・『「食べもの情報」ウソ・ホント 氾濫する情報を正しく読み取る』高橋久仁子
・栄養学の無責任を嗤(わら)う
・『給食で死ぬ!! いじめ・非行・暴力が給食を変えたらなくなり、優秀校になった長野・真田町の奇跡!!』大塚貢、西村修、鈴木昭平
・『伝統食の復権 栄養素信仰の呪縛を解く』島田彰夫
・『シリコンバレー式自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー
・『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』牧田善二
・『医者が教える食事術2 実践バイブル 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』牧田善二
・『DNA再起動 人生を変える最高の食事法』シャロン・モアレム
食べものが健康や病気に与える影響を誇大に評価したり信奉することを「フードファディズム:Food faddism」といいます。もちろん、食と健康は深く関連しますが、それを過大評価することです。ただし、どこまでは適正で、どれ以上が過大なのかを判断することもむずかしいですし、過小評価もまた問題です。(中略)
この言葉は私の造語ではありません。れっきとした英語です。
【『「食べもの神話」の落とし穴 巷にはびこるフードファディズム』高橋久仁子〈たかはし・くにこ〉(ブルーバックス、2003年)】
悪い本ではない。狙いはいいのだがバイアス(認知科学)や行動経済学、はたまた心理学的アプローチを駆使する企業広告や宗教に関する知識が乏しい。
この手の本を読むたびに思うのは、「散々デタラメを広めてきた栄養学の無反省ぶり」である。戦後はキッチンカーで油炒めを推奨し、肉・卵・牛乳の摂取を推し進め、1日30品目という馬鹿げた数を示して国民の食生活を混乱させてきた。その栄養学が今になってフードファディズムを語っているのである。
高橋の文章はどっちつかずで腰が据(す)わっていない。ファディズムとは「流行へののめり込み」(Wikipedia)を意味する。その最大の原因は栄養学がきちんとした情報提供を怠ったことにあるといってよい。しかも高橋は居丈高にエビデンス(検証結果)を口にするが、食品メーカーの巨大さを思えば科学が厳密に食品を調べることはまずない。
簡単な例を示そう。骨粗鬆症の原因は牛乳を始めとする乳製品摂取によるカルシウム・パラドックスである。骨粗鬆症は戦後になってから目立つようになった病気であり、牛乳を飲むようになったのもまた戦後のことである。
「悪いとされる食品・調味料・食品添加物」を見てみよう。私が避けているものが列挙されている。例外はうま味調味料くらいだ。「実際に科学的な根拠に基づいたリスクがあるかどうかとは無関係である」とご丁寧に書いてあるが、重要なことは「健康によい」という科学的根拠も示されていない点である。このリストを見る限りでは、むしろフードファディズムに軍配を上げてもいいだろう(笑)。
五十の坂を越えると体力は衰え病気がちになり食に対する意識が高まる。我々は無知を自覚すればこそテレビや書籍の情報に飛びついてしまうわけだが、もっともっと自分自身のセンサー(味覚)を信頼すべきだろう。ただし加工食品は避けるのが賢明だ。
もしも私に幼い子供がいれば、人工甘味料・マーガリン・小麦やトウモロコシを原料とするお菓子・ファストフードは忌避する。現在でもそうだが食用油は胡麻油しか使わない。