大日本帝国
・五箇条の御誓文
・日本の近代史を学ぶ
・必読書リスト その四
五箇条の御誓文
一 廣(ひろ)ク會議ヲ興(おこ)シ萬機(ばんき)公論(こうろん)ニ決スヘシ
一 上下(しょうか)心ヲ一(いつ)ニシテ盛(さかん)ニ經綸(けいりん)ヲ行フヘシ
一 官武(かんぶ)一途(いっと)庶民ニ至ル迄各(おのおの)其(その)志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦(う)マサラシメン事ヲ要ス
一 舊來(きゅうらい)ノ陋習(ろうしゅう)ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
我國未曾有ノ變革(へんかく)ヲ爲(なさ)ントシ 朕(ちん)躬(み)ヲ以テ衆ニ先ンシ天地神明ニ誓ヒ大ニ斯(この)國是ヲ定メ萬民保全ノ道ヲ立(たて)ントス衆亦(また)此(この)趣旨ニ基キ協心努力セヨ
【『「日本国憲法」廃棄論 まがいものでない立憲君主制のために』兵頭二十八〈ひょうどう・にそはち〉(草思社、2013年/草思社文庫、2014年)】
「五箇條の御誓文」意訳(口語文)
一、 広く人材を集めて会議を開き議論を行い、大切なことはすべて公正な意見によって決めましょう。
一、 身分の上下を問わず、心を一つにして積極的に国を治め整えましょう。
一、 文官や武官はいうまでもなく一般の国民も、それぞれ自分の職責を果たし、各自の志すところを達成できるように、人々に希望を失わせないことが肝要です。
一、 これまでの悪い習慣をすてて、何ごとも普遍的な道理に基づいて行いましょう。
一、 知識を世界に求めて天皇を中心とするうるわしい国柄や伝統を大切にして、大いに国を発展させましょう。
これより、わが国は未だかつてない大変革を行おうとするにあたり、私はみずから天地の神々や祖先に誓い、重大な決意のもとに国政に関するこの基本方針を定め、国民の生活を安定させる大道を確立しようとしているところです。皆さんもこの趣旨に基づいて心を合わせて努力して下さい。
【五箇條の御誓文|明治神宮】
政権の奉還が成り、王政復古を宣言された明治天皇は、理屈の上からは、専制君主となって独裁政治を行うこともできたはずだ。「朕は国家なり」と称したフランスのルイ14世のように…。
しかし、明治天皇はそんなことを望まれなかった。ここで誓われた言葉は「広ク会議ヲ興シ、万機公論ニ決スベシ」であった。日本は、独裁国家ではなく、立憲君主国家としての道を歩むことを宣言したのである。私はこの言葉が好きだ。
【五箇条の御誓文】
万機とは「政治上の重要な多くの事柄。天下の政治」である(バンキ | 言葉 | 漢字ペディア)。明治大帝は一君万民の伝統を踏まえた上で民主の精神を国民に打ち込んだ。
戦後、昭和21年(1946年)1月1日の昭和天皇の、いわゆる人間宣言において御誓文の全文が引用されている。昭和天皇は幣原喜重郎首相が作成した草案を初めて見た際に、「これで結構だが、これまでも皇室が決して独裁的なものでなかったことを示すために、明治天皇の五箇条の御誓文を加えることはできないだろうか」と述べ、GHQの許可を得て急遽加えられることになった。天皇は後に、
それが実は、あの詔書の一番の目的であって、神格とかそういうことは二の問題でした。(中略)民主主義を採用したのは明治大帝の思召しである。しかも神に誓われた。そうして五箇条御誓文を発して、それが基となって明治憲法ができたんで、民主主義というものは決して輸入物ではないということを示す必要が大いにあったと思います。
— 昭和52年(1977年)8月23日記者会見
【Wikipedia】
三島由紀夫はこの大御心(おおみごころ)を見落とした。彼は人間宣言を許さなかった。「などてすめろぎは人間(ひと)となりたまひし」と嘆じた(『英霊の聲』1966年)。
近代日本の政治は万機を「密室の談合」で決してきた。五箇条の御誓文を破ったのは政治家であり、彼らを選んだ国民であった。憲法は五箇条の御誓文でよい。信教の自由、言論の自由、結社の自由などはイギリス式の不文憲法で構わない。
貝印の旬シリーズ/『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー
・『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『コフィン・ダンサー』 ジェフリー・ディーヴァー
・『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー
・『石の猿』ジェフリー・ディーヴァー
・『魔術師(イリュージョニスト)』ジェフリー・ディーヴァー
・『12番目のカード』ジェフリー・ディーヴァー
・『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー
・『ソウル・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー
・貝印の旬シリーズ
・『スキン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー
・『スティール・キス』ジェフリー・ディーヴァー
・『ブラック・スクリーム』ジェフリー・ディーヴァー
・『カッティング・エッジ』ジェフリー・ディーヴァー
後部座席に置いていたスーツケースから宝物の一つを取り出した。愛用の料理用ナイフ――貝印“旬”(しゅん)シリーズのスライスナイフ。刃渡り22センチ、日本の関(せき)市で鍛冶職人によって一つひとつ作られたもので、刃の部分にこのブランドの特徴的な槌目(つちめ)模様が入っている。刃の芯材はV金10号、そこにダマスカス鋼を32層重ねて作られたものだ。柄の材質はクルミ、価格は250ドル。同じ会社のさまざまな形状やサイズのナイフを何本も持っているが、なかでも気に入っているのはこのスライスナイフだ。我が子のように愛している。魚を下ろすのにも使うし、牛肉をカルパッチョ用に透けるほど薄く切るのにも、また人間にモチベーションを与える道具としても使う。
【『ゴースト・スナイパー』ジェフリー・ディーヴァー:池田真紀子訳(文藝春秋、2014年/文春文庫、2017年)】
夢は断片的な情報がストップモーションで次々に現れるのだが目覚める直前に脳が物語化する。細切れの情報が脈絡のあるストーリーとして再構成されるのだ。記憶もまた同様で当てにはならない。『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』の後で本書を読んだと思い込んでいたのだが実は逆だった。
いずれにせよ大した料理もできない私が庖丁を強く意識したのはこれら二つのテキストによるところが大きい。脳に刻印されたのは鋼(はがね)と貝印だ。そして最近、庖丁研ぎに目覚め、次に購入すべき庖丁を探していた時に、月寅次郎氏のサイトと出くわした(家庭用のおすすめ庖丁)。強く望めば歩むべき道を見出すことができる。
では犯人が愛用している庖丁をご覧いただこう。
月寅氏の旬シリーズ(貝印の海外向けブランド)に対する評価は「ロゴもダサい上、コストが悪い」と辛辣だ(関孫六・旬(貝印)- 包丁ブランドの解説(1))。
驚くべきはジェフリー・ディーヴァーの見識だろう。ひょっとすると実際に使っているのかもしれない。最後の「人間にモチベーションを与える」という言葉が庖丁の切っ先のように突き刺さる。「痛めつける」でもなく、「従わせる」でもない。やる気を出させるのだ。
最後に最近見つけた外国人掲示板の翻訳ページをいくつか紹介しよう。
・外国人「日本の刀匠はこうやって包丁を削っていくらしいぞ」 : 海外の万国反応記@海外の反応
・海外「日本製の包丁が好きな外国人、ちょっと集合してくれ」 : 海外の万国反応記@海外の反応
・「間違いなく世界最高峰の職人芸」 岐阜県の刃物まつりに参加した外国人がクオリティに感嘆 : 海外の万国反応記@海外の反応
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