2021-10-16

データリッチ市場が経済の仕組みを変える/『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、トーマス・ランジ


『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー
『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』山本康正
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ
『データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』矢野和男
『パーソナルデータの衝撃 一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった』城田真琴
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー
『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』ポール・シャーレ

 ・データリッチ市場が経済の仕組みを変える

『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文、尾原和啓
『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』キャシー・オニール

情報とアルゴリズム
必読書リスト その三

「市場」は、ソーシャル・イノベーション(社会問題を解決する革新的な仕組み)として大成功を収めたコンセプトだ。限られた資源を効率的に分配しやすくする仕組みであり、その効果は絶大だ。市場のおかげで80億人もの人口の大半の衣食住が満たされ、生活の質も寿命も大幅に改善されることになった。市場の取引は、長い間、人々の交流の場でもあり、人間らしさとも見事に合致していた。だからこそ市場はほとんどの人々にとって自然なものと受け取られ、社会の構造に深く根付いたのである。そして経済の重要な構成要素となったのだ。
 市場が力を発揮するためには、データが円滑に流れることが前提で、人間にはこのデータを解釈して意思決定する能力が求められる。これはまさに市場での取引の仕組みそのものであり、意思決定が1ヵ所に集中せずに参加者一人ひとりに分散している特徴がある。市場が簡単に壊れない強靭さを持ち、何かあってもさっと立ち直る優れた回復力を備えている理由はここにある。だが、その大前提として、今、市場に出回っている商品について総合的な情報を誰でも簡単に入手できなければならない。
 とはいえ、市場でそのような充実した情報を流通させることは、つい最近まで手間もコストもかかっていた。そこで対応策として、こうしたさまざまな情報を圧縮してひとつの尺度で表すことにした。それが「価格」である。つまり貨幣の力を借りて、そのような情報を運ぶことにしたのである。
 実際、価格と貨幣は、情報伝達という難題を少しでも和らげるうまい当座しのぎになったし、それなりに効果も発揮した。だが、情報が圧縮されているため、詳細や微妙なニュアンスは抜け落ちているから、本当に最適な取引とまでは言えなくなる。情報が圧縮されているために、市場に出回っている商品を完全に把握できなかったり、誤解したりすれば、我々の選択は失敗してしまう。もっとましな解決策がなかったため、長い間、この不完全な解決策を我慢して受け容れてきたのである。
 今、それが変わろうとしている。まもなく豊富なデータが市場を広範囲にわたって、迅速に、しかも低コストで駆け巡ることになる。膨大な量のデータに、機械学習や最先端のマッチング・アルゴリズムを組み合わせ、絶えず状況の変化に合わせて自動的に適応していくシステムを構築すれば、市場で裁量の取引相手を見つけ出せるようになる。とにかく手軽なので、単純極まりない取引にまでこの手法が使われるようになるだろう。

【『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、トーマス・ランジ:斎藤栄一郎〈さいとう・えいいちろう〉訳(NTT出版、2019年/原書、2018年)以下同】

 素晴らしいamazonレビューがあるので紹介しておこう。

Mkengar 面白いけれど情報経済学の視点に偏りすぎでは

 私はむしろ「兵とは詭道なり」(『新訂 孫子』金谷治訳注)の思いを強くした。欧米人の説明能力の高さはギリシャ哲学~キリスト教文明によるものだと思われるが、大脳新皮質(=ロゴス)のレベルで戦えば、とてもかなう相手ではない。日本人の武器は万葉集である。だが三十一文字で論理を尽くすことは難しい。飽くまでも情緒で押し切る他ない。

 市場はシステムであり場でもある。インターネット市場は金融から始まったものと思われるが、現在は生活必需品にまで至る。ただし五感情報の判断を必要とするものは依然として「市場」(いちば)が優位である。衣類の色や手触り、食品の香りや生鮮度をネット上で表現することは困難だ。何にも増して人と人とのコミュニケーションは「会う」ことに極まる。

 便利を推し進めると大切な周辺情報が捨象される。人生を彩り豊かにする偶然や予想外が乏しくなる。実際に山を登るのとストリートビューを眺める行為の違いを思えばわかりやすい。何らかの危険があるからこそ五官が生き生きと機能するのだ。画像やテキストに傾く情報は所詮チラシのようなものだろう。

