・『反社会学講座』パオロ・マッツァリーノ
・残酷なまでのユーモアで階層社会の成れの果てを描く
・『パーキンソンの法則 部下には読ませられぬ本』C・N・パーキンソン
・『新版 人生を変える80対20の法則』リチャード・コッチ
・必読書リスト その三
階層社会におけるエントロピー増大の法則といった内容。教育学博士であるローレンス・J・ピーターが編み出した法則とは以下のもの――
階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能のレベルに到達する。
【『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル:渡辺伸也訳(ダイヤモンド社、2003年、新装版、2018年)以下同】
やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。
仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行なわれている。
管理職が無能な理由が明快に解き明かされている。人間には無限の可能性が秘められているが、不特定多数の人々は人間には限界があることを雄弁に物語っている(笑)。文章にするとピーターの法則は、悪い冗談のように思えるが、極めて数学的な概念である。社長や代表取締役までの段階は数える程度しかないものの、サラリーマンにとっては無限に続く階段のようなものだろう。
この世に生を享けた以上、人は必ず老いる。太陽も必ず沈む。その意味でローレンス・J・ピーターが奨励する“創造的無能”は、太陽を正午の時間で止めてしまうような無謀さを露呈している。しかしながらその本意は、欲望に任せて昇進を遂げるよりは、自分の才能を発揮しながら楽しい人生を歩むよう促しているのだろう。
パオロ・マッツァリーノ著『反社会学講座』と併せて読めば、社会学の天才になれるかもよ。