・『円高円安でわかる世界のお金の大原則』岩本沙弓
・『新・マネー敗戦 ――ドル暴落後の日本』岩本沙弓
・『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫
・『通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!』ジェームズ・リカーズ
・『ドル消滅 国際通貨制度の崩壊は始まっている!』ジェームズ・リカーズ
・通貨リセットとゴールドの役割
・必読書リスト その二
強大な勝者――世界のゴールドパワーの本当の中心――は、ユーロ圏を構成し、ユーロを発行している19ヵ国である。これらの国が持っている金の対GDP比は4パーセントを超えている。アメリカの比率は約1.7パーセントだ。興味深いことに、ロシアの比率は約2.7パーセントである。ロシアはアメリカの8分の1強の金を保有しているが、経済の規模はアメリカ経済の8分の1にすぎないので、比率が高いのだ。ロシアは金の取得を進めている国のひとつであり、ユーロ圏と対等になろうとしているように思われる。日本、カナダ、イギリスは経済大国だが、金の対GDP比はきわめて低く、3ヵ国とも1パーセント未満である。(中略)
中国は、ロシアと同じく、アメリカやヨーロッパと同等の比率になるように金の取得を進めている。通貨制度が崩壊した場合、金の対GDP比はきわめて重要だ。どのような通貨リセットをおこなうにしても、それが基礎になり、新しい「ゲームのルール」になるからだ。
通貨リセットをする際は、すでに説明したように、諸国が集まって交渉することになる。その会議はポーカーゲームのようなものだ。ポーカーテーブルにつくときは、チップをたくさん持っていたい。金はこの状況でポーカーチップの働きをするのである。これは世界が自動的に金本位制に移行するということではない。交渉の席での発言権が、金をどれだけ持っているかで決まるということだ。
【『金価格は6倍になる いますぐ金(ゴールド)を買いなさい』ジェームズ・リカーズ:藤井清美訳(朝日新聞出版、2016年)】
いつでも頭のいい人に接することができる。これが読書の利点である。もちろん読んだだけで自分の頭がよくなることはない。大事なことは思考の構造をトレースできるところにある。自分の頭の枠組みを広げるまではいかなくとも歪めるくらいはできる。
「通貨リセット」とはドル基軸体制の崩壊を意味する。ま、ドル本位制と言い換えてもよろしい。
・アメリカに「対外貿易」は存在しない/『ボーダレス・ワールド』大前研一
アメリカ人の借金体質(クレジットカードの最大限活用)とドルの汎用性が第二次世界大戦後の世界経済を支えてきた。イラクのサダム・フセイン大統領がユーロによる原油決済を認めて結局アメリカに殺された。ドルに翳(かげ)りが見えたのは2008年のリーマン・ショックだ。後になって振り返ればこれこそがドル崩壊の兆候であったと位置づけられることだろう。
本書のタイトルは極めて安直で低俗だが内容に瑕疵(かし)は見当たらない。ただし、ゴールド現物を購入するのは少し早いだろう。12月から株価は上昇し、明年初頭で一旦大幅調整し、その後本格的な上げ相場になると考えている。紙(株、債券)が上がればコモディティ(商品)は下がる。そこを拾うのが賢いやり方だ。
尚、本書ではSDR(特別引出権)の詳しい解説があり、マネーの新しい形を明示している。
金価格は6倍になる いますぐ金を買いなさい
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ジェームズ・リカーズ
朝日新聞出版 (2016-12-07)
売り上げランキング: 103,382
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