 交換が合理的に行われれば無駄が排除できる。そのためには独占や規制を排除する必要がある。少し前から政府主導で携帯料金が下げられたが、携帯会社が料金を下げる努力を怠ってきた事実をよくよく考えねばならない。また社会に影響を与える大企業が国の支援を仰ぐことができるのも自由競争を妨げているように見える。

 価格は買った瞬間に正当化される。だが価格の正しさに一票を投じるのは飽くまでも購買者に限られる。より多くの人々に買ってもらうためには利益をぎりぎりまで小さくする歩み寄りが欠かせない。日用品は薄利多売が基本である。行動経済学は価格操作が可能な事実を示したが、長い目で見れば一定範囲に収斂(しゅうれん)される。可処分所得を大きく逸脱することは考えにくい。

 理論上、市場は「最適な取引」というメリットをもたらすものなのだが、情報流通上の制約で実現できていなかった。これがデータリッチ市場(豊富なデータを原動力に動く市場)になると実現するのである。
 この重大な変化が生み出すメリットは、あらゆる市場に波及する。小売や旅行はもちろん、金融、投資にも当てはまる。(中略)
 また、従来の貨幣中心の市場は、誤解や誤判断によるバブルなどの惨事に苦しめられてきたが、これもデータリッチ市場では減少する見込みだ。(中略)
 データリッチ市場による再編の波はありとあらゆる分野に及ぶ。非効率を絵に描いたような仕組みで大手公益事業者の懐を潤し、一般家庭の財布から莫大な額を吸い上げてきたエネルギー分野も例外ではない。運輸・物流分野も、はたまた労働分野も医療分野も同じようにその影響から逃れられない。教育でさえ、データ主導の市場を生かせば、教師、生徒、学校の最適なマッチングを追求できるようになる。

 社会がスムーズに動けば現在と何が変わるのだろうか? データリッチ市場は消費者のデータ供与によって形成される。市場と同時に消費者も合理化の対象となる。信用(与信)のランク付けに始まり、消費傾向から趣味に至るまでを把握される。AIには作り手の意図がそのまま反映する。完璧なアルゴリズムは存在しない。フィードバックを欠けばアルゴリズムは暴走する。

 アメリカでは司法にAIが導入されており刑期の延長などを決定している。ビッグデータを基にした判断だが具体的な理由は不明である。誰にもわからないのだ。勾留者や服役者は抗弁することもできない。AIは既に神の相貌を現しつつある。

 更に見逃せないのはデータリッチ市場が必要とする電力量である。Google社の電気使用量が76億kWhである(2017年)。沖縄県内の電力使用量(76.2億kWh)に等しい(電気をつくる| 沖縄電力)。IoTが限界まで進めば、現在の数倍から数十倍の電力が必要となるに違いない。

 企業が先導する以上、デジタルトランスフォーメーションが消費に向かうことは避けられないが、最終的にはやはり人と人との出会いを創出する方向を目指すべきだ。特に地域の力を活性化させるのが望ましいと考える。



2021-10-11

「革新官僚」とは/『絢爛たる醜聞 岸信介伝』工藤美代子


『機関銃下の首相官邸 二・二六事件から終戦まで』迫水久恒

 ・佐藤栄作と三島由紀夫
 ・「革新官僚」とは
 ・真相が今尚不明な柳条湖事件

 一連の岸の活動は吉野とともに統制経済の道を拓き、整備拡充するものとなったが、世間はこうした官僚を「革新官僚」とか「新官僚」と呼ぶようになっていた。
「革新」といえば戦後は左翼を意味してきたが、当時の「革新」にイデオロギー色はない。敢えて言えば国家主義的な色彩が強かった。

【『絢爛たる醜聞 岸信介伝』工藤美代子〈くどう・みよこ〉(幻冬舎文庫、2014年/幻冬舎、2012年『絢爛たる悪運 岸信介伝』改題)】

 言葉通りの「革新」であったわけだ。長年の疑問が氷解した。戦前から共産主義は「アカ」と呼ばれて毛嫌いされていたが、社会主義思想そのものは一君万民論と親和性があり、革命思想とは異なる広がりを見せていた(北一輝、大川周明など)。こうしたことが左翼用語に神経を尖らせてしまう要因となっている。

パーソナルデータは新しい石油である/『パーソナルデータの衝撃 一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった』城田真琴


『デジタル・ゴールド ビットコイン、その知られざる物語』ナサニエル・ポッパー
『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』山本康正
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ
『データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』矢野和男

 ・パーソナルデータは新しい石油である

『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー
『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』ポール・シャーレ
『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、トーマス・ランジ
『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文、尾原和啓
『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』キャシー・オニール

「パーソナルデータ:新たな資産の誕生(Personal Data: The Emergence of a New Asset Class)」というやや刺激的なタイトルのレポートが世界経済フォーラム(WEP:World Economic Forum)から、2011年2月に発表されている。レポートの冒頭には次のようなくだりがある。

「パーソナルデータは新しい石油である。21世紀の価値ある資源である。今後、社会のあらゆる場面で新たな資産として登場するようになるだろう」

【『パーソナルデータの衝撃 一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった』城田真琴〈しろた・まこと〉(ダイヤモンド社、2015年)以下同】

「はぁ?」と思う人が多いことだろう。石油は古来「燃える水」として知られていた。精製することで灯油やガソリンとなり、ガスを生み、更にはプラスチック、ビニール、ナイロンなどの石油化学製品を誕生させた。一人のパーソナルデータは一滴の石油みたいなものだ。それが大量に集まると消費動向や社会現象が解析できるようになるのだ。

 クラウド~スマホ~アプリといった流れの中で個人情報はいともたやすく企業が掌握できるようになった。クレジットカードは購買情報に過ぎないが、スマホ決済は消費+行動までを辿ることができる。昨今、GメールアドレスやフェイスブックアカウントがIDとして罷(まか)り通っているが、GAFAMに情報が集積されつつあると考えてよかろう。

 これに対して欧州ではパーソナルデータの「コントロール権」を消費者に取り戻す動きがあるという。

 ここでいう「パーソナルデータ」とは、年齢や性別、職業、年収の他、趣味、関心事、所有している車、商品の購買履歴、電力やガスの使用履歴、あるいは自分の健康情報(血圧や心拍数に加え、人間ドックで測定するような詳細な情報)、さらには遺伝子情報といった究極の個人情報まで多岐に渡る。場合によっては、無償で提供するのではなく、金銭と引き換えに「パーソナルデータへのアクセス権」を提供することも想定されている。

 パーソナルデータは「便利さ」と引き換えに提供される。詳細な健康情報を与えることで病気に気づくことができる。趣味や好みを伝えることで欲しい品物がピンポイントで紹介してもらえる。つまり欲望が実現しやすくなるのだ。

「われわれはあなたがどこにいるか知っている。どこにいたかも知っている。あなたが考えていることもおおよそ把握している(We know where you are. We know shere you’ve been. We can more or less know what you’re thinking about.)」
 2010年10月、当時グーグルのCEOであったエリック・シュミット氏は米国の経済誌『ジ・アトランティック』のインタビューを受けた際、このように語っている。

 ビッグブラザーのご託宣だ(『一九八四年』)。これに対して多くの善男善女は「別に悪いことをしているわけでもないから結構だ」と考える人が多いことだろう。しかも相手はAIだ。特定の誰かが覗き見しているわけではない。この安易さが怖い。一昔前まで監視カメラはプライバシーを侵害するという理由で人々から毛嫌いされていた。ところが現在では防犯カメラという名前で人々に安心を与えている。警備会社はホームセキュリティという新しい分野を開拓し、順調に業績を伸ばしている。

 私は映画『トゥルーマン・ショー』を思い出さずにはいられない。トゥルーマンはラストシーンで舞台から去った。満たされた生活よりも自由を選んだのだ。バブル景気が崩壊し、失われた20年を経て人々の価値観は大きく変わった。我々が欲するのは「買う自由」だ。幸福とは「欲しいものを買う」ことであり、自由とは「好きな時に買える」ことを意味する。ここにおいてパーソナルデータの提供を拒む理由はなくなる。

 自分の行動を全て知られてしまえば、これからの行動をコントロールすることが容易になる。ビッグデータは行動経済学や心理学をも実装し、我々の幸福を規定するに違いない。そこに満足はあっても自由はない。

2021-10-10

あなたが1日に使えるエネルギーの総量とその配分の仕方は法則により制限されている/『データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』矢野和男


『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』山本康正
『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエ

 ・あなたが1日に使えるエネルギーの総量とその配分の仕方は法則により制限されている

『パーソナルデータの衝撃 一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった』城田真琴
『マインド・ハッキング あなたの感情を支配し行動を操るソーシャルメディア』クリストファー・ワイリー
『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』ポール・シャーレ
『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済』ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、トーマス・ランジ
『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』藤井保文、尾原和啓
『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』キャシー・オニール
・『アフターデジタル2 UXと自由』藤井保文
・『UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論』藤井保文、小城崇、佐藤駿
・『アフターデジタルセッションズ 最先端の33人が語る、世界標準のコンセンサス』藤井保文監修

 これらの方程式が自然法則の基本であり、それらがすべて保存則、とくに「エネルギーの保存則」から派生する式だとすれば、「エネルギー」の概念こそが、自然現象の科学的な理解の中心にあることは疑いない。
 実は、このエネルギーの概念が、形を変えてあなたの今日の時間の使い方と関係があるのである。あなたが1日に使えるエネルギーの総量とその配分の仕方は、法則により制限されており、そのせいであなたは意思のままに時間を使うことができないのだ。
 あなたのまわりで起きているあらゆる現象や変化には、エネルギーが必要である。エネルギーはいろいろな形態で蓄積され、あらゆる現象に関わっている。原子力のエネルギーもあれば、化学エネルギーもあれば、熱エネルギーもあれば、電気エネルギーもある。
 エネルギーは形こそ変えるものの、トータルでは、増えもしなければ減りもしない。宇宙も地球も常に変化しているように見える。しかし、エネルギーは一定で増えも減りもしない。
 それでは、なぜ世界は変化するのだろうか。目に見えるあらゆる変化は、実は、エネルギーが別のエネルギー形態に変わることで起こる。たとえば、リンゴが木から落ちるとき、リンゴの重力エネルギーがリンゴの運動エネルギーに変化している。しかし、合計は少しも変化しない。総量は変わらず、その「配分」が変わるのである。
 逆に、配分を変えても実現できない変化は起きない。たとえば、低いところにある物体が、力を加えないのに自然に高いところに昇(ママ)ることはない。これはエネルギーを新たに生み出していることになるからだ。配分を変えることでは実現できない変化である。エネルギーの配分という見方が、科学的に起きうることと起きえないことを明らかにする。
 この300年の物理科学の歴史は、突き詰めれば、あらゆる自然現象をこのように「エネルギーの配分」という統一原理によって説明することであった。

【『データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』矢野和男〈やの・かずお〉(草思社、2014年/草思社文庫、2018年)】

 ウェアラブル(wearable)は「着用できる、身につけられる」との意(著者は「ウエアラブル」と表記している)。

 上記テキストは実験データに基づいている。矢野は自ら立ち上げたプロジェクトでリストバンド型ウェアラブルセンサを8年間にわたって装着。1秒間に20回も計測するこのデータによって、いつ寝返りを打ち、いつ作業に集中していたかが解析できる。つまり「左手の動き」という取るに足らないデータであってもビッグデータ化することで思わぬ人間行動や社会現象を探ることが可能になったのだ。

 私は先週の金曜日まで休みなしで21日間働き詰めだった。金曜日はいくつかの予定をやり過ごし、昨日は修理したバイクでツーリングにでも行こうと考えていた。ところが2~3km進んだところで何となく引き返してきた。夜は久し振りにウォーキングをしようと家を出たものの、やはり2~3kmで戻った。何となく疲労の蓄積が霧のように体を取り巻いていた。昨夜は22時に寝た。4時に目が醒めた。再び寝転がった。時計を見ると8時だった。結局起きたのは13時のこと。15時間も寝てしまった。

 私の場合、保存則は睡眠時間にはっきりと現れる。基本的に寝ないと駄目なタイプである。その代わり寝てしまえば、そこいらの男の3倍くらいのパワーを発揮する。

「エネルギーを使えばつかうほど時間が早く進む」という本川達雄の指摘とも重なる(『「長生き」が地球を滅ぼす 現代人の時間とエネルギー』)。多分、竜宮城では時間がゆっくり進んでいたのだろう。浦島太郎が一瞬で老け込んだのもエネルギー量の違いに原因を求めることができよう。

 一つ疑問に思ったことは、スポーツ選手の場合どうなるのか? マラソン選手が短命な事実は知られているが高々数年程度である。その運動量を思えば辻褄が合わないような気がする。