・『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス
・環境・野生動物保護団体の欺瞞
・環境ファッショ、環境帝国主義、環境植民地主義
・「環境帝国主義」とは?
・環境帝国主義の本家アメリカは国内法で外国を制裁する
・グリーンピースへの寄付金は動物保護のために使われていない
・反捕鯨キャンペーンは日本人へのレイシズムの現れ
・有色人捕鯨国だけを攻撃する実態
・『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』ナオミ・クライン
・『アメリカの国家犯罪全書』ウィリアム・ブルム
・『人種戦争 レイス・ウォー 太平洋戦争もう一つの真実』ジェラルド・ホーン
・必読書リスト その二
世界経済が自由競争で成り立っていると思ったら大間違いだ。実は、「不公平」というルールで運用されているからだ。欧米列強は、発展途上国が絶対に発展できない仕組みを既に作り上げてしまった。
梅崎義人が糾弾しているのは、環境や動物愛護をテコにして、貿易すら自由にさせない欧米の悪辣(あくらつ)な手口である。昨今、声高に主張されている「環境問題」も全く同じ異臭を放っている。
環境帝国主義とは、一般的には環境問題に関する自己の主張を相手に強要する行為を指すが、ここでは次のように定義しておく。
「自国以外に生息する動・植物の利用を、自国の法律または国際条約によって一方的に禁止しようとする考え方並びにその行動」
このようなことが実際にあり得るだろうか。いぶかる人々も多いと思うが、環境帝国主義は堂々と罷り通っている。
アメリカには「海産哺乳動物保護法と「絶滅に瀕した動植物保護法」という二つの国内法がある。いずれも1970年代の初めに制定されている。前者は、クジラを初め、オットセイ、イルカ、アシカ、アザラシ、トドなどすべての海洋哺乳類の保護を決めた法律で、殺すことはもちろん、虐待やいじめることも禁止している。更にその製品の輸入までも禁じられている。例えば、クジラのベーコンやアザラシの毛皮はアメリカ国内には持ち込めない。そして、後者の「絶滅に瀕した動植物保護法は、絶滅の恐れのある動植物の利用だけでなく、その生息、繁殖地の開発あるいは利用までも禁じている。
信じられないことだが、アメリカのこの二つの国内法は、全世界を対象にしている。「海産哺乳動物保護法」に基づき、アメリカは国際捕鯨委員会(IWC)の場で全面禁止を実現した。同法はニクソン大統領時代の72年に制定されたが、このアメリカ大統領は「私はこの法律の効果を世界中に広めたい」と署名時に語っている。
「絶滅に瀕した動植物保護法」で、保護すべき動物としてリストアップされている種は全体で900にのぼるが、そのうちの600が、なんとアメリカ以外に生息する動物である。
【『動物保護運動の虚像 その源流と真の狙い』梅崎義人〈うめざき・よしと〉(成山堂書店、1999年)】
農耕民族にジャーナリズムは育たない、というのが私の持論である。なぜなら、真実を報じたところで立ち上がる民衆は一人もいないためだ。立ち上がったとしても、直ぐに座り込んでしまうことだろう。これを繰り返せばヒンズースクワットとなる。真実に目覚めて、自分の足を一歩前に出すことが、我が国では「村八分」を意味するのだ。
かような背景もあって、日本のジャーナリズムは権力者のスポークスマンとなり、メッセンジャーとなり、アナウンサーと化している現状を呈している。
そんな中にあって、梅崎義人が著した本書には、紛れもなく「ペンの力」が横溢(おういつ)している。ジャーナリストの仕事とは、「世界が置かれた状況を読み解く作業」と言ってよい